米国大統領選挙の民主党候補指名争いはまだヒラリー・クリントン上院議員とバラク・オバマ上院議員との間で激しく続いているようにみえますが、アメリカの政治プロたちの間では、もうすでに勝負がついたという観測が急速に広がっています。
Barack Obama and Hillary Clinton
     写真は 2月21日のテキサス州での討論会

「米国初の女性大統領」「ヒラリー旋風」「ヒラリー・クリントン候補の圧倒的優位」――などなど、日本でもヒラリー女史の勝利を断言する向きも少なくありませんでした。
しかしヒラリー女史は対抗馬のオバマ候補に、すでにもう9州連続で負けているのです。2月26日の夜に開かれたクリントン対オバマ討論の第20回目でも、直後の世論調査では「オバマ候補が討論に勝った」と答えた人が70%で、クリントン候補の勝だと答えた人は全体の30%でした。

いや、まだテキサスとオハイオの両州での3月4日の予備選があり、ヒラリー女史はそこで勝利を飾り、オバマ候補に対する劣勢を挽回できるのだ、という説もあります。ところが真の政治プロの間では、現実にはもう勝負がつき、ヒラリーの挽回は不可能だという見方が定着しつつあるようなのです。

その代表的な見方がロバート・ノバック氏がワシントン・ポスト2月25日付に載せたコラム記事です。ノバック氏は全米に広く知られた政治評論家です。保守系ですが、大統領選挙に関しては長年の多角的な洞察で有名です。このコラム記事を紹介しながら、
ヒラリー女史の大統領選キャンペーンの真実を探ってみましょう。

ノバック氏のコラムは「誰がヒラリーに告げるか」と題されていました。
その要旨は次のとおりです。

「オバマ候補が2月19日、ウィスコンシン州でクリントン候補に対する9回連続の勝利を飾った時よりも前に、民主党内の長老的な人物たちは、次のような質問を自らに発していた。『誰がヒラリーに彼女の選挙戦はもう終わり、民主党の指名はもはや獲得できなくなった、ということを告げるのか』と」
「同様に、ヒラリーが大統領選レースから離脱するのが早ければ早いほど、民主党が11月の本番選挙で共和党候補のジョン・マケイン上院議員を打ち破る可能性が高くなる、ということも、ヒラリーに告げねばならないのだ」
「ヒラリーが民主党の指名候補にはなれないことは、実はウィスコンシン州での予備選の前から明白となっていた。最悪の悪夢のシナリオは、彼女がウィスコンシンでオバマに勝ち、『挽回』を宣言して、テキサスとオハイオでも勝つという展開だろう。そうなると
ヒラリー対オバマの戦いは8月末の民主党全国大会まで激しく続くことになる。だがそれでもヒラリーは指名は獲得できないだろう」
「民主党にとってはヒラリーとオバマの激しい戦いが長く続けば続くほど、党内の団結が乱れて、共和党のマケインを利することになる。そのことを誰がヒラリーに告げ、とにかく一刻でも早く彼女を選挙戦から離脱させることが肝心だ。だが誰がヒラリーの首に鈴をつける役を果たすのか。それが問題なのだ」

 ノバック氏のコラム記事はそう述べています。そして、いまの民主党系選挙民全般の動きがオバマ候補支持へと大きく流れていることを指摘します。
 ヒラリー・クリントンの大統領選挙への出馬は、もうすでに終わったことに等しいのだ、というわけです。
 アメリカにはこんな厳しい考察もあるということです。