アメリカでこのところイラクやアフガニスタンでの米軍の行動を批判的にとりあげた、いわゆる「反戦映画」が続々と封切られたものの、記録破りの不人気となり、そのことが話題となっています。

その現象を産経新聞本紙で報じました。
以下がその記事です。
写真はその各映画の宣伝カットを載せました。


反戦映画、米で大不振 イラク・アフガン題材
2007年12月17日 産経新聞 東京朝刊 総合・内政面


 【ワシントン=古森義久】イラクやアフガニスタンを題材とする米国の反戦映画が軒並み大不振を記録し、逆に話題の的となってきた。米国民の多数が自国の軍事行動に反対だからか、それとも実際に戦う自国将兵の行動を悪く描くことに反発するからか。大手マスコミまでが映画評を越えての政治評論を始めた。



 ≪超有名スター主演≫

 米国では9月から11月にかけ、イラクとアフガニスタンで米軍がかかわる戦争を批判的に取り上げた映画5本ほどが相次いで封切られた。なかでも注視されたのはロバート・レッドフォード監督でトム・クルーズ、メリル・ストリープという超有名スター主演の「ライオンズ・フォー・ラムズ(子羊のためのライオン、邦題は「大いなる陰謀」)」という作品。

 2001年の米国のアフガニスタンでの対タリバン戦争をきわめて否定的に描いていたが、11月上旬の全米封切りの週末に売り上げ第13位、以後、18位に下がり、12月9日までの週では全米32位にまで落ちた。同週までの売上総額1450万ドルで、製作費3500万ドルの半分以下、ほぼ同期間に上映された「ビー・ムービー(ハチの映画)」というアニメ映画の収入の8分の1となった。


Lions for Lambs


 演技派スターのトミー・リー・ジョーンズ主演の「イン・ザ・バレー・オブ・エラ(エラの谷で)」もイラク戦争帰りの兵士の悲劇を描く反戦映画だが、封切り当初から第35位、その後も71位とか83位に落ち、興行収入も12月中旬までの総額で700万ドル未満だった。







 同じイラク戦争での米軍兵士のイラク少女暴行を主題としたドラマ映画「リダクテッド(改訂)」は11月中旬の封切りの週末に第67位、全米での売上総額わずか約2万5000ドルという近年の最少額を記録した。エジプトのテロ容疑者を米国当局が連行するドラマ「レンディション(上演)」も有名スターを出演させながら最下位に近いランクとなった。
 Redacted

Rendition 


 ≪強すぎる政治主張?≫

 こうした反戦映画の超不人気は政治評論のテーマともなった。大手紙ウォールストリート・ジャーナルは社説で「誰もみにこない戦争映画が並んだようだ」と皮肉り、「『ライオンズ・フォー・ラムズ』は映画に偽装した政治主張のようだ」と批判した。

 同社説はこれら映画の不振の理由として「いま現在、戦っている米軍将兵を殺人者や暴行魔に描くドラマをみたいという米国人が少ないのは当然で、戦場でのヒロイズムや自己犠牲、そして自国の勝利を欲するのが普通だろう」と論評する一方、ベトナム戦争について「ディア・ハンター」とか「プラトーン」という反戦映画がヒットしたのは「その戦争が終わり、数年が過ぎていたからだ」とも解説した。