民主党代表の小沢一郎氏が唱えるテロ特措法への反対がなお国政を揺さぶっているようです。
小沢氏はインド洋での国際安保活動に加わる自衛隊の艦艇の撤退を求めているわけです。その理由はこの国際安保活動が「国連の承認を得ていないから」だというのです。
その一方で小沢氏は米欧諸国がアフガニスタン領内で展開する国際治安維持活動には自衛隊が加わるべきだという趣旨の論文をも発表したそうです。その理由は「国連の承認を得ているから」だとのことです。
しかしアフガニスタン領内での活動は戦闘を伴う危険な任務です。自衛隊はいかなる場合でも海外での戦闘には従事できないはずだったのではないでしょうか。

小沢氏は一体、どんな理論でこういう矛盾したような主張をするのでしょうか。
その秘密を解くカギの一つに気づきました。
小沢氏が3年ほど前に、「日本の安全保障、国際協力の基本原則」という政策文書を発表しているのです。民主党内でも左派とされる横路孝弘氏らとともに、その文書にサインしています。

この文書の内容をここでもう一度、点検してみたいと思います。
要するに国連至上主義なのです。

「基本原則」は日本の安全保障についての基本政策を記したはずなのに、そこにあるのは国連への依存のみ、日米安保条約や、その条約に基づく日米同盟という言葉は一回も出てきません。
「日本の安全保障の基本原則」で日米同盟はまったく無視されているのです。
 
まずその文書の全文を紹介します。
その内容をじっくりと点検しながら、順番に分析をしていきましょう。
とにかく驚くべき、そして恐るべき内容だということを最初に申し上げたいと思います。


                                   平成16年3月19日

   日本の安全保障、国際協力の基本原則

 

 冷戦の時代は終焉したとはいえ、世界各地においては紛争が頻発している。世界の安全保障と国際協力について確固たる基本原則を改めて定め、確認しておくことは時代の要請でもあり、また喫緊の課題でもある。

 私共は、我が国の安全保障及び国際協力について、この間慎重かつ精力的に検討を続けてきたが、ここに次の通りの基本原則で一致したので公表する。

                  

現状認識

1、いまのままでは自衛隊は米国について世界の果てまでも行ってしまう危険性が高い。

政府自民党による無原則な自衛隊の派遣に歯止めをか
 けなければいけない。

2、世界秩序を維持できる機能を有する機関は国連しかない。日本も国連のこの警察的機能に積極的に貢献する。

3、憲法の範囲内で国際貢献するために、専守防衛の自衛隊とは別の国際貢献部隊を作る。

4、現在国連はその機能を充分はたしていない。日本は国連の組織、機能を拡充、強化するようあらゆる機会に国際社会に働きかける 

 

基本原則

1、              自衛隊は憲法9条に基づき専守防衛に徹し、国権の発動による武力行使はしないことを日本の永遠の国是とする。一方においては、日本国憲法の理念に基づき国際紛争の予防をはじめ、紛争の解決、平和の回復・創造等国際協力に全力を挙げて取り組んでゆく。

2、              国際社会の平和と安全の維持は国連を中心に行う。

     それを実現するために、日本は国連のあらゆる活動に積極的に参加する。

 

3、              国連の平和活動への参加を円滑に実施するために、専守防衛の自衛隊とは別に、国際協力を専らとする常設の組織として「国連待機部隊(仮称)」を創設する。待機部隊の要員は自衛隊・警察・消防・医療機関等から確保する。又、特に必要がある時は自衛隊からの出向を求める。

4、              将来、国連が自ら指揮する「国連軍」を創設する時は、我が国は率先してその一部として国連待機部隊を提供し、紛争の解決や平和の回復のため全面的に協力する。

5、  国連軍が創設される迄の間は、国連の安全保障理事会もしくは総会において決議が行われた場合には、国際社会の紛争の解決や平和と安全を維持、回復するために、国連憲章7章のもとで強制措置を伴う国連主導の多国籍軍に待機部隊をもって参加する。 

    ただし、参加の有無、形態、規模等については、国内及び国際の情勢を勘案して我が国が主体的に判断する。

6,                     安保理常任理事国の拒否権行使等により安保理が機能しない場合は、国連総会において決議を実現するために、日本が率先して国際社会の意思統一に努力する。

 

署名   横路 孝弘  小沢 一郎

     生方 幸夫  山岡 賢次