周知のようにブッシュ政権は北朝鮮を「テロ支援国家」ではないと断定する措置をとりました。

 

日本人拉致事件が未解決のまま、同盟国の日本の官民からの懇請を無視する形です。

 

しかも民主党大統領候補のオバマ氏がこの指定解除を「適切」だとして支持しました。ちなみに共和党のマケイン候補は反対です。

 

この状況に対し、わが麻生太郎首相はどう反応したのか。

 

それがどうも不十分のようなのです。

 

麻生首相がアメリカでどんな評価を受けているか。

この点は別のサイトに詳述したので、参照してください。http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/i/85/

 

 

麻生首相の北朝鮮「テロ支援国家」指定解除に対する言葉での対応については、拉致問題の「救う会」の島田洋一副会長が幅広い材料を集めて、がっちりと論評しています。

 

その島田氏のサイトからいろいろ引用、転用させていただきました。

 

 島田氏はまず麻生発言に対し「危惧」を強く表明し、次のように記しています。     

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昨年来、米政権の北朝鮮政策に詳しいあるアメリカの専門家が、繰り返し次のように述べていた。

 

米朝がどんな形で妥協しても、結局日本は付いてくる。彼ら(国務省)はそう高をくくっているThey take Japan for granted.)。

 

下記、麻生首相の反応中、「きちんとやったほうがいいというので」「一つの方法だと思う」「6カ国協議をさらに進めていくときに今後いろんな交渉の過程で」といった言葉は、まさに国務省の思惑通りのものだ。危惧の念を覚えざるをえない。

 

検証過程で北に拒否権を認めた今回の妥協は、到底「きちんと」と表現してよいものではない。

 

 上記専門家は、「日本が六者協議のフェイズ2(第二段階)で、安易に米朝合意に賛成してしまえば、フェイズ3での北朝鮮への軽水炉供与問題で、日本に莫大な額の請求書が回ってくるだろう。フェイズ2で、あくまで筋を通せるかが日本にとっての勝負どころだ」とも強調していた。

 まったくその通りである。6カ国協議をさらに進めていくときに今後いろんな交渉の過程で」などとのんびり構えていてよいときではない。

 

 詳しくは、別にエントリを立てるが、日本は、今回の米朝野合(北が認めた場合にのみ未申告施設に立ち入り調査できる。すなわち事実上、検証を放棄したもの)を六者の場で追認せず、「未申告の施設についても、国際原子力機関IAEA)が必要と認める場合、北は査察を受け入れる」といった対案を提出し、原則的姿勢(原則にはずれたことには今後ともカネを出さない)を強く打ち出すべきだ。

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 島田氏は資料として以下の記事を紹介しています。

 

{テロ指定解除}麻生首相発言要旨

10/12 21:30更新

 米国による北朝鮮へのテロ支援国家指定解除に関する浜松市内での麻生太郎首相の発言要旨は次の通り。

 

 ――拉致被害者家族に不安が広がっている

 

 「北朝鮮の非核化には、検証を実質的にやれる枠組み作りが一番。6カ国協議でも、この話は北朝鮮以外はみな一致(している)。その実質的な検証ができる枠組み作りが全然進んでおらず、それを取るために米国テロ支援国家指定解除を利用した。昔から米国はこの方法が実効が上がるとずっと言っていた。まったく動かない状況のまま置いておくより、きちんとやったほうがいいというので(解除に)踏み切ったと理解している。一つの方法だと思う

 

 ――拉致問題に関する交渉のてこを失うのでは

 

 「(質問を遮るように)全然ありませんね。全然見解が違う。少なくとも拉致被害者の家族のことに関しては、(ブッシュ米大統領との)電話の時もブッシュ大統領の方からその話はしていましたし、きちんとした対応がなされていると思う。6カ国協議をさらに進めていくときに今後いろんな交渉の過程で十分に拉致の話ができる。これでてこを失うなんてことは全くない」

 

 

イザ!ニュース

 【テロ指定解除】正念場の麻生政権 米朝合意を承認すれば北の核兵器保有黙認にも

08/10/13 01:16更新

 米国による北朝鮮へのテロ支援国家指定解除で、拉致問題を抱える日本は厳しい対応を迫られることになりそうだ。麻生太郎首相は12日、拉致問題への影響を否定したが、6カ国協議などで拉致問題が置き去りにされるとの懸念を払拭(ふっしょく)することはできない。

 

 麻生首相は12日、「(核問題が)動かない状況のまま置いておくより、きちんとやったほうがいい」と指定解除に一定の理解を示した。拉致問題解決に向けた交渉上のテコを失う可能性に関しても「全然ない」と否定した。日本青年会議所(JC)全国会員大会に出席のため訪れた浜松市内で、記者団に語った。

 

 指定解除で、政府は今後、拉致と核の2つの問題をめぐり、正念場を迎える。首相は11日のブッシュ米大統領との電話会談についても「(拉致問題は)こちらから言う前に、大統領の方から話していた」と述べたが、楽観的な「公式見解」とは裏腹に、厳しい局面に立たされている。

 

 指定解除は、北朝鮮の核施設の検証の枠組みに関する米朝基本合意に基づくが、河村建夫官房長官らが「さらに確認すべき点が残っている」と指摘したように、日本が納得できるものではなかった。

 

 米朝合意は、北朝鮮の申告書に含まれない疑惑施設の査察には「双方の同意」が必要とされるほか、ウラン濃縮による核計画の検証は先送りされるなど「事実上、核兵器の『検証の放棄』を合意したものだ」(拉致被害者を救う会幹部)ともいえるからだ。

 

 指定解除自体は、第一義的に米国内法の問題であり、日本は米政府の決定を受け入れざるを得ない。だが、米朝合意の結果を、6カ国協議の総意として了承することには、「北の核の脅威を最も強く受けている日本として認めてはならない」(閣僚経験者)との意見もある。ここで譲れば、麻生政権への弱腰批判が起きる可能性もある。

 

 「6カ国協議プロセスを動かしたいとの米国の意向に協力することはやぶさかではないが、拉致問題が置き去りになってはいけないという強い思いがある」

 

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