政治における世論調査というのは、選挙の予測としては最近はかなり正確であり、それなりに意味があるでしょう。しかし政府や政治家が政策を決める際の指針としての世論調査というのは、私はあまり重きをおきません。

とはいえ、具体的な政策への国民の意見をある程度、知るうえでの世論調査の効用は、現代政治では否定できません。だから私もアメリカでも、日本でも、マスコミの世論調査の結果には自然に視線を向け、そのときの風の吹き方のひとつとして、参考にはしています。

このところ日本の国政での最大課題の一つはこのブログでも再三、取り上げたインド洋での自衛隊の活動をどうするか、です。その活動を支持する国民の意見がこのところ、高まってきたらしいことは一連の世論調査でも示されています。
そんななかで朝日新聞が10月16日付で「インド洋での海自活動」「継続賛成39% 反対44%」という世論調査結果を報じました。前回の朝日の調査では、その数字は35%と45%だとされましたから、継続賛成が増えたわけです。しかし全体としては、なお反対が賛成よりも多い、趣旨を前面に出しています。この結果は朝日新聞の社説にも合致することになります。

ところが同じ記事の基礎となる世論調査結果の詳報をみると、おもしろい数字が出ています。
インド洋自衛隊活動の問題に関して、「民主党の主張に納得できない」と答えた人が44%、「納得できる」という人が34%という数字が出たことがさらりと記されているのです。
世論調査での質問は「民主党は、インド洋での自衛隊活動は国連決議にもとづいておらず、テロの抑止にもなっていないと主張しています。民主党の主張に納得できますか」でした。納得できないという方がずっと多いわけです。小沢氏が最近、うろたえているようにみえるのも、こうした潮流の反映でしょうか。

さらにはこの問題で「民主党が反対を貫くほうがよい」と答えた人がわずか22%だったのに対し、「与党と協議して一致点を見いだす」と答えたのがなんと64%にものぼったという結果も記されています。
この数字から判断する限り、インド洋の自衛隊撤退を求める小沢一郎氏の意見に賛成する朝日読者は、ほんの22%といってもよいでしょう。

朝日新聞はこの調査結果の総括を一面の記事で報じていますが、民主党の主張へのそんな幅広い(64%)反対の部分はその記事では触れられていません。

さらに興味深いのは、「できるだけ早く衆議院を解散して、総選挙を実施すべきだと思いますか」という問いに対しては、「できるだけ早く」というのが32%、「急ぐ必要はない」がなんと60%という結果が出たことです。
社説で来年1月の衆議院解散と総選挙を求める朝日新聞主張には賛成が32%、反対が60%なのだといえましょう。この部分は総括の記事には含まれていますが、もちろん記事の見出しにはなっていません。

この世論調査結果、民主党にとっても、朝日新聞にとっても、あまり朗報ではないようです。
一般の読者としては、世論調査について、単にその総括の記事をみるだけでは、その調査の意味はわからない、ということでもありましょうか。