日本人であれば、日本の言語や文化を自分の子孫に受け継いでいかせようと考えるのは自然でしょう。日本国内で暮らしていれば、そんな自明なことには考えをいたらせもしないでしょう。
しかし日本人が海外に長く住んだ場合は事情は複雑です。
アメリカにも日本人の長期在住者は永住、定住を含めて40万近くいるそうです。
そういう人たちは自分の子供に「日本」をどう教えるのか。どう継がせるのか。難題です。いくら個人の問題、私的な課題だといっても、なお日本人全体にとっての真剣な関心事である「日本のアイデンティティー」がからんできます。
そんなテーマを考えさせられる機会がありました。
ことは柔道の山下泰裕氏のワシントン来訪が契機でした。
山下氏は日本国外務省の公式招待でアメリカを訪れました。
まず私が書いた記事を紹介します。
しかし日本人が海外に長く住んだ場合は事情は複雑です。
アメリカにも日本人の長期在住者は永住、定住を含めて40万近くいるそうです。
そういう人たちは自分の子供に「日本」をどう教えるのか。どう継がせるのか。難題です。いくら個人の問題、私的な課題だといっても、なお日本人全体にとっての真剣な関心事である「日本のアイデンティティー」がからんできます。
そんなテーマを考えさせられる機会がありました。
ことは柔道の山下泰裕氏のワシントン来訪が契機でした。
山下氏は日本国外務省の公式招待でアメリカを訪れました。
まず私が書いた記事を紹介します。
【あめりかノート】ワシントン駐在編集特別委員・古森義久
2008年03月24日 産経新聞 東京朝刊 1面
■「日本の継承」にも希望
柔道の山下泰裕さんが2月下旬、ワシントンを訪れた際、「ワシントン日本語継承センター」に招かれた。小講堂のマットでまず同行した東海大学柔道部出身の一流選手3人が実技を披露した。鋭い投げ技に受け手の体が宙に舞う。ぎっしりと床に座った50人ほどの子供たちがそのたびに、「おっ!」とどよめく。
この日本語学校は日本に必ず帰る駐在員たちの子弟用とは異なり、米国定住の日本人や両親の一方が日本人の子供たちが主対象である。
山下さんはそんな生徒たちに「柔道の心」にからめて「日本の礼節や思いやり」を平易な日本語で語った。「オリンピックで優勝し、君が代を聞き、日の丸をみたときが一番うれしかった」という結びの講演だった。そして質問を求めると、いかにも米国らしく数本の手がすぐ上がった。
「柔道は合気道や剣道とはどう違うんですか」
指さされた少女がよどみのない日本語で問うた。ポニーテールの金髪、外見に「日本」の形跡はいささかもない子だった。山下さんもびっくりしたらしく、「ウーン、いい質問ですね」と数瞬、詰まってから答え始めた。
日本とはまったく無縁にみえる平均ふう米国人少女がなぜ完璧な日本語を話すのか。あとで本人に尋ねてみた。
「あたしは東京の杉並区立馬橋小学校に4年まで通っていました」
ミケラ・ブリンスリーさん、10歳だという。8歳の妹サラさんがそばにいて、同様に自然な日本語を話した。
機会を改め、姉妹の一家から話を聞くと、このユニークな現象の由来が判明した。
姉妹の父ジョンさんは昨年秋まで約5年、経済メディアのブルームバーグ社東京支局の次長兼記者だった。以前にも合計6年、英語教師や特派員として滞日し、日本語を学び、合気道に励んだ体験から子供たちには日本の教育を望んだ。妻のカタランさんも「子供たちが日本に何年も住みながら日本の教育を受けないのはもったいないと考えた」という。その結果、娘たちは阿佐ヶ谷幼稚園から馬橋小学校に通い、アメリカンスクールとは無縁に終わった。
ジョンさんは「私が好きになった日本の文化や社会のすぐれた面を子供たちにも学んでほしかった」という。日本はこの米人一家にはそれほどの魅力を発揮し、しかも失望させなかったということだろう。ジョンさんにすれば、「わが内なる日本」のまさに継承だともいえる。
