中国を正確に理解することは日本にとって、ますます重要になってきました。
日中友好とか一衣帯水とか同文同種という決まり文句にまどわされず、中国の政治や経済、そして社会の実態をきちんと知ることは、中国とかかわるうえで欠かせません。
そうした中国の実像を迫真の実証的報告で伝える新著が出ました。
何清漣著の『中国の闇』(扶桑社刊)です。
著者の何女史は中国の経済学者・ジャーナリストとして活躍し、1998年に政治経済学の視点から中国社会の構造的な病弊と腐敗の根源を衝く『現代化的陥穽』(日本語訳の題は『中国現代化の落とし穴』を出版して、全中国に波紋を広げました。しかしその著作のために当局から弾圧され、2001年には中国を脱出して、アメリカに亡命しました。
何女史は2004年には『中国の嘘』(扶桑社)という書を出し、中国の官営メディアがいかに当局にコントロールされているかを実証的に報告しました。
さて、その気鋭の何女史が書き下ろしの形で日本で出版した新著『中国の闇』は
いまの中国の政治権力の暗渠を迫力ある筆致と実証とで明るみに出しています。
黒社会とは簡単にいえば、マフィア的犯罪組織のことです。
以下はその『中国の闇』のカバーの写真です。
本のカバーや帯に書かれた記述を紹介しましょう。
「マフィア化する政治」
「中国人がルールを守れない本当の理由」
「名ばかりの法律とやりたい放題の無法政治。こんな社会環境がまかり通る国家に、順法精神を求めること自体、無理がある」
「政治の行動の黒社会化を特徴とする統治手段の無法化という現状を理解してこそ、道義と正義を欠いた制度の圧迫のもとで、中国民衆の人権がいかに絶望的な状態に置かれているかが理解できるだろう」
しつ
「中国の一般庶民は政治的には徹底した無権利状態に置かれ、度重なる役人の迫害に抗う術をもたない。日々の暮らしのなかにあって、政府行為の黒社会化によって法律が空文と化し、民衆は黒社会の荒れ狂う暴力をただ耐え忍ぶしかないのである」
内容は要するにいまの中国では本来、暴力的な無法集団である黒社会が共産党政権と結びつき、癒着し、一体化し、統治のなかに無法を組み込んでいる、という現実の暴露なのです。
マフィアが政治権力となり、政治権力がマフィアとなる。
なんとも恐ろしい現象が省や都市のレベルから国家の中枢にまで浸食しつつある、というのです。
その実態が山のような実例を基礎に提示されています。
コメント
コメント一覧 (26)
現在の中国の一面を端的に現していそうな本で、是非購入してみようと思いました。
少しだけ本音をさらけ出すと、古森さんの文書を読んで「中国ってこんな国ですよ」と冷笑しているビジネスマンの自分がいます。
政権がマフィア化しているというのは、仕事上関わっていると物凄くわかります。
ショバ代や用心棒代を払わないとまともな手続きさえ入れない、まともな商売ができない国が中国であり、それを中国人が「中国とはこんな国ですよ」と冷笑しています。
多分根底には中国人は中国という国が嫌いなんだろうなぁ~と、知り合いを見ていると真剣に思うし、中国人の自国民差別の物凄さはある意味カースト制度よりも酷いものがあると、中国人を経営陣に加えると良くわかります。
そんな国が変われるのか?
変わる気があるのか?と考えると、私は「中国なんてこんなもんですよ」と冷笑するだけしかしないし、中国がカネ儲けできなくなれば関わる価値のない国だと判断しています。
似たような事を最近の日本でも感じます。
食品偽装・談合体質・耐震偽装等々で、「日本ってこんな国ですよ」と冷笑している日本人の存在が何となく想像できます。
取り返しがつかなくなる前に左翼の反権力思考などシカトして、国と国民が日本がよくなることだけを目的に頑張らないと相当やばい事になるんじゃないかな?と、別に根拠もない事を一人心配してしまいます。
朝日新聞や社民党といった足を引っ張るだけの左翼の存在は私は全然気にはならないけど、同じ未来を描く仲間には加えないという強い意思さえ持っていればいいんじゃないかな?と、全然テーマから外れた事を書いてしまってすみません。
ずっしりと重く跳ね返ってきたコメントですね。
一番打者への第一球がいきなり本塁打を打たれたという感じでしょうか。
でもその先はわが日本にも跳ね返ってきて、前向きな方向付けがあるので、失点よりも、得点という感じでもあります。
ただし「中国って、こんな国ですよ」という冷笑に対してですが、この書によると、黒社会は毛沢東統治の時代にはまったくなかった、というのです。
その時期が中国生来の状態からの異端であり、例外であったのか。あるいはいまの黒社会は中国の土壌プラス市場経済という足し算の回答なのか。
とにかく大変なところですね。中国で働いて、日本の経済に寄与している方々は本当に戦士ですね。ご苦労さまです。
その通りです。 日本の学者や大学教授先生方は、精確に分析し、そして総合的に組み立て、論文を書き、判断する事が学問の基本だと思うのですが、日本の左翼の学者、新聞社、NHK、民放は、中国の一方的なプロパガンダと化している事は、学問の方法が滅茶苦茶になっているとしか考えられません。
古森様
アルカポネ時代のシカゴが中国全体と考えればいいのでしょうか?
