中国当局によるチベット人の抗議運動への弾圧の波紋はさらに全世界に広がっているようです。国際社会ではその余波の第一として8月に予定された北京五輪への影響が語られています。

なおチベットでの出来事が米中関係全体に与える影響については、別なところに詳しいレポートを書きました。関心のある方は読んでください。

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/i/71/

さて、チベット弾圧と北京五輪について述べるならば、これほどの人権蹂躙をする国家が主催するオリンピックに他国のスポーツ選手や一般国民は喜々として参加してよいのかどうか、というのがまず最大の疑問でしょう。ボイコットすべきか否か、という議論です。

しかしその一方、ボイコット論とは別に、今回のチベット民族に加えられた弾圧、その結果としてのチベット側の悲劇や惨劇は、北京五輪の性格をいやでも変えてしまう、という指摘があります。いまの「チベットと北京五輪」という課題をユニークな視点から考える思考だといえます。

その典型がワシントン・ポスト3月26日付の社説で表明されました。
「恥のオリンピック」という見出しです。
「中国は五輪を弾圧の飾り窓に変えてしまう危機を冒しつつある」という副見出しが内容を総括しています。

その社説の要点を以下に紹介します。

「中国共産党の指導者たちは北京五輪を自国のグローバルパワーとしてのデビューに使おうとしているが、いまやこの五輪は警察国家以上にはなれない政権による暴力的な弾圧、言論検閲、政治迫害などのショーケースになってしましそうになった」

「胡錦濤主席らの指導部は自分たちを改革主義者として誇示したいようだが、自分たちが実際に追求する政策が五輪主催の栄誉をいかに侵し、中国の国際イメージをいかに壊しているかを理解できないようだ」

「中国当局はチベット弾圧の以前から『北京五輪前の調和』の名の下に、自国内の法律家や反政府活動家を拘束し、出版物を差し押さえていた。中国当局は北京五輪開催の条件としてマスコミ規制の緩和を国際的に公約したのに、外国メディアのチベット関連取材を禁じ、天安門広場からの中継放送さえも禁止した」

「チベット弾圧は別にしても、中国政府は全世界でも最も犯罪的な政権への支援をやめていない。大量虐殺を支持するスーダンやビルマの残酷な軍事政権を助け、スターリン主義的な独裁の北朝鮮政権を支援し、国連の決議を無視して核武装に走るイランの政権への国際制裁を阻止する。とくに北朝鮮の政権は核兵器の申告や破棄という誓約を守っていないのに、中国はそれを支えているのだ」

「不運にも、中国指導部はブッシュ大統領を含む西側諸国の指導者たちにより、こうした政策を保ちながら、なお北京五輪を成功裏に主催できる、と思わされているようだ。フランスのサルコジ大統領は北京五輪開会式のボイコットの可能性を排さないという。だがブッシュ大統領は『スポーツ・フアン』として北京五輪に出席するという間違った言明を変えていない。ブッシュ大統領の開会式出席の計画は胡主席らに対し、反政府活動家を勝手に逮捕しても、チベット人僧侶を虐待しても、五輪の政治的イベントにはなんの影響もない、というメッセージを送ることになるのだ」

「ブッシュ大統領が出席してもしなくても、北京五輪は全世界に対して、中国の大国ぶりだけでなく、自国民の自由の否定の継続、少数民族の弾圧、無法国家との異様な連帯などを改めて明示することになるだろう。ブッシュ大統領は胡主席に対し、主席の政策がオリンピックを政治的に毒性のある行事に変えてしまうことを告げるべきだ」


さてそのチベット人への弾圧に関して、チベット側から迫真の写真が公開されました。
四川省のアバ県というところのチベット人居住区で3月16日に起きた弾圧事件の写真だそうです。
以下はそのうちの「残酷性の少ない」写真です。

 










なおこの事件の写真は以下のサイトに多数、掲載されています。
その多くは目をおおうような残酷な映像です。
その旨の事前の警告がそのサイトに明記されています。
ごらんになる方はそのことを事前にご承知ください。
http://www.freetibet.org/press/kirtiphotos.html