「継承センター」も自らの日本へのアイデンティティーを日本語の教育で子供に受け継がせようという日本人が主体で開設された。椿谷茂校長とともに5年前に発起人となった越谷直弘、恵子夫妻は「将来、日本国民にはならないだろう子供たちにも日本語を継承させるために、まず楽しい教育に努めることが方針」と語る。とはいえ、「日本の継承」は「日本の国際化」にくらべ、まずハイライトを浴びない。
だが山下さんらが「継承センター」を去るとき、生徒たちがさっと起立して、代表が「ではわたしたちからのプレゼントです」と述べた。そしてみんなが君が代を斉唱した。ミケラさん姉妹も山下さんもいっしょに歌っていた。日本の継承にも希望があるな、とふっと感じた。
不鮮明ですが、上は山下泰裕氏が「ワシントン日本語継承センター」で2月23日に生徒たちに講演をしている風景です。
下の写真はこの「継承センター」の教室の情景です。
中央の大人の男性が校長の椿谷茂さんです。そのすぐ右が日本語を完璧に話すミケラさんです。
この下の写真は今回、全米の児童の「日本語年賀状」コンクールで優勝したエミリーさん(左)とミケラさんの妹のサラさんです。サラさんも馬橋小学校に通い、きれいな日本語を日本人少女たちと同じような流暢さで話します。
下はエミリーさんが日本語年賀状コンクール優勝の表彰状を掲げた写真です。
後ろにいるのは山下泰裕氏の助手として来訪した東海大学柔道部の稲葉将太(左)、紫牟田武徳両選手です。
柔道の山下泰裕さんが2月下旬、ワシントンを訪れた際、「ワシントン日本語継承センター」に招かれた。小講堂のマットでまず同行した東海大学柔道部出身の一流選手3人が実技を披露した。鋭い投げ技に受け手の体が宙に舞う。ぎっしりと床に座った50人ほどの子供たちがそのたびに、「おっ!」とどよめく。
この日本語学校は日本に必ず帰る駐在員たちの子弟用とは異なり、米国定住の日本人や両親の一方が日本人の子供たちが主対象である。
山下さんはそんな生徒たちに「柔道の心」にからめて「日本の礼節や思いやり」を平易な日本語で語った。「オリンピックで優勝し、君が代を聞き、日の丸をみたときが一番うれしかった」という結びの講演だった。そして質問を求めると、いかにも米国らしく数本の手がすぐ上がった。
「柔道は合気道や剣道とはどう違うんですか」
指さされた少女がよどみのない日本語で問うた。ポニーテールの金髪、外見に「日本」の形跡はいささかもない子だった。山下さんもびっくりしたらしく、「ウーン、いい質問ですね」と数瞬、詰まってから答え始めた。
日本とはまったく無縁にみえる平均ふう米国人少女がなぜ完璧な日本語を話すのか。あとで本人に尋ねてみた。
「あたしは東京の杉並区立馬橋小学校に4年まで通っていました」
ミケラ・ブリンスリーさん、10歳だという。8歳の妹サラさんがそばにいて、同様に自然な日本語を話した。
機会を改め、姉妹の一家から話を聞くと、このユニークな現象の由来が判明した。
姉妹の父ジョンさんは昨年秋まで約5年、経済メディアのブルームバーグ社東京支局の次長兼記者だった。以前にも合計6年、英語教師や特派員として滞日し、日本語を学び、合気道に励んだ体験から子供たちには日本の教育を望んだ。妻のカタランさんも「子供たちが日本に何年も住みながら日本の教育を受けないのはもったいないと考えた」という。その結果、娘たちは阿佐ヶ谷幼稚園から馬橋小学校に通い、アメリカンスクールとは無縁に終わった。
ジョンさんは「私が好きになった日本の文化や社会のすぐれた面を子供たちにも学んでほしかった」という。日本はこの米人一家にはそれほどの魅力を発揮し、しかも失望させなかったということだろう。ジョンさんにすれば、「わが内なる日本」のまさに継承だともいえる。