いずれにしても国民性と文化の違いで仕方がない国である事は間違い有りませんね。日本の昔の任侠団体には自制というものが少なからずもあった。ヤクザが地方自治体を賄賂で動かすような話も聞いた事はない。政治家から警察から利用された事はあっても。終戦後の第三国人の横暴を警察から頼まれて制圧した事実もある。決してヤクザを正当化したり賞賛しているのでは有りませんが共産党独裁では黒社会のカネが力、力がカネとなり増大する事は間違い有りません。がその連中がアマちゃんのわが国に大量に潜入する事は(既に暗躍しているかも)間違いなくいま在日外国人参政権などと浮かれた国会議員どもが「共生」と言うスローガンで蠢いていますが決して対岸の火事と思って居てはいけませんね。
この中でスターリンは「社会の上部構造(政治)は下部構造(すなわち経済)が決定する」と喝破しています。
中国も、経済がどんどん市場経済化すなわち資本主義化して行くにつれて、政治組織は共産党一党の独裁では治まらなくなります。
鄧小平の何度かの失脚復活劇も、経済発展につれて民衆の民主化の要求が強まり、これをおそれた毛沢東が鄧小平を生け贄にした。しかし、民衆の生活を豊かにする経済発展のためには鄧が必要であるからやむなく復活させた。経済発展を夢見た鄧小平も共産党独裁にこだわったため、有能な胡耀邦を失脚させ、後釜に据えた趙紫陽も社会の発展には共産党独裁では無理があると主張したため、上海で成功を収めていた江沢民を抜擢したです。
江沢民は上部構造と下部構造の齟齬軋轢を排日ということではぐらかし、社会の矛盾から民衆の目をそらして、経済成長に力を注ぎ今や世界第三位のEconmy建設に成功しました。
江沢民のあとを継いだ胡錦涛は、さらなる経済発展のためには日本の「協力」支援が不可欠であることを胡耀邦から学んでおり、対日政策を穏健な方向に切り替えました。
しかし、依然としてスターリンのテーゼは生きており、共産党独裁を続ける限りは何らかの「力」が必要です。共産党の地方組織が「黒い」勢力と結びつくのは、共産党独裁を続ける限り何らかの暴力装置が必要なのです。しかし、共産党中央は民衆の生活水準の向上すなわち中国経済をさらに発展させて行くためには、十二分に認識しいるはずです。
民主的な政治組織をどう構築して行くか、共産党中央の苦悩はつづくでしょう。
(ハーフボイルドのままですが、来客がありますので…)
しかし、依然としてスターリンのテーゼは生きており、共産党独裁を続ける限りは何らかの「力」が必要です。共産党の地方組織が「黒い」勢力と結びつくのは、共産党独裁を続ける限り何らかの暴力装置が必要なのです。しかし、共産党中央は民衆の生活水準の向上すなわち中国経済をさらに発展させて行くためには、十二分に認識しいるはずです。
共産党中央は民衆の生活水準の向上すなわち中国経済をさらに発展させて行くためには、「政治の民主化が必要なことは」十二分に認識しいるはずです。
「」の部分が欠落していました。失礼しました・
やはり今の日本を左右するメディアはテレビでしょう
そのメディアも事実を伝えるとは言えません
今度放送法改正で、捏造された番組を報道しても罰せられる事がなくなりそうです
「捏造の自由」を認めると言う事なのでしょうか?
