イラクでは米軍とイラク政府による治安の回復作業がさらに大幅に前進しているようです。
イラク情勢のそうした好転はこのサイトでもすでに数回、伝えてきたとおりですが、その治安の改善がさらに顕著となってきたのです。

この情勢の好転は一時的かもしれません。
血なまぐさいテロ攻撃はまた頻発するかもしれません。民族間、宗派間の闘争に再び火がつくかもしれません。
さらにまたイラク全土が一挙に安全になってしまった、というわけでもありません。局地的にはテロ攻撃や宗派間の衝突がまだ起きているところもあります。北部のクルド人へのトルコからの攻撃も、従来とは異なる要因とはいえ、不安定の原因となっています。
How it works 2-18-05


(上は以前に紹介したイラクで活動するフリーのマイケル・ヨン記者が撮影した写真です)

しかしそれでもなおイラク全体として半年前、一年前とくらべてテロ勢力の攻撃が減り、米軍将兵やイラク民間人の死傷者が減り続けていることは、どうにも否定ができません。このイラク情勢の好転はアメリカでブッシュ政権の対イラク政策に反対してきた民主党側でも認めています。

そしてマスコミではブッシュ政権のイラク平定作戦に最も激しく、最も一貫して反対するキャンペーンを展開してきたニュヨーク・タイムズでさえも、いまのイラクの治安回復を何度も、かつ多角的に報じています。その一例を紹介します。

12月22日付のニューヨーク・タイムズに掲載された「イラクの現状」というグラフを主体とする記事です。筆者はこれまた反ブッシュの民主党リベラル系シンクタンク「ブルッキングス研究所」のマイケル・オハンロン上級研究員らです。オハンロン氏は安全保障の若手研究学者で、アメリカのマスコミに広範に研究成果を発表しています。
その記事のグラフ部分が下記のとおりです。一年前との比較が主体です。
情報源は米国防総省、イラク政府、国際機関などだそうです。


                     2006年11月     2007年11月   
暴力によるイラク人死者数         3,450         650

米軍将兵の死者数                 69          40

イラク治安部隊の死者数            123           89 

1日平均のテロ・宗派攻撃件数        180           80

死者を出した爆発件数               65           22  

石油生産(1日のバーレル)            210万        240万


以上、主要なデータだけです。
この数字をみると、オハンロン氏らは国防総省の発表よりも、「情勢好転」を控えめに測定していることが明白です。 それでもなお「イラクの安全環境はかなり向上した」と評価する一方、政治的な和解はまだだし、治安もまた悪化の道をたどる可能性があることを付記しています。しかしいまのイラクの情勢が好転していることは正面から認めているわけです。

朝日新聞はニュヨーク・タイムズと提携しながらも、イラク情勢のこうした、いま最大の特徴はツユほども報じていません。むしろ「イラクの治安は悪化」などと大ざっぱな記述を繰り返しています。
まあ、アメリカの対イラク政策に激しく反対し、その効用をすべて否定してきたのですから、それが万が一にも、「成功」していまうことなど、あってはならない、ということでしょうか。そうした態度が砂に頭を突っ込むダチョウと同じでなければ、幸いです。