「継承センター」も自らの日本へのアイデンティティーを日本語の教育で子供に受け継がせようという日本人が主体で開設された。椿谷茂校長とともに5年前に発起人となった越谷直弘、恵子夫妻は「将来、日本国民にはならないだろう子供たちにも日本語を継承させるために、まず楽しい教育に努めることが方針」と語る。とはいえ、「日本の継承」は「日本の国際化」にくらべ、まずハイライトを浴びない。
だが山下さんらが「継承センター」を去るとき、生徒たちがさっと起立して、代表が「ではわたしたちからのプレゼントです」と述べた。そしてみんなが君が代を斉唱した。ミケラさん姉妹も山下さんもいっしょに歌っていた。日本の継承にも希望があるな、とふっと感じた。
不鮮明ですが、上は山下泰裕氏が「ワシントン日本語継承センター」で2月23日に生徒たちに講演をしている風景です。
下の写真はこの「継承センター」の教室の情景です。
中央の大人の男性が校長の椿谷茂さんです。そのすぐ右が日本語を完璧に話すミケラさんです。
この下の写真は今回、全米の児童の「日本語年賀状」コンクールで優勝したエミリーさん(左)とミケラさんの妹のサラさんです。サラさんも馬橋小学校に通い、きれいな日本語を日本人少女たちと同じような流暢さで話します。
下はエミリーさんが日本語年賀状コンクール優勝の表彰状を掲げた写真です。
後ろにいるのは山下泰裕氏の助手として来訪した東海大学柔道部の稲葉将太(左)、紫牟田武徳両選手です。
コメント
コメント一覧 (52)
小学校の音楽の教科書で気になりますのが、やたらと外国ものが多いことです。英語、中国語、朝鮮語、アラビア語など、音楽に国境なし!音楽をとほしてちきゅうのみんなはなかよくしよう!といったかんじです。悪くはないことですが、もっと日本の唱歌があっていいのにとおもひます。
国旗については、いつごろから日の丸が使用されたのかを簡単に説明し、法律によって正式に国旗ときめられましたと多くの教科書(小6社会)がさうなってゐます。これで検定はパスするんですね。やはり「祝祭日には日の丸を掲揚しましょう」くらいの記述があって、教育されるようにならんといけません。
また涙ぐんでしまいました。この手のエントリは私の涙腺ツボにスポっとはまってしまいます…(笑)
日本に税金を納めていない在米邦人は、外務省にとっては支援、保護する対象ではないようです。それは仕方のないことと半ばあきらめていますが、「日本のアイデンティティー」は日本に住む日本人よりも強いと思っています。この継承センターは残念ながらDCだけで、今後全米に広がることに希望を抱いています。
以前住んでいた所に同じ思いの日本人母が数名いて、豆まき、桃の節句、お花見、端午の節句、七夕など日本の行事を一緒にしていました。子ども達の教育に関して、一緒に悩み励ましあいましたし、某掲示板にもそういうトピがいくつもありました。
外から日本をみていると、自信や「日本のアイデンティティー」が薄れているように感じ、そのことへの警告音ぐらいは私にも発することができるのではと愚考し、こうしてイザユーザーになっています。
米国に関わらず、海外に長く在住する日本人にとって、日本への思いや自覚は、時間の経過とともにより強くなるように思います。 余り、日本人に会う事もなく、帰国する事も少ないですが、最近の日本人の変容には「世代の交代」では説明つかない程のものを感じます。
最近の様々な日本の出来事を見る時、私の中の日本が今や幻のようで寂しく思いがちですが、風前の灯火とはいえこのような良い話もあるんですね。
日本を理解してもらうには、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を読んでもらうのが一番ではないでしょうか。
坂本竜馬がワシントンを尊敬していたこと。それはワシントン市にとっても、因縁のひとつといえるのではないでしょうか。