それとも自浄能力を信じるとでもw
大手新聞が捏造記事を掲載し国際問題になった事もありましたが、その新聞社は謝罪もしていないでしょう
フジの「あるある」での捏造が問題になりましたが、たかが納豆w
納豆の食べすぎで死ぬ事もないでしょうし
勿論、国際問題になる事もw
是非、産経新聞とフジテレビが連動して世間に事実を教えてやってください
一番影響力のあるテレビ放送を偏向思想を持った人間が作っている局もありますからw
日本の暴力組織も又、在日の人たちが多く、戦後在日社会を母体として勢力を広げた組織も在ります。東アジアの民族社会に顕著な、古く悪しき習慣でありましょう。
中国のみならず、日本社会の治安状況も、もはや崩壊の一途を辿りつつ有るようで、非常に危惧しています。
ご紹介ありがとうございます。
私はてっきり地方の共産党幹部がマフィア化したと思っていた(つまり二面性がある)のですが、これは是非購入して読もうと思います。
(汪寿華は杜月笙によってだまし討ちにあい殺されてます)・・
国共内戦後に台湾や香港に隔離されていた青幇のウイルス・遺伝子が(遺伝子という言葉で政治や歴史を語るのはあまり好きではありませんが)、改革解放で中国大陸に再注入されたのかもしれませんね。
日本の中国研究は長年、日本人学者が少しでも中国に批判的なことを書くと、中国側にらまれるので、「友好」をとにかく最重視するという、とても学問とはいえない客観性の欠けた慣行だったといえます。
最近はかなり変わったとはいえ、まだまだですね。
いやいや、私が本書『中国の闇』をざっと読んだ範囲では、アル・カポネ時代のシカゴよりも、いまの中国は行政や司法の基本が黒社会と一体になっているといえそうです。
とにかく構造的に当局が、少なくとも省レベルで中国版マフィアの手を借りないと、普通の行政ができないようになっているのです。
中国で語られる「民主化」には絶対に「」が欠かせませんね。
共産党が政治的に独裁統治を続けるという大前提があってこその自由化、民主化だからです。中華人民共和国の憲法をみても、このへんの現実は歴然としています。
「暴力装置」というのも、なんとなく懐かしい言葉ですが、現代の中国には適用できる概念ですね。
テレビについてのご指摘はもっともだと思います。
しかし活字の媒体、とくに書籍も意外にパワーを発揮しますよ。
たとえば、「国家の品格」という本100数十万部の長期ベストセラーです。
単行本は単に一般の人が読むだけでなく、それこそテレビの人たちも読んで、そこから得た発想などがテレビに反映される場合が多々あります。
国会議員も本をよく読む人たちがかなりいます。そこから政策への影響もあるでしょう。
というのは、活字世界の人間の我田引水かなーー
日本も中国と同様に心配という面も確かにあるでしょうね。
ただし救いの一つは日本には政府や当局を批判する言論の自由があることだと思いたいです。
ええ、マフィアが共産党幹部化していくという流れの方が多いようです。
共産党幹部がマフィア化する面もあり、区別がつかなくなる、ということでしょうか。
きわめて構造的な現象のようです。
とにかく読み進むと、肌寒くなる本です。
ご指摘の点、何女史は以下のように書いています。
「中国の現段階における黒社会は1949年以前の黒社会と組織上の継承関係はまったくないが、地域ごとの歴史と文化は澱のように沈殿して人々の集団的記憶として残存している。そのため、各地の黒社会はその結成の始めにあたって、多かれ少なかれ当地の歴史・文化のなかから旧来の組織形式のなにがしかを汲みとっているのである」
「たとえば四川省には昔から幇会の伝統があり、1949年以前には
ホウカや青幇・紅幇といった各種形式の秘密結社は、四川の民間ではごくありふれた組織であった」
地域社会全体がマフィア化だとすると、日本とはかなり異なるようですね。
>amber0921 さんへの返信に
>ご指摘の点、何女史は以下のように書いています。
>「中国の現段階における黒社会は1949年以前の黒社会と組織上の継承関係はまったくないが、地域ごとの歴史と文化は澱のように沈殿して人々の集団的記憶として残存している。そのため、各地の黒社会はその結成の始めにあたって、多かれ少なかれ当地の歴史・文化のなかから旧来の組織形式のなにがしかを汲みとっているのである」
>
>「たとえば四川省には昔から幇会の伝統があり、1949年以前には
>ホウカや青幇・紅幇といった各種形式の秘密結社は、四川の民間ではごくありふれた組織であった」
