終盤のアメリカ大統領選で「エーコーン」という名前がしきりに語られるようになりました。
ACORN――その英語の名称を翻訳すれば、「共同社会組織即時改善協会」となりましょうか。
民主党リベラル系の政治組織です。公式にはその活動の主眼を低所得層や少数民族の住宅融資、福祉改善、そして政治参加におくとしています。
このACORNが全米の民主、共和の両党が人気を競う競合州、激戦州で有権者登録のキャンペーンを展開してきました。どころがその登録に不正があったことが次々に明るみに出てきました。
ACORNはもちろんオバマ候補を支持しています。その選挙組織の一端とみてよいでしょう。
この動きについて記事を書きました。
民主系、有権者水増し 共和党 オバマ氏の関与追及
【ワシントン=古森義久】終盤を迎えた米国大統領選挙戦で民主党系団体による全米規模の有権者登録の不正事件が明るみに出て、波紋を広げ始めている。
共和党のマケイン陣営はこの団体には民主党のオバマ候補もかかわりがあると非難しているが、民主党側は否定している。
この団体は「共同社会組織即時改革協会」(ACORN)。公称会員35万、全米各州に支部を開き、少数民族や低所得層の住宅融資や福祉への協力を活動の主眼として掲げる一方、1990年代から民主党の選挙運動を活発に支援してきた。
とくに民主党傾斜の少数民族などの有権者登録の組織、支援を専門とし、今回の大統領選でもオバマ候補への支持を鮮明にしながら1600万ドルの経費を使って全米で合計130万人の新規有権者を登録させてきたと発表している。
ところが、ここ数週間に同協会が直接関与した有権者登録の中で
(1)ペンシルベニア州で25万人の登録申請のうち約5万7000人が不正あるいは不備として却下された
(2)オハイオ州では同一人物が73回も登録を重ねていた
(3)ネバダ州では3000件ほどの不正申請が出て捜査当局が協会支部を家宅捜索し数人を逮捕する一方、テキサス州在住のプロフットボール選手がチーム全員、不正に有権者登録されていた
(4)インディアナ州ではレストランや死者が有権者登録された-などのケースが立証された。
共和党側ではオバマ候補がかつて同協会の顧問弁護士をしていたことや、オバマ選対が同協会の関連組織に有権者登録活動費として83万ドルを払ったことを指摘し、非難し始めた。
14日には共和党全体を代表する形でジョン・ダンフォース元上院議員が「この大規模な不正を放置すれば投票後に必ず深刻な対立が残るので超党派の監視委員会をいま結成しよう」と民主党側に呼びかけた。
オバマ陣営は呼びかけには応じず、「オバマ候補は協会とは直接の関係はなく、協会もオバマ陣営の選挙活動自体には加わっていない」と反論した。
しかしマケイン陣営は協会の疑惑の活動が両候補が激しく争う競合州8州ほどに集中している点も重視し、非難を強める構えをみせている。
コメント
コメント一覧 (29)
タイトルだけ見て「鈴木君」が何かしたのか?と一瞬思いましたが、違いましたね(笑)。
それにしても、多重登録などは、まだ理解できますが、「レストラン」が、登録できるのですか?まだまだ、システム整備が出来ていないのでしょうね。
これが逆に、共和党の問題であれば、批難の度合いが百倍位違ってくるのでしょうね。
ご指摘の下記の点こそ、まさに私が日ごろ痛感しているアメリカ国政のゆがみです。
<これが逆に、共和党の問題であれば、批難の度合いが百倍位違ってくるのでしょうね。>
「共和党」というのを「自民党」に置き換えれば、そのまま日本でも同じなところが、悲しい共通点です。
>オバマ選対が同協会の関連組織に有権者登録活動費として83万ドルを払ったことを指摘し、非難し始めた。
これはかなり有力な物証とならないですか?。
でも130万人って凄いですね!。
この「有権者登録」は、州によっては本人確認がかなりずさんなようで、その辺りに付け込んだ不正が行われているようですが、大統領選挙自体が歴史遺物のようなものですし、触りようがないってのが現状なんでしょうか?
もともとアメリカって、不法移民でも税金を納めて、多忙で見逃しの多い移民局の目を「堂々」とかすめて、普通に市民生活も出来る社会なので、日本のような管理化された社会と違い、市民の扱い方が根本的に違うのでしょうね。
アメリカ社会の構造的特徴、そして移民の扱いなど、ご指摘のとおりです。
有権者登録についてもそのとおりです。
しかしその登録をめぐる不正は片方の政党にばかり多く起きるという現実も認識すべきですね。
いまもテレビ討論でマケインがまさにその点を指摘しました。
オバマはその指摘については反論しませんでした。
リベラル系の組織というのは、どこも何故だか似るようですね。海の向こうのお話で、一般日本人にはピンと来ない事も多いでしょうけど、同盟国たる米国の動向は否応でも日本に跳ね返ってきます。
大統領選以降の日本の動向が注目されますが、ブレない日本の姿を望みたいものです。
この問題 ガンガン共和党はやって欲しいですが如何せん公然とオバマ支持に邁進する大マスコミでは知れてますよね・・取り上げざる得ない状況に持って行って欲しいですね・・例えば投票無効を裁判に訴えるとか・・投票まで二週間を切って大々的になるなど マケインサイドは日本から見てるとちょっと紳士的に過ぎるような・・・どうなんでしょうね? 英雄なので無茶苦茶できないんでしょうかね、 頑張って欲しいです! JAPANからエールを送ります!!