アメリカの大統領は、下女の生活ことを心配する。だが、徳川将軍は幕府のことしか考えていない。アメリカの大統領は下女の生活を安逸にしなければ再選されない。しかし、徳川将軍は…。と、司馬氏は書いています。
☆
日本の礼儀や所作の美しさも、戦国時代の一期一会的な厳しさをイメージできなければ、有職故実でしかありません。
センセーショナリズムでもあり、キリスト教とも隔たるのかもしれませんが、幕末の志士たちが切腹通じて、個の自律をまっとうしようとしたことを知ることで、日本精神の奥深さを感じてもらうこともひとつでしょう。
(人間の生き死には自然現象であり、本来他律である。)
日本精神とは、大いなる自律であり、西欧の他者制御による文化とまったく異なるものです。私は、昨今の官僚腐敗は、中途半端な他者制御が原因だと考えています。トヨタのカイゼンシステムも個の自律制御を基本としています。
個を中心にすえた西欧文明は、他者制御によって社会システムを整えている。その大いなる矛盾が日本にも押し寄せているのではないでしょうか。
今回の日銀総裁の空席も、三権分立という他者制御の弊害と思えてなりません。
日本の教科書では「日本」を希薄にすること、あるいは無視することが珍しくないのですね。
「(音楽に)国境はない」と日本の「識者」だけが宣言してみても、他の諸国はみな自分の国には国境を厳然と設けているわけです。その現実をみず、あたかもその現実がないかのごときにふるまう人々は、私は日本のなかだけでしかみることがありません。
豆まき、桃の節句、お花見、端午の節句、七夕ーーー
懐かしいですね。いいですね。
なくしたくないと強く思います。
これまでのあなたのコメントとはまた異なる側面をみたという実感です。
日本を遠く長く離れれば離れるほど、日本をより強く思い、意識する、というのは本当に真実だと思いますね。
お久しぶりですね。
日本の精神とは大いなる自律、
そして日本を知るには「竜馬がゆく」ですね。
覚えておきます。
狭い広場を埋め尽くした人たちが、伝統の歌を一斉に歌いだした時、強烈な孤独と望郷を感じました。
継承された伝統と文化を持たない人間は、本当に無力な存在だと思います。
私にも同様の体験が何度もあります。
異邦人が自分たちの文化や伝統に誇りと愛着を示し、よろこびをいっぱいに表現するのをみて、では自分は、自分たちはどうなのか、と問い、急に淋しくなるという気持ちでした。
お返事ありがとうございます。
その時は、田舎だったので異邦人は私一人でした。自分の存在が無くなる様な、大海にひとり浮かぶような孤独でした。
海外で暮らす方々やその子供たちが、日本の伝統に誇りを持って、そんな不安な思いをしなくていいように、記事のような活動こそ重要ですね。
この子供たちに「百人一首」を何セットか送ってあげたいな、と思いました。日本の安時代にはこのような素晴らしい和歌が詠まれていたこと、それが延々と現在でもカルタとして広く親しまれている事を教えてあげたいです。
できれば先生が歌の意味を子供に教えてあげて、歌に込められた日本人のアイデンティティーが伝えられたら最高ですね。
山下さんたちの、こういう活動は本当に大切ですねぇ。
記事を読んでいるうちに、特に、最後で子供たちが規律して、私たちからのプレゼントですと言って、「君が代」を歌う所では、思わず胸が詰まりました。
本来私たち日本人が持っていた、豊かな感性、人を、自然を、思いやる心、真摯で生真面目で、ひた向きな勤勉さ、斉しくすべてを公平に受け取ろうと努力する健気さ、額に汗を流し、一生懸命、嬉々として日々を過ごす姿勢、・・・そういう良いものを、私自身も忘れないようにしなければいけないなぁと、反省をこめて思います。
なるほど、百人一首で日本を知る、という発想ですね。
おもしろそうですね。
ちなみに「ワシントン日本語継承センター」のウェブサイトは以下のとおりです。日本語と英語の両方があります。
