社会主義とはなんなのか。共産主義とはなにが同じで、なにが違うのか。
わかっているようで、意外とわからないテーマです。

このテーマを歴史的かつ国際政治的に解明した書『民主社会主義への200年』(一藝社刊)が出ました。いまの世界の思想を理解するにはきわめて有益な書だと思い、ここで取り上げることにしました。
副題は『フランス革命からポスト冷戦まで』。

著者は日本での社会主義研究の権威、関嘉彦氏です。
関氏は2006年5月に93歳で亡くなりました。都立大学の教授から民社党の結党にもかかわり、民社党選出の参議院議員をも務めました。

関氏は河合栄次郎門下のりべラリストで、自由民主主義への信奉という立場からマルクス・レーニン主義の全体主義の教えには批判的でした。その一方、複数政党性を認める民主社会主義にも理解を示していました。

東西冷戦中、日本の知識人の多くが米国とソ連のイデオロギー面での対立を「資本主義」と「社会主義」と評したのに対し、関氏は「自由民主主義」と「共産主義」と評しました。
前者の区分はソ連自身が使っていた表現であり、後者が非共産圏の国際基準でした。

その関氏がマルクス主義をも含めての社会主義一般が欧州でどう発展し、共産主義が民主社会主義とどう分かれ、どう対立し、どう敵視しあうようになったかを詳述した『社会主義の歴史』(ⅠとⅡの上下二冊)を世に出したのは1980年代でした。私も記者としてイデオロギー問題に触れる記事を書く際、この名著を参考にさせてもらったことは数え切れないほとありました。

今回の書はその『社会主義の歴史』の復刻版ですが、末尾にはソ連の共産主義体制が崩壊していったことの分析も加えられています。

関先生のお弟子さんだった和田修一氏(現在、平成国際大学法学部准教授)が長年にわたり編集や加筆の努力を重ね、出版を実現させた成果です。

これからも手元において、使わせてもらうつもりです。

下に本のカバーの写真を載せてみました。
操作が下手で、みにくくなり、申し訳ありません。