遅まきながら慰安婦決議案論議に関しての重要な展開を報告したいと思います。
それは米国上院の民主党長老ダニエル・イノウエ議員がこの決議案への明確な反対を表明したことです。当面、この決議案を審議している下院外交委員会のトム・ラントス委員長あてに書簡を送り、もうこの決議案を本会議に送るなと要請したのです。
イノウエ議員といえば、私もその活動はこの30年来、みてきましたが、日米貿易摩擦などでは日本の政策を厳しく非難してきました。日系人であるからといって、決して日本側に理解や同情を安易に示す政治家ではなかった実績があります。
このイノウエ議員の反対はその後の慰安婦問題論議で重要な新要素として提起されることがまだ少ないので、あえてここで再提起する次第です。

そのイノウエ議員の今回の書簡の最重要部分を以下に原文のまま紹介しましょう。

-----I sincerely feel that House Resolution 121 is unnecessary and it may adversely impact our relationship with Japan.  Since the signing of the San Francisco Peace Treaty in 1951, Japan has served as a strong ally and trading partner to the United States.  I
am certain that you are aware the Japanese also sent members of their military to assist our nation in the war in Iraq.

イノウエ書簡全体については産経新聞のワシントン特派員有元隆志記者が4月1日付で報道しました。以下にその記事を紹介します。


慰安婦決議案 米上院議員が反対書簡 「日本との関係に悪影響」
2007年04月01日 産経新聞 東京朝刊 総合・内政面

 【ワシントン=有元隆志】米民主党の日系米国人、ダニエル・イノウエ上院議員(ハワイ州選出)が下院に提出された慰安婦問題をめぐる対日非難決議案について「不必要なだけではなく、日本との関係に悪影響を及ぼす」として採択しないよう求める書簡をトム・ラントス下院外交委員長(民主党)らに送っていたことが30日、明らかになった。

 上院議員が下院の決議案に異論を唱えるのは異例。決議案は同じく日系米国人のマイク・ホンダ議員(民主党)によって提案されているが、民主党の大ベテラン議員でもあるイノウエ議員の反対表明は、決議案の行方にも影響を与えそうだ。

 書簡は3月5日付で、ラントス委員長をはじめ、この問題に関係する議員に送られた。

 書簡の中で、イノウエ議員は「決議案によって取り上げられた事柄は日本政府にとってつらく微妙な問題だ」と指摘した上で、植民地支配や侵略でアジア諸国の人々に損害と苦痛を与えたことに「痛切な反省」を表した「村山談話」(1995年)、国会での「戦後50年決議」(95年)や「戦後60年決議」(2005年)を通じ、日本は反省の念を十分に表しているとの認識を示した。

 慰安婦問題についても、財団法人「女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)」を通じて「金銭的な償い」をしたと記している。

 日米関係について「サンフランシスコ平和条約以来、日本は米国にとって強固な同盟国であり貿易相手となっている」とした上で、イラク自衛隊派遣など日本の対米協力を挙げ、決議案が日米関係に悪影響を与えるとの懸念を示した。

 イノウエ議員はかつて日米貿易摩擦などで日本を非難することもあったが、最近は日米の議員交流に力を入れている。それだけに日系米国人のホンダ議員が決議案の旗振り役になっていることを「憂慮していた」(日米関係筋)という。

 決議案は日本政府に対し、「若い女性たちを性的奴隷にしたことを公式に認め、歴史的責任を受け入れるべきだ」として首相による公式謝罪を求めている。