朝日新聞の価値はその反面教師性にあるというのが、私の持論ですが、たまにはそうでないときもあります。
8月27日の朝日新聞朝刊は「私の視点」という欄に、アメリカのカート・キャンベル、マイケル・グリーン両氏の寄稿を載せました。「テロ特措法 日本は長期的影響を考えよ」という見出しで、小沢氏のテロ特措法への反対を非難しています。
筆者のキャンベル氏は民主党クリントン政権時代の国防次官補代理、グリーン氏は共和党ブッシュ政権での国家安全保障会議アジア上級部長です。この二人が連名で、つまり共和、民主両党の総意の形で小沢氏を批判しているのです。
 
私は前回のこのブログへのエントリーで、小沢一郎氏の計算が誤まっているという趣旨の自分の記事を紹介しました。小沢氏がアメリカ側でのアフガニスタンでの対テロ闘争を共和党ブッシュ政権だけの推進政策で、民主党は支持していないようにみているようだが、それは大きなミスだという趣旨です。
 
私の8月25日付コラムは主眼の一つは以下の記述でした。

「だから小沢氏の反対には米国側の超党派の反発が起きることは確実である。」

朝日新聞が27日の載せた論文はまさにこの「米国側の超党派の反発」なのです。

キャンベル・グリーン論文は冒頭、次のように書いています。

「民主党の小沢一郎代表は、テロ対策特別措置法の延長を阻止し、現政権を窮地に陥れようと決意したようだ。約20年前、官房副長官として日米同盟を守ろうと努力したことを記憶している米国人は失望している。小沢氏は、延長阻止が日米関係を損なっても、米国で民主党政権が誕生し、日本でもそうなれば忘れてしまうと考えていると聞く。私たちはそれは誤りだと考える。小沢氏は再考して政府との間で創造的で実行可能な妥協を見いだすよう期待している」

「(日本の)民主党関係者は、海上自衛隊の艦船をインド洋から撤退させても、傷つくのはブッシュ・安倍関係だけだと考えているようだ。(中略) アフガンでの戦いについては、米国内では党派を超えた幅広い支持がある。タリバーンやアルカイダに対峙する有志連合から日本が抜けたら、米の次期政権が日本の同盟国としての信頼性に疑問を抱くことは避けられない。それは共和党でも民主党でも変わらない」

この論文はさらにさまざまな角度から小沢氏のいまの言動が誤まっているとして、手厳しく批判しています。

私が産経新聞で書いたのと同じ趣旨が2日後の朝日新聞に出るというのは、なんとも奇妙な感じです。もっとも朝日自体がそういう主張や考察を打ち出したのではなく、あくまで外部からの寄稿として掲載した、という点は明記しておくべきでしょう。

さあ、小沢さん、どうするのか。