民主党代表の小沢一郎氏は日本の国際安全保障の活動を国連の承認の有無にすべてゆだねるという方針や、日本の部隊(必ずしも自衛隊ではない)を国連待機軍に送り込むという提案を唱えています。国連を全面的に信奉し、国連に依存するという思考だといえましょう。

しかし現実の世界では国連がいかに無力であるか、いまやまたまた、いやというほど証明されています。実際に力を持ち、安全保障について効力を発揮できる国連が存在するかのように説いて、その主張の上に日本の安全保障を置こうといのでは、まさに砂上の楼閣になります。危険な国連幻想だともいえましょう。

いま日本でも関心が高まっているミャンマー情勢への国連の対応をみても、この国連の無力さは証明されています。ところでこのミャンマーという国名ですが、欧米のマスコミも政府も、これを使わずに従来の国名の「ビルマ」を一貫して使っています。ミャンマーというのは独裁弾圧の軍事政権が勝手に最近、自国につけた呼称だというのです。

さてミャンマー問題に対する国連のあり方についてイギリスのフィナンシャル・タイムズ米国版9月28日付に「国連総会は無能力の意識を高める」という見出しの記事が載りました。その本文の冒頭は以下のような記述でした。
 「ビルマでの大規模な抗議集会と、それに対する軍部の激烈な弾圧は全世界に衝撃波を送り広げた。しかしニューヨークでの年次国連総会に出た世界各国のリーダーたちは呆然とした見物人以上のなにものでないほどに矮小化されていた」

この記事はそしてアメリカも欧州もそれぞれの国家主権や国家連合の権限でビルマの軍事政権への抗議をこめた経済制裁などをとりつつあるが、国連としてはなにもできない、というい現実を報じています。
国連が今回、思い切った措置をとれないことの主要理由の一つは中国の難色です。国連安保理がミャンマー政府に対して、強い措置、強い言明をしようとすると、拒否権を持つ中国がその拒否権のパワーをちらつかせて、みな阻止してしまうのです。阻止をしない場合は、抗議の内容を薄めてしまいます。安保理常任理事国としての中国の「縛り」が効いているのです。

この中国に動きについては朝日新聞9月28日朝刊の記事をみてください。

 「すでに独自の制裁を科している米国などは、今回の騒動を機に国連憲章第7章に基づく決議を採択し、制裁を国連の全加盟国に義務づけることを狙っている。そのためには、ミャンマー問題が国際的な脅威であることを安保理が認定することが前提となる。
 だが26日に開かれた安保理の緊急会合でも隣国・中国は、『地域の脅威ですらない』との考えを改めて示した。安保理の行動としては最も軽いとされてきた『報道声明』よりもさらに弱い非公式な声明にしか同意せず、『非難』を盛り込むことも許さなかった」

国連はミャンマーの軍事政権の弾圧行為を非難することもできないのです。
中国が反対するからです。この際は、中国の主張が正しいか否か、あるいはアメリカの態度が正しいかどうか、議論はおきましょう。要は国連がなにもできない、という実態です。
日本人カメラマンを射殺した軍事弾圧を非難さえもできない国際連合とはいったいなんなのでしょうか。
国連信奉者の小沢一郎氏に問いたいところです。