いやはや、びっくり仰天でした。

朝日新聞が7月12日の社説で次のように主張したのです。

 

「日本の安全にとって、最大の頼りはやはり米国の抑止力だろう」

 

いいんですか。朝日新聞さん、そんなことを書いて。

「米国の抑止力」とは「米国の軍事力」のことですよ。現に同じ社説はそのすぐ前の部分で「北朝鮮が最も恐れるのは米国の強大な軍事力だ」と明記しています。そのうえで「日本の安全にとって、最大の頼りはやはり米国の抑止力だろう」とあっさり書いているのです。

「短兵急に反応するな」という見出しの社説で、「先制攻撃論」に反対しているなかで、日本の安全はアメリカの軍事力に頼れ、と主張するのです。

 

朝日新聞は長年、日本の安全は米国の軍事力、抑止力に頼るな、とさんざん主張してきたではないですか。抑止力の基盤となる日米安保、日米同盟への依存を減らせと、くどいほど説いてきたではないですか。

 

「日本は外交努力の比重を冷戦型の二国間(日米)軍事同盟から、地域の国々自身の手による安全保障の確保へ、と移さなければならない」(1995年5月9日社説提言)

「日米の軍事同盟の性格をできるだけ抑制し、政治同盟としての性格を一層。強める」(同)

 

上記の実例は「米国の軍事力に頼るな」というキャンペーンのほんの一端です。

朝日新聞は冷戦時代はアメリカの対ソ連抑止政策に「危険な軍拡競争を招く」として反対し、ソ連の核ミサイルSS20を抑止するための米側の中距離ミサイル欧州配備にも猛反対でした。アメリカが日米共同の抑止力を高めるためにF16戦闘機を三沢基地に配備しようとしたときも、朝日新聞は反対しました。

最近でも日米共同のミサイル防衛や自衛隊のインド洋、イラク派遣、有事立法など日米同盟を強め、日本の安全につながるアメリカの抑止力を高める措置には朝日新聞はすべて反対してきました。

 

「日本の安全は軍事よりは憲法第9条の精神で」

「日本の安全はソフトパワーや外交努力で」

「日米同盟の軍事要因を薄めて」

「米国の軍事戦略に従うと戦争に巻き込まれる」

 

以上のような趣旨が朝日新聞の年来の「日本の安全」論なのです。

なのに「日本の安全にとって、最大の頼りは米国の抑止力だ」

なんて、朝日路線支持者への裏切りではないのですか。

朝日新聞殿、ご乱心?

つい心配してしまいます。

でも乱心やミスでないのならば、朝日新聞の日本の安全保障論にとって歴史的な大転向が7月12日の社説の記述だといえましょう。