http://www.keisho.org/
貴重なコメントをありがとうございました。
横から失礼します。
>これまでのあなたのコメントとはまた異なる側面をみたという実感です。
(笑)私も古森さんと同じ感想だったもので… 失礼しました。
横から失礼します。
>この子供たちに「百人一首」を何セットか送ってあげたいな…
私が、喉から手が出るくらい今欲しい物です。(笑)子どもの為もありますが、私が欲しいんです。 今年の夏に一時帰国できたら、買って持ち帰えるつもりでいます。
>私が、喉から手が出るくらい今欲しい物です。(笑)
あらっ。私はアメリカには15年ほど前にニューヨークに四泊した程度なんですが、現地では「百人一首」って扱っている店はないですかね?。
今から千年以上も前に日本人はこんな素晴らしい和歌を愛で、それが延々と受け継がれ、今でもカルタ取りというゲームとして若い人たちに親しまれている、と言うことを現物で見せてあげたいと思ったのです。
買うのはたやすいですが一体送料はいくら取られるかと思うと…(^^;。
さくらの こころさん
百人一首は私も改めて読んで(見て?)みたくなりました。
改めてといっても、考えれば、すでに知っている和歌が多いわけではありませんが。
継承センターの運営委員会にも、百人一首が教材として役に立つかどうか、尋ねてみましょう。もし答えがイエスならば、こちら寄贈を考えてみます。
hanusaagiさんには、そのアイディアを提起してくださったという貴重は役割を謝して、送料のご心配はどうぞなさらずに。(きっと本体より高いと思いますよ)
>継承センターの運営委員会にも、百人一首が教材として役に立つかどうか、尋ねてみましょう。
ご賛同頂き感謝致します。プレゼントが「君が代」斉唱だなんて涙が出るじゃないですか。この「君が代」自体が古今和歌集に収められた詠み人知らずの和歌です。
それに古森さんや山下氏によって武士道や大和魂は伝えられていると思いますが、一方では源氏物語に見られるようにこの時代の日本文学も誇るべき日本の文化だと思うのです。
でも実現したら嬉しいですね。
hanausagiさんご指摘の百人一首、いはゆる和歌に代表される文化、これ、ヒントこそはシナからの賜りものかもしれませんが、その内容本文がじつはほとんどヤマトコトバであるといふことが重要な点であるやうにおもへます。文字はシナから学びましたが、言葉については学ぶ必要もなかったんですね。
ここでまた教科書に戻りますが、16年検定の小2の「こくご」にキムヘキョン氏作『とらとふえふき』(大阪書籍)が採用されてをります。この作品では動物や植物の擬音語が頻繁に登場します。たとへば、小鳥は「チョロロン」とさへずり、虎は「ウルルン」を唸り、また「タックタック」と木をたたき、その肩は「ウスクウスク」と揺れ、尻は「フンドルフンドル」と左右にうごく云々……小2ですから、内容を読み取る授業がおこなはれることはありません。対朝鮮人なかよし教育によるスリコミの一環なのでせうが、まともな教師はドンビキしてをりますでせう。ただし、これが「こくご」教科書の実態です。
日本語継承センターの設立について、多少なりとも知る私にとっては、今回のエントリーは、非常にうれしいです。
椿谷氏の元気な姿も拝見できましたし。
補習授業校に通う帰国を前提とした子弟とは違い、永住、定住の日本人子弟には、政府の援助はありません。日本語継承センターの財政も、非常に苦しいはずです。先生たちへの給与もすずめの涙でしょう。情熱だけで支えられているように、私には思えます。
To 古森さん
>
>横から失礼します。
>>これまでのあなたのコメントとはまた異なる側面をみたという実感です。
>(笑)私も古森さんと同じ感想だったもので… 失礼しました。
どのように違いますか?
