李登輝氏が夫人の曾文恵さんとともに6月2日、念願の「奥の細道」行脚を始めました。ちなみに李氏は夫人を日本語の会話でよく「フミさん」と呼びます。

この日、夫妻に同行した人たちからお知らせを受けたので、
李登輝夫妻の仙台や松島での動向をここで報告します。

まず松島では李登輝夫妻は次のような俳句を詠んだそうです。

松島や 光と影の 眩しかり  (李登輝)

松島や ロマンささやく 夏の海  (曾文恵)

この日、まず新幹線で仙台駅に着いた李登輝夫妻は仙台市長の梅原克彦氏の出迎えを受けました。
仙台地域では多賀城址と塩竃神社を訪れたそうです。
塩竃神社では李登輝氏はクリスチャンであるせいか、お払いは受けず、頭を下げるだけのお参りでした。神社の急な石段もゆっくりではあったけれども、着実に登りました。

松島では李登輝夫妻は芭蕉の足跡に従い、端巌寺を訪れ、本堂にも入って、内部を丁寧に見学しました。住職に芭蕉がくぐったとされる玄関脇の小さな入り口を示され、李登輝さんは長身をかがめて、楽しそうに入っていったそうです。曾文恵夫人は明治天皇にかかわる史跡をとくに興味深げにみていたとのことでした。

この日、李登輝夫妻は各所で地元の人たちや全国から集まった「李登輝友の会」の人たちの熱烈な歓迎を受けました。仙台、松島の地域は晴天に恵まれ、青い空に暖かな陽光、そして微風はまさに「李登輝晴れ」だとの声も地元であったそうです。

さらにおもしろいのはマスコミの大々的な歓迎調の報道でした。仙台周辺の地元マスコミは従来、中国傾斜の左カーブもみうけられ、その中国が敵視する李登輝訪問にはネガティブな姿勢もあるかと予測されたのですが、当日は新聞もテレビも真正面から李登輝夫妻来訪をスピンなしで大々的に報じたとのことでした。

やはり李登輝さんの魅力のせいでしょうか。

しかし中国大使館からの脅しもありました。

李登輝夫妻来訪の前日の6月1日、東京の中国大使館の
「姉妹都市提携担当」だという孫美嬌参事官から仙台市役所の国際交流担当部門に電話があり、「梅原克彦仙台市長が李登輝と会うことはやめてほしい」と要求してきました。
「台湾独立を求める李登輝と日本の地方自治体の長が会うことは日中平和条約に違反する。その結果、仙台と中国の長春との姉妹都市関係を崩しかねない」という脅しでした。
しかし梅原市長は翌日、李登輝氏と会ったわけです。

なお梅原市長の尚子夫人は地元の歴史や文化に専門的な知識があるということもあってのせいか、6月2日は李登輝夫妻の全行程に同伴したそうです。

李登輝氏の「奥の細道」行脚は6月3日も続きます。