アメリカ大統領選挙のバラク・オバマ候補は黒人でありながら、これまで黒人であることを正面から問われませんでした。人種問題について正面からの議論を求められたり、問われたりすることも、ありませんでした。
自分の演説で再三、述べてきたように、「黒人とか白人という区別を越え」という次元で支持を集めてきた、という感じだったのです。

それがここにきて、突然、奇妙な形で、黒人であることや人種問題への自分の見解を述べざるをえなくなりました。
オバマ氏がこれまで拠点としてきたシカゴの黒人キリスト教会のジャレマイア・ライト牧師が過激な反米、反白人の演説を定期的にしていることが判明したのです。オバマ候補はライト牧師を子供のころからよく知っていて、もう20年もその説教を聞いてきた、というのです。

しかし、それにしてもライト牧師の発言は過激です。

「アメリカに呪いあれ!」

「アメリカは人種差別の国だ!」

「アメリカはウソをつく!」

「ルーズベルト大統領は日本のパールハーバー攻撃を知っていた」

ライト牧師はこんな言葉を連発してきました。
オバマ氏は同牧師を師と仰ぎ、毎週の日曜日の礼拝と説教のために同牧師の教会に出かけていました。
当然、このライト牧師とのつながりを説明しなくてはならないようになりました。

18日、人種問題で演説をするオバマ氏。

さあオバマ氏のこの過激派牧師とのきずなが全米に広く知られると、同氏への支持はかなり激しく落ちました。
ライト牧師の一連の過激なアメリカ弾劾演説がいっせいに報道されたのが3月14日の金曜日、その後の24時間でオバマ氏への全米50%の支持率が一気に44%にまで下がりました。逆にヒラリー・クリントン候補は42%から45%近くにまであがったそうです。

                                ライト牧師(右)と並ぶオバマ候補
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Obama Race Speech: Read The Full Text                      

遊説中のオバマ氏。

さてオバマ氏は3月18日夕方、選挙運動先のフィラデルフィアで、ついに人種を主題に演説をしました。ライト牧師については長年、教えをうけたことに感謝する一方、同牧師がときおり口にするアメリカ糾弾の言葉には同調しない旨を明確に示しました。

以上の演説はなかなか立派でした。
しかしオバマ氏はここにきて、メディアからも批判的な扱いを受けるようになりました。
さあ、この変化がオバマ氏にとっての危機なのか。
行方が注視されるところです。