Japan Times10月26日のオピニオン面にイギリスの元駐日大使ヒュー・コータッツィ氏が「修正主義者は日本に被害を与える」という題で靖国参拝批判などを書いています。
いま83歳のコータッツィ氏は第二次大戦のイギリス軍人で、占領軍として日本にきた経歴もある人です。
この寄稿文は麻生太郎外相と渡部昇一氏を「歴史修正主義者」と呼び、そのついでに私にも言及しています。以下のような英文です。
”A Washington correspondent for Sankei Shimbun, Yoshihisa Komori, who also denies the Nanjing Massacre and is renowned for his nationalist if not rightist views-----"
「産経新聞のワシントン特派員の古森義久はこれまた南京虐殺を否定し、右翼ではないにしてもナショナリストとしての見解でよく知られているーー」
こんなことをあっさりと書いているのですが、私は南京虐殺の否定はしたことがありません。
中国側の「日本軍は民間人30万人以上を殺した」という主張に根拠がないことは何度も書きましたが、中国人の死者数については東京裁判での判決での「10万以上」という判断、南京に当時、滞在していたドイツ人実業家ジョン・ラーベ氏の「5,6万」という報告、日本軍の南京攻略を現地から報道したニューヨーク・タイムズ記者のティルマン・ダーディン氏の「3,4万」という報告などを客観的に報道しているだけです。
コータッツィ氏がなにを書くのも自由ですが、具体的な個人の名をあげて、その人物がしてもいないことをしたと、あっさり書くのはやめてほしいですね。
この論文も日本人の戦争の歴史への態度を批判し、最近の日本の風潮は1930年代の軍国主義にもどりかねないと心配してくれているようですが、話題があちこちに飛びすぎて、混乱状態となっています。
それにしてもイギリスの方から過去の戦争とか侵略への態度についてお叱りを受けるというのは、おもしろいですね。
イギリスがインドを苛酷に植民地支配し、アヘン戦争では中国を侵略し、もっとさかのぼれば、いままだ問題を抱えたイラクやアフガニスタンもイギリスの支配が紛争の遠因となっていることなど、謝罪も反省もなくてよい、という模範なのでしょうか。
コメント
コメント一覧 (26)
とんだ所で、八つ当たりを食らって、古森さんは迷惑で、気の毒な事です。
この様な非歴史的な Opinion-Editorial は
無視すれば宜しいのでしょうが、そうもいかないのでしょう。ならば、
我々、正論の論客としては、これに屈する事なく無限に反論を
表明して行く事だけだと思います。
どうも、我々に上からモノを言いたい感じが伝わってきます。
http://tech.heteml.jp/2006/07/post_594.html
或いは、マッカーサーの爆弾発言とか。
http://www004.upp.so-net.ne.jp/teikoku-denmo/no_frame/history/honbun/jiei_sensou.html
はたまた、ロバート・スティネット著「真珠湾の真実 ~ルーズベルト欺瞞の日々~」とかも、いいですね。
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/archives/2001/08/post_73.html
その上で、反論があるならば、それも楽しみですがw
Revisionists damaging Japan
この記事ですね。おそらくコータッツィ氏は、古森さんが書いた記事の原文に当たらず、英語メディアの記事を通して得た情報だけをもとに書いているのではないでしょうか。
ttp://opendoors.asahi.com/syukan/briefing/802.shtml
耳を澄まして聞いてごらん。米国の知日派が心から心配している
※ところで、こちらは船橋洋一氏が『週刊朝日』の「世界ブリーフィング」に書いたものですが、コータッツィ氏の書いた内容と驚くほどよく似ています。各国の日本研究者同士がネットワークを構築して、同じような文章をあちこちで発表しているのは?
ロバート・スティネットの本については、秦郁彦氏など日本の歴史学者も『検証・真珠湾の謎と真実』(PHP研究所)で批判していますよ。こんな陰謀論を持ち出してはかえってこのブログの性格が疑われてしまうでしょう。
ttp://www2.tba.t-com.ne.jp/dappan/fujiwara/sokai/02s/ri05.htm
バブル崩壊後の日本異質論者たち
このレポートでは日米間の相互誤解と不信が増幅されていく過程が描かれています。互いに相手国の極端な意見を“一般的な意見”と思い込み、ますますヒステリックになっていっているようです。
この辺が彼の言動を解く鍵かと。イギリス人は日本の大東亜戦争(太平洋・東南アジアにおける対米英戦争)発動によって、大英帝国の最後の栄華の瓦解を目の当たりにしたわけです。
アメリカは極めて残虐でしたが、そんなに長く根に持ってはいない。イギリス・オランダ、付け加えるならオーストラリア(イギリスに準ずる国か)の復讐心や報復の執拗さ残酷さにはいろいろ歴史書を読んでいて閉口します。今でも根に持っていますからね。
余分な話。
オランダは徳川政権との関係があれほど親密だったにも関わらず、いわゆるBC級戦犯裁判ではもっとも酷い仕打ちをしました。許しがたい蛮行です。
そういう国に日本の皇太子御一家がご静養に出掛けられる。昭和天皇が訪問された際にオランダ国民が行った行為をよもや忘れてはいないでしょうね。二度と止めてほしい。
閑話休題。
コータッツィ氏はまるで例のGC氏と同様の振る舞いをしています。
まあ日本では「歴史修正主義者」などと人にレッテルを貼る輩は、「腐ったサヨク」(在日・寄生フェミニスト・バカ大学教員・プロ市民など)と相場は決まっています。ヨーロッパとは全く知的風土が違います。コータッツィ氏も言葉には気を付けたほうがいいでしょう。
しかし、『Japan Times』で古森さんを批判するとは。
私としてはこの反論の第一弾はかなり早かったと思っています。東京のアメリカ人の知人が速報してくれた結果です。
普通の日本の人はジャパン・タイムズは読まないでしょうから。
靖国参拝が日本政府の対外政策の表明とはまったく無関係という基本をみようとしない点など、確かにご指摘の「上からモノを言う」感じがあらわですね。
ちょっとエントリとは関係ありませんが、
今、この記事の下記の韓国紙の翻訳が話題になってますが
翻訳が事実ならアメリカ議会では「従軍慰安婦」糾弾決議の
根拠はいまだに「吉田清治」なんでしょうか?