温かいコメントをありがとうございます。
確かに継承センターは日本政府関連の財政支援はなく、当事者たちの情熱だけに支えられているというのは不正確な描写ではないようです。でも全体として、すごくよい雰囲気だと私は感じました。
ただし日本大使館も継承センターの存在と意義は大いに認知し、つい先日も北野充公使(広報文化担当)が同センターを訪れ、見学し、生徒や父兄、教員のみなさんと交流していました。これがなんらかの具体的な支援に結びつくとよいのですが。
それ以前のコメントの記述からだけの印象ですが、「理」をあくまで重視する方で、あまり「情」の要素を感じていませんでした。それはそれでまったく自然ですが、今回は「情」が表面に出るようなコメントだったので、「違う」と感じたわけです。
思いが強いと、文化や言語のカベを妙な具合に超えてしまうことがあるらしく、ほとんど英語で会話しているのかと錯覚するほどに、互いにわかりあえた気がしたものだった。
どんなにか細い継承でも、思いさえ強ければ、全うする。
逆に、浴びるほどにその文化に親しんでも、その後、思いを寄せなければ、たちまち風化していく。
小生の中のアメリカは80年代で止まっていて、それは世界でもっとも美しい世界だ。
友人から、「近ごろのアメリカ」を聞くにつけ、耳を覆いたくなるような違和感。
アメリカは変わった。
そして日本も変わったのだ。異郷で継承されてゆく、美しい世界とは別に。
ブラジルでもこの日本の継承という点では、以前からかなり力を入れてる事はご存じの事と思います。
が、やはりというか世代交代が進むにつれて、日本語そのものの継承はかなり難しくなっているようです。
現実に日本語は話せないものの、カラオケでは日本の歌をきちんと歌える子供たちがいると聞いた時には不思議な感覚でした。
日本のアニメや漫画といったサブカルチャーが、ブラジルでも人気ですがいずれも日本語のオリジナル版だけではダメで、当然翻訳されたものが必要です。
が、それだとやはり漫画やアニメに興味は持つがその他の(日本語および)日本の文化にはそれ以上関心がない人が多い状態で「このままでは日系社会もいつか消滅するのでは」と皆さん頭を悩ませています。
お久しぶりです、いつも貴重なエントリー、同人誌のようなコメント仲間?の会話交流もこのブログの特徴ですね。
>「柔道は合気道や剣道とはどう違うんですか」
ところで当該講演での 米国籍青い目の女の子さまからの質問に、山下氏はどのようにご回答されたのでしょうか???
というのも、日本人なら何か「道」のつくものを習得させたいと思い、愚息二人とも小さい頃から[剣道]をやらせました。もちろん道具を使う剣道は視覚的に大いに違うのは判りきってますが、大変興味あるところです。
>parkmount さん
>
>それ以前のコメントの記述からだけの印象ですが、「理」をあくまで重視する方で、あまり「情」の要素を感じていませんでした。それはそれでまったく自然ですが、今回は「情」が表面に出るようなコメントだったので、「違う」と感じたわけです。
ムー、なるへそ。 自己分析はなかなか難しいことで、元々、私自身は苦手です。でもこうしてたまには、客観的なご意見を賜る事はうれしい事で、非常に感謝致しております。
特に書き込みだけでのおつきあいですから、古森さんのご意見は、鏡を見入る思いです。 それと、「情」は深いでしょうが「Tough Love」系統だと云われますね。
財団法人小倉百人一首文化財団
http://www.kyo.or.jp/ogura/index.htm
Yahoo!インターネット検定 - 百人一首タイピング大会
http://cert.yahoo.co.jp/feature/newyear_2006/
Ogura Hyakunin Isshu
http://etext.virginia.edu/japanese/hyakunin/
>ただし日本大使館も継承センターの存在と意義は大いに認知し、つい先日も北野充公使(広報文化担当)が同センターを訪れ、見学し、生徒や父兄、教員のみなさんと交流していました。これがなんらかの具体的な支援に結びつくとよいのですが。
これもうれしいことですね。具体的、かつ継続的な支援がぜひとも望まれます。継承日本語学習者を政府として応援することは、日本にとっても大いに有益なことだと思います。
推測ですが、1980年代と現在ならば、アメリカのほうが日本よりは変わっていないと思いますね。