スターリンの「ソ同盟における…」テーゼは、テーゼというより「呪い」と言った方がぴったりしますが、このスターリンの呪いに懸かった中華人民共和国がどう「民主化」して行くか、国際社会はかたずをのんで見守っています。
江沢民の反日政策は対内的には二つの動機がありました。一つは民衆の不満を「日帝」の侵略を声高に叫ぶことによって我が国へ向けさせ、侵略を二度と許さないために人民解放軍を近代化(原子力潜水艦や宇宙兵器の拡充強化など)すると称して地上兵力の大幅削減を図りました。現在地方で起っている民衆の蜂起にたいして軍は無力化し、共産党の地方組織は「黒」社会を利用せざるを得なくなったのです。
その「黒」社会の実態は何女史の指摘のとおりでしょう。
洞察の深いコメントですね。
「スターリンの呪いに懸かった中華人民共和国」というとらえ方は、とくにもしろいと思いました。
中国のことを考えていると、日本の江戸時代と比較した時のレベルの違いを思いました。
江戸時代もとても自由と民主主義があったとは言えないでしょうが、支配階級においては武士道があり厳しい統治規範がありました。また、経済的にも富の独占どころか、身分の低い商人に借金しなければならないほど貧乏でした。
この権力と富が分離した社会というのは西欧にもなく、実に驚くべきことです。
翻って中国は、21世紀になっても総選挙もできず、権力を一部で独占し、さらに黒社会とも結びついて人民を搾取、弾圧し、富も独占しているという道理のかけらもない社会に見えますね。
イデオロギーと指導者の無謬性という虚構の中で、社会はますます混沌としていくように思えてなりません。
過去の毛沢東統治時代の話は、ごく普通の一般人はそんな事を忘れ去っているようで、その時代がよかったという話を中国人同士でしている場面に遭遇した事も、日本人の私に語ってくれた事もないので、少し興味を持って中国人に質問してみようかなと思いました。
多分、私の周囲にいる中国人は過去の貧しかった頃の中国を消し去りたいと思っているようだから、また違った反応が返ってきそうな予感がしています。
私の周囲にいる中国人は一般的な中国人と比べてどうなのかは、私はそんなに中国人と付き合いがあるわけじゃないから実体験として語れるほどのものはありませんが、純朴な人が多いような気がします。
それが共産党に関係するとマフィア化するのか、元々中国人の素質としてあるのかはわかりませんが、知れば知るほど不思議な国だと言う感想を私は持っています。
ひとつだけいえるのは、学者や日本の政治家が中国共産党に案内されて見る中国と、若いペーペーの一企業の歯車である私が見る中国はまったく違う顔を見せていると思います。
そういえば、アメリカ人が支持政党を明かせば簡単に人間関係を壊せるのを見ると、つくづく郷に入れば郷に従えという格言を思い出します。
こんばんは。
江戸時代の日本は明らかに民主主義ではなかったけれども、武士道のような倫理や道義の規範が厳存した。その状況と中国とを比較するとーーー
興味ある比較の発想ですね。
日本について改めて前向きに考え、中国を客観的にみることを促す(期せずして)コメントだと思いました。
自民党の二楷氏や民主党の小沢氏にはわかることのない中国にいつも接しておられるようですね。
コメントから洞察や寛容というような特徴を感じさせられましたが、その特徴のために、日ごろ、中国の現場で傷つくことが多くないよう、願うところです(勝手な想像の解釈で僭越ですが)
>米政府は、北朝鮮のテロ支援国指定を解除する条件の一部として、寧辺(ヨンビョ
>ン)の核施設の無能力化完了に加え、核計画の申告時に「核爆弾の材料となるプル
>トニウムの抽出量」「ウラン濃縮計画の実態」「シリアなど外国への核移転の状況>――の3点の明示を北朝鮮に求める方針を固めた。6か国協議関係筋が30日、
>明らかにした。北朝鮮が米国の要求を全面的に受け入れる可能性は低く、テロ支援
>国指定の解除時期が大幅にずれ込むのは確実となった。
予てより「ウランに手をつけないまま無能力化」と叫んでも、全く意味のない事と、
危惧されていたわけですが、どうやらシリアに関する虎の尾を踏んでしまった事や
新たにロシアから持ち込まれた特製アルミニウム管の疑惑が、こうした明らかに
高いハードルを突きつけたと言えますね。これで果たして、北は嫌々ながらも
3点の明示をするのでしょうか...。
そうですね。
もしこの記事がすべて正確だとすれば、いや、一部でも正確だとすれば、日本にとって朗報でしょうね。
そもそも米側で、こういう諸点を問題にしている議員や学者たちが存在するわけです。