ドイツでの中国についての講演の紹介を続けます。

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中国当局もこの偽造品、模倣品に対しては取り締まりを宣言しています。

 実際に新たな法律を作り、知的所有権違反への罰則を強化してきました。

 とくに中国が
WTO(世界貿易機関)に2001年に加盟してから、当時の朱鎔基(Zhu Rongji)首相の主導で中央政府は偽造品追放のキャンペーンを大々的に展開しました。

朱首相は状況の改善への真の決意に燃えているようにみえました。


                                         朱鎔基氏

                                                                          朱 鎔基


 しかしホンダが
HONGDAを提訴して勝っても模造品はなお横行し、中央政府がマキタの偽物製造工場を再三、摘発しても、なお偽マキタは減らないのが現実です。

 

その背景には先に申し上げた「法治」の欠陥、そして法律よりも人間同士の関係が効用を発揮する「人治」メカニズムの存在を指摘せざるをえません。

 共産党がすべてを支配する中国では、行政、立法、司法という三権分立のチェック・アンド・バランスの機能も不全です。

 中央政府が法律に基づく命令を出しても地方の共産党委員会や行政当局の幹部がそれを履行しないことも多いのです。

 朱鎔基という人は清廉の定評ある指導者で、官僚の腐敗の追放にも努力しました。乱収費の駆逐にも先頭に立ちました。

 乱収費(
Luan Shou Fei)とは,地方の党や自治体の幹部が外国企業などから不正規に取り立てる資金のことです。

 水利用とか貧困救済という名目で、税金とは別に、豊かと目される外国企業から恣意に徴収される不明朗な資金なのです。


 

偽造品の横行を含めて中国の体制のこうした特徴を正面から指摘する日本側リーダーは少ないですが、アメリカでは率直な発言が多く、たとえば、プリンストン大学の著名な中国研究学者のペリー・リンク(Perry Link)教授は中国社会の法治の不全を「価値観の真空」(Vacuum of Values

と表現しました。

 その原因には固有の文化や習慣とはまた別に、共産主義の規律や秩序が本来イデオロギー的に相反する市場経済や拝金主義の導入によって崩れて、道義や倫理の混乱を生んだこともあげられています。(つづく)

 ペリー・リンク氏
Perry Link
                リンク氏が編纂した話題の書
          The Tiananmen Papers

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