最近もアメリカをごらんになっているのかも知れませんが。
10年ほど前にブラジルに行ったとき、日系ブラジル人の方々にあって、日本人とまったく同じ日本語を話すので、日本在住の経験を尋ねたら、ほとんどゼロ、ブラジル生まれでブラジル育ちという人がたくさんいたので、びっくりした記憶があります。
すごい日本語の継承状態だったと感じたわけですが、私が見聞したのは例外だったのでしょうか。
私も質問者のあまりに自然な日本語にぽかんとしたので、答えのほうの記憶が定かでないですが、剣道は防具など器具をたくさん使うので、体のぶつかりあいが少ない、合気道は形の練習が多いようだ、という趣旨だったと思います。
百人一首についての情報をありがとうございました。
そうですね。
日本政府の認知があるか否かだけでも、だいぶ違いますね。
>実はこの百人一首、綺麗な写真入の解説書が多数でているのではないでしょうか。<
ご指摘、ありがとうございます。
確かに調べてみるだけの価値がありますね。
>継承センターの運営委員会にも、百人一首が教材として役に立つかどうか、尋ねてみましょう。もし答えがイエスならば、こちら寄贈を考えてみます。
喜ばれると思います。どうぞ宜しくお願いします。
絵だけでも、耳から聞くだけでも価値があると思っていましたが、「parkmount」さん「しゅん」さんのように更に一歩踏み込めば更に価値は高くなりますね。
>(きっと本体より高いと思いますよ)
本当に… 私は貧乏性なものでそれを心配して、母にも「送ってくれなくていいよ」と言っています。(笑)
心が温かくなってきました。ありがとうございます。
>>(笑)私も古森さんと同じ感想だったもので… 失礼しました。
>
>どのように違いますか?
ご気分を害されたとしたら、お許しください。
いつも「parkmount」さんの投稿を拝読していて、その広く深い知識に感嘆し、お仕事上必要とされているのか、向学心からか存じませんが勉強量を察し敬服しております。「理」の強さを感じてましたから、「情」の弱さを垣間見た思いがしました。
>実はこの百人一首、綺麗な写真入の解説書が多数でているのではないでしょうか。…
>これが、百人一首1セットに一冊ついていると、和歌や古文の知識がなくても、「義務教育レベルの日本語」さえ出来れば、一首一首の作者の事、歌の背景・・・・なんでもOKだと思うのですが、如何でしょうか?
中学生の頃、学校で百人一首選手権なるものがあり全首覚えたのですが、今はもう… その頃も今もそうですが、読めてもその心までは詠めませんので、解説書が必要ですね。ありがとうございます。私も探してみたいと思います。
>>>(笑)私も古森さんと同じ感想だったもので… 失礼しました。
>>
>>どのように違いますか?
>
>ご気分を害されたとしたら、お許しください。
>いつも「parkmount」さんの投稿を拝読していて、その広く深い知識に感嘆し、お仕事上必要とされているのか、向学心からか存じませんが勉強量を察し敬服しております。「理」の強さを感じてましたから、「情」の弱さを垣間見た思いがしました。
いや、どうぞ御心配なく。 全く気分を害していません。 自信がどのように見られているのか知りたいと思うのも、Curious George的な好奇心からでしょう。 返って買い被って戴いているようで、恐縮致します。
普及版から光琳かるたの復刻版まで扱っている京都の業者(大石天狗堂)のHPです。光琳かるたは取り札まで「みやび」に彩色されており、HPで1首ずつ画面で見ることもできます。(値段はアレですが、見るだけならタダなので…笑)
http://www.tengudo.jp/korin/korin01.html
それでも彼らにとって日本はいまだ「祖国」なんですね・・・
貧しかれど葡萄の房を酔いて抱く誰が身の夢に降り積もる雪
深夜鳴くプレスの音の途切れしは 祖国とはかく雪降る銀河
-----工場のプレス機の事故で死んだ男僅かな見舞金の話をきいて
へええという情報をありがとうございます。
百人一首について急に物知りになった気分です。
ただし13万円のセットが私にふさわしいというのは、ちょっと誤解があるようですね。
ところで、以下の記述には思わず噴き出しました。後段の文章です。
いつも文章を書いていても、私にはこういう表現がさっと出てくる才はないのだな、とも実感しました。
>現地の友人を招いてのティーパーティーでお使いになっては如何でしょうか?