どうもハイド氏が主導した例の決議の報道が少なすぎてよくわからない・・・
http://www.donga.com/fbin/output?f=todaynews&code=f__&n=200610250101&main=1
米下院議員のために慰安婦報告書を作成したレリ・ニクシ米議会調査局(CRS)先任研究員は23日、社説内容を理解することができないと応じた。同氏は電話の取材に応えて
「日本憲兵出身の吉田清治さんが、軍隊慰安婦動員に参加したと書いた告白録(私の戦争犯罪・1983年)が発刊されていて、吉見義明博士が1992年、日本防衛庁図書館で掘り出した資料で「占領地域に軍隊慰安婦施設を設置しなさい」という命令が下ろされたことが確認されなかったのか」と聞き返した。
最近、私のまわりでは日本で英字新聞を一紙は読もうと思っている人たち(普通の日本人および在日外国人)の間でもインターナショナルヘラルドトリュビューンに変える人が多くなっています。ずいぶんバイアスがかかっているし、記事も陳腐だと思います。
簡単に手に入る唯一の英字新聞であった時代からくらべると、ずいぶん影響力が落ちているのではないでしょうか。
ちなみに私も、最近ジャパンタイムズはほとんど読んでいません。先日来、話題になっている朝日新聞とジャパンタイムズは求人欄のみの読者です。
多様な資料へのご案内をありがとうございました。
ご教示の資料には順番に各サイトを通じて、ということで、まずグルー夫妻の部分をさらりと読みました。
とにかく阿片戦争、ボーア戦争などの実行犯のイギリスからの「過去の反省」の講釈には憮然、という感じです。
各国の左傾の日本研究者たちが主にネットで共通の情報や資料を分かち合っていることは明らかです。
ただし最近、思うのですが、アメリカの日本研究者の意味とか比重が以前とはずいぶん変わり、どこまで重視すべきかをいぶかります。彼らも過渡期というか、曲がり角というか、
変化に直面していると思います。
元イギリス大使もいまさら我々のこうした課題にまで首を突っ込んでこなくてもよいだろうに、とも思いますね。
彼は日本の企業の顧問的なポストにもずいぶん就いているようです。
そのせいか巧みに安倍首相はほめて、麻生外相はけなして、安倍陣営の分断を図っているような形跡もあります。
このへんはいまの朝日新聞の手法と酷似しています。
慰安婦に関する韓国新聞報道の件、知りませんでした。
吉田清治発言がなお使われているのかどうか、知りたいところです。
最近のジャパン・タイムズについては政治的に偏向しているという話は聞いていました。日本にいないと、手にすることもなく、関心もなかったのですが、これから少し注視していきたいと思ってます。
でも確かに日本でジャパン・タイムズを読んでる人、日本人も外国人も、直接に会ったことはありません。
有力な肩書きを有するコータッツィ氏やクラーク氏の自説が、在日外国人に与える影響が心配です。 自説に適合する情報だけを選択し、他説を検証する柔軟性が無いのか、無くなったのか?
左寄りのマスコミは古森様攻撃の手を緩めませんね。
記事に関係はないのですが気にかかった事が有り、ブロッグに適しない内容なので古森様宛にu-service@sankei.co.jp へメールを送信致しました。 お読み頂ければ幸いです。
木村のぶお氏のホームページ(http://kimura-nobuo.cocolog-nifty.com/laboratory/)経由で、翻訳されたこの東亜日報の記事を見つけました (http://j2k.naver.com/j2k_frame.php/japanese/www.donga.com/fbin/output?f=todaynews&code=f__&n=200610250101&main=1)。少し分かりづらいところがあるかもしれませんが。
ご指摘の二人もいままでは影響はあったかも知れませんが、いまは落日だと思います。その無責任さがかえって奔放に本音を語らせるのかも知れません。
ご案内のサイトをさらりとみました。
やはり議会調査局の担当者に直接にあたってみるのが有効な方法だと思いました。
ここでも東亜日報の翻訳は見れますね。
機械翻訳でやってみても、大体同じになるので翻訳に問題はないみたいですな。あとさらに調べる場合、東亜日報の飛ばし記事の可能性も考慮しておけばいいかな。しかしレリ・ニクシ氏は(実在してコメントが正確に掲載されてるとして)吉田清治がどういう人間なのか調べなかったんでしょうか?
ご紹介のサイトでもみましたが、なおなにか一つ、わかりません。
議会調査局の報告書が「吉田証言」をどう位置づけたのか、知りたいところです。
議会調査局にLarry Niksch という人は実在します。
私も長年、知っていて、産経新聞の紙面にもたびたび登場しています。質問はできます。
間接ルートでのお知らせの件、ありがとうございました。
産経側は関与していない案件です。
産物としてはひどいものが出てくるようですね。