朝日新聞が1月25日朝刊で愛国心に関する自社実施の世論調査結果を発表しました。
その結果は「愛国心がある」と答えた人が全体の78%、そのうち「大いにある」が20%、「ある程度」が58%だったそうです。愛国心を否定的に論じてきた朝日新聞としては意外な、あるいはあまり好ましくない結果かもしれません。

しかしこの世論調査報道記事で奇妙なのは、「愛国心『ある』が78%」という主見出しの脇に「うち88%、過去『反省必要』」という見出しを立てていることです。そして記事の本文も冒頭は以下の記述となっています。

「国民の8割が自分に愛国心が『ある』と思い、そのうちの9割は先の戦争で日本がアジア諸国におこなった侵略や植民地支配を『反省する必要がある』と考えていることが、朝日新聞社の世論調査(面接)で分かった。歴史問題をめぐり、中国と韓国と日本の摩擦が取りざたされるが、日本人の多くは、愛国心をもちつつ、日本の過去の歴史も冷静に見つめているといえそうだ」

この見出しの立て方と本文の書き出しはいかにも朝日新聞的な偏狭な自己正当化「木に竹を接ぐ」手法のように思えます。愛国心についての調査ならば、国民が愛国心をどの程度まで感じているかが主題であり、その愛国心を学校で教えるべきか否かとか、日本人はもっと愛国心を強く持つべきか否か、さらには「愛国」の一つのバロメーターといえる「外国の軍隊が攻めてきたら、戦うか否か、という種類の質問への回答がどうなのかが関心の対象となるでしょう。

ところが朝日新聞は愛国心とは直接の関係の薄い「過去への反省」を愛国心と対等な扱いでプレーアップして、「日本国民は愛国心は強いが、過去への反省も強い」として、後者の「過去への反省」にむしろ重点をおくような報道ぶりなのです。
愛国心はいまの自国への国民の思いであり、そのことと自国の過去の特定の時期や行動をどうみるかとは関係はありません。前者はいまの心情の表明、後者は過去の解釈です。しかし朝日はその両者をセットにして、愛国心の高まりの実態を薄めようと努めているようです。愛国心が強いか弱いかは過去を反省するか否かとは因果関係はありません。いまの日本をこよなく愛する日本人が過去の日本の「侵略」を強く反省してもなんのふしぎもありません。両者は相互に矛盾する心情ではありません。朝日新聞がいかにも矛盾するかのように伝えてきただけなのです。

この世論調査の欠陥の一つは「過去の反省」についての質問の語句です。質問は「日本が過去におこなったアジア諸国への侵略や植民地支配に対し、日本国民はどう向き合うべきだと思いますか」となっています。日本の過去の行動が「侵略」と「植民地支配」と決まっているならば、それに対し反省するというのは当然です。他の選択はないでしょう。
ただし日本の行動をすべて「侵略と植民地支配」と断じてよいのかどうかは疑問です。さらに「反省」なら普通の人間は自分の過去についても常に大なり小なりしています。これが「謝罪」となるとまた別です。朝日のこれまでの論調ならば、ここでの語句は「謝罪」とした方が自然です。

さて現在の愛国心と過去の反省について朝日新聞の同世論調査に関する解説記事は次のように書いています。

「愛国心の必要性を強調する保守の論者の間には、日本が起こした過去の戦争は間違っていなかったとしてアジアへの戦争責任を否定する見方があります」

でもちょっと待ってほしいですね。「愛国心→侵略と植民地支配の否定」というのは、「保守の論者」よりも朝日新聞の年来の主張ではないですか。だから愛国心は好ましくない、という主張を年来、続けてきたのではないですか。

自社の調査で愛国心を認める日本国民が圧倒的に多いという結果が出たことは、やはり朝日新聞にとっては困るのでしょうね。だからその調査結果の事実を不自然に「過去への反省」に結びつけて、焦点をそらすーーーこの世論調査報道についての私の解釈の総括はこんなところです。