ドイツでの中国についての講演の内容紹介を続けます。
 今回の部分は中国側の日本や日本人に対するネガティブな態度について、です。
 
 文中に私の著書のカバーを載せたのは、その部分で言及する諸課題について、それぞれの拙著で詳述しているからです。さらに深い関心のある方は本をご覧ください。

なお中国関連では北京オリンピックについて別のサイトに報告を書きました。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/i/78/
                =============


「中国人は日本が好きではない」というような、短絡で総括的な表現にはもちろん気をつけねばなりません。

 私の2年間の中国在住体験でも、中国の人たちとの友好的な交流は多々ありました。人間としてすばらしいと思える中国の人たちとも多く知り合いました。

 個人のレベル、私的な次元での日中間の人間同士のなごやかなつきあいは無数にあるでしょう。
日本に挑む中国 「いまそこにある危機」とは何か

しかしそれでもなお中国全体、中国人全体となると、日本はやはりネガティブな心情の対象だといわざるをえません。

 民間のインターネット論壇では常に日本を非難するようなサイトが多々あります。

 インターネットでの意見の表明には鋭いチェックの目を向ける中国当局も日本非難にはきわめて寛容です。

 中国官営のメディアには日本を好意的に描く記事類はまず掲載されません。

 逆に「日本に軍国主義復活の兆し」というような記事がいまもごく普通です。

 国営テレビのドラマも日本の侵略や残虐を主題にした内容がなお主流です。

 商業広告で日章旗のデザインをあしらった服装をした中国人女優は、そのことだけで一般からの激しい糾弾を浴びました。

 中国国内で開かれるスポーツの国際大会では日本チームは常に中国人観衆の一方的な罵声を浴びます。

 サッカーのアジア大会の北京での試合では日本チームは観客のののしりで試合後もバス車内に長時間、閉じ込められました。その間、日本の国旗が焼かれました。

 

共産党への挑戦や批判を許さない中国の政治体制では、草の根から発生する政治的な集会やデモは一般に厳しく抑制されています。

 しかし日本非難のデモだけは例外的に当局が寛容さをみせます。
奨励する場合もあります。

 2005年4月末に日本の国連安保理理事国入りの試みへの反対を最大理由として起きた日本への抗議デモは、北京、上海、成都(
Chengdu,広州(Guangzhou)など合計10の主要都市でほぼ同時に起きました。

 いずれも数千から1万以上の参加者があり、日本の外交公館や商店、レストランを破壊しました。

 明らかに当局の認知を得ていたといえます。

 そもそも中国からみて日本側の言動にどうしても気に入らない、許せないということがあれば、すぐに半官製のこの種のデモや抗議集会が組織され、日章旗が焼かれ、日本商店が破壊されるのです。
中国「反日」の虚妄 (文春文庫 こ 37-2)

 

 こうした日本叩きの遠い原因はやはり日本の戦争行動でしょう。

 日本の政府も民間も「過去の間違い」は認めています。

 しかし中国側では戦後60年以上が過ぎたいまも、日本の侵略や残虐を強調する教育が小学校から大学まで集中的に実施され、教師向けの指導要領では「日本への怒りと憎しみを忘れさせないこと」を求めています。

 しかも戦後の日本の平和主義的志向や対中友好の姿勢はまったくなにも教えていません。

 

中国各地には日本軍の残虐を訴える博物館、展示館が無数にあります。

 日本政府からの30年にわたる中国への経済援助さえも一般中国国民にはほとんど知らされることはありませんでした。

 日本への世論や感情の背後には明らかに中国当局の政治的意図が浮かびあがっています。

 その結果、生まれる中国側の反日感情については、ニューヨーク・タイムズの著名な中国専門家のコラムニスト、ニコラス・クリストフ(
Nicholas Kristof)記者などが「危険であり、日中関係を不健全にする」と再三、警告し、中国側の政策の変更を訴えています。

(つづく)
「日中友好」のまぼろし

                  =======