BGMにちょっと雅な曲を流しておいて、厳かに取り出す。<
この田村将軍堂のシリーズは例の
お知らせをありがとうございます。
百人一首という私自身が忘れかけていた日本のものが厳存するだけでなく、多くの方々が強い関心を保持されていることがわかり、うれしいです。
こういう人たちがいるんですね。
こういう心情だというのも、感ずるところ大です。
>それでも彼らにとって日本はいまだ「祖国」なんですね・・・
貧しかれど葡萄の房を酔いて抱く誰が身の夢に降り積もる雪<
>セアラ小太郎 さん
>すごい日本語の継承状態だったと感じたわけですが、私が見聞したのは例外だったのでしょうか。
こんばんは。
古森さんがお会いされた方と言うのはおそらく親御さんからしっかりした日本語教育を受けた方々だと思います。
以前ニュース記事か何かで読んだことがありますが、日本の漫画やアニメなど日本語の教材となるものを自分から積極的に受け入れて勉強してる子供たちもいます。
実際それぞれの州の日本人会でも内部で子供たちに日本語教育をする日本語教室と言うのもありますし、教育に取り組んでいるのは確かなのです。
ただ一方で、子供たち自身が"日本語をあまり勉強したがらない"というケースもあるので、日本語を話せる人とそうでない人の格差が世代を重ねるごとに広がってるようです。
ポ語をはじめ、アルファベットが基本の欧米の言語と違い"ひらがな、カタカナ、漢字(時には数字やアルファベットも)"を組み合わせて成り立っている日本語は覚える文字や単語、文法も数多くそれが「日本語は難しい」と敬遠させる原因になっていることもあるでしょう。
日系人ではないブラジル人で日本語の勉強をし「いつかは日本で勉強したい」という青少年もいるので悲観的になることはないのかもしれませんが、地域格差(あるいはそれぞれの家庭の事情)をどう埋めていくのかと言う事について考えないといけません。
ブラジルの状況のお知らせ、ありがとうございました。
日本の継承とはやや異なりますが、ブラジルでは柔道はすごく盛んのようですね。
3月23日のニューヨークでの国際大会でもブラジル選手が大活躍でした。
100キロ超級では世界第3位のブラジル人の若手選手が日本の東海大学OBの大川康隆選手とものすごい熱戦を繰り広げ、10分もの試合のあと、判定で勝ちました。
おっと話が脱線しました。すみません。
補足です。
率直に申して、しゅんさんと百人一首というのは意外な組み合わせでした。
英語だと、pleasant surprise とでもいいましょうか。
>是非日本大使館に主催して頂きたいと思うのですが、
>ポトマック川の辺(ほとり)にさくらの花びらが舞い散る頃、その下で緋毛氈を広げて、日本から招聘した「かるたの女王」かなんかの模範演技を中心に、沢山の子供達が百人一首に興じるなんて、素敵だと思いませんか?
*こんばんは。良いですね。「さくら祭」の恒例にでもなると素敵ですね。百人一首の競技、子供たちはとても好きですよ。
古森様
申し送れました。ちょうど「継承後話者」についてエントリを立てたところでしたので、トラックバックさせていただきました。ご承諾ください。
はい。
TBをありがとうございました。
おはようございます。
返事がかなり遅くなりましたが・・・。
ご指摘の通りブラジルでは柔道はかなり盛んです。昨年の世界選手権でもかなりの好成績を残した選手がいたようです。
他に日本から入って来たスポーツと言えば(発祥ではありません、念のため)野球、空手、合気道などもありますが。
やはり柔道が1番人気ですね。
ちなみに"ブラジルにはない日本のスポーツ"として、先日ブラジルで最も大きいTV局のGLOBOが日本で行ったレポートで剣道が紹介されていました。
トラバさせていただきます。