なるほど、おもしろい類似ですね。
逆差別の変形といえるかな。
北朝鮮のテロ支援国家指定の解除もオバマ候補はご存知のように、賛成していますからね。
はっきり反対を表明するマケイン候補とは対照的です。
マケインの声明は日本人拉致問題にもきちんと配慮を述べています。
ワシントンも秋の気配ですよ。
東京の秋といえば、代々木公園の脇、青少年センターの前の道路の銀杏並木がいつもものすごくきれいな色になるのをすぐ思い出します。
マケイン候補は確かに紳士的ですね。
紳士的すぎるという支援者からの声がずいぶんと高くなっています。
いつも先生の記事並びに著書を興味深く拝見しております。
現在、NYに在住です。大統領選挙は過去4回ほどはかなり深く追っていましたが、今回の選挙は全くと言っていいほど見ておりません。
日本の立場からすると確かにマケイン氏の方がいいのですが、やはりアメリカ国内の立場からではオバマ氏ということになろうかと思います。ブッシュ父対クリントンの構図に似ていますよね。ブッシュ父は結局内政で躓いてクリントンに敗れました。
今の状況ではマケイン氏の勝算はかなり厳しいものがあります。マケイン氏の資質というよりもブッシュ大統領の幻影が彼の立場を難しくしていますね。オバマ氏が当選した場合、彼は国際協調ということを言っていますが、やはり内向きの政策になり、外交としてはあまり成果のない、下手をするとクリントン政権の様に外交において北朝鮮のように失敗する可能性すらありますね。
今回の金融危機からもわかるように、共和党の市場主義経済政策はやはり行き詰まったとはいえませんか?この辺りで市場主義経済政策からの転換が必要になっていると思います。ただ、オバマ氏にとって問題なのは、彼の政策を実行したからといってすぐに成果は出ないでしょうし、これからの不況は避けられないでしょう。ただ、国民は彼に投票すれば、景気がすぐよくなる
というような過剰な期待を持っているでしょうから、当選しても一年後ぐらいにレームダックのような状態に陥る可能性があるかも知れません。
いずれにせよ、ここ数年の間、アメリカの政治的経済的不安定さは避けられないような気がします。
私の言論活動へのご関心をありがとうございます。
市場経済政策からの転換というと、どんな経済のシステムが代替となるのでしょうか。計画経済、統制経済が市場経済の反対極にあるとされますが、さあ、どんなふうになるのか。
本日のダウは大荒れながら、上がりましたね。
アメリカの政治経済の不安定の見通し、そのとおりだと思います。
昨夜の「日教組を糾弾する緊急国民集会」で基調講演した小林正氏が、マスコミの偏向報道を指摘する中で、参議院選挙の際の報道の安倍パッシングにたいして、古森さんがブログで堂々と支持していた旨の言及がありました。
見てるんですね~(^^)。
お邪魔します
>本日のダウは大荒れながら、上がりましたね。
反米的、嫌米的なことばかりいっている私がいうのもなんですが、
あの国を甘く見ない方がいいと思っています
株式市場はビックプレーヤーが入院したり、死亡したりしたので
今は閑散として売り物に敏感に反応して、スカスカの板を急落したり
急騰したりしていますが、彼らが資本を持ち直して再び博打場に戻って来始めたら
あっという間に12000ドル近辺に戻ると思います
まあ、オバマが大統領という最大の下落要因がありますが(爆
お知らせ、ありがとうございます。
そういう引用や言及があるのですね。
お知らせ、ありがとうございます。
そういう引用や言及があるのですね。
だからこれからも思うところを主張せねばなりませんね。
反米的、嫌米的という前置きをされてのコメント、きちんと受け止めておきます。
小森様
>市場経済政策からの転換というと、どんな経済のシステムが代替となるのでしょうか。計画経済、統制経済が市場経済の反対極にあるとされますが、さあ、どんなふうになるのか。
コメントをありがとうございます。私のコメントが舌足らずであったようです。資本主義・市場経済が今後の経済政策の方向であることは間違いありません。社会主義国家の崩壊の歴史を見れば、結論は出ていると思います。計画経済や統制経済になることはありえないでしょう。
しかし資本主義・市場経済と言っても政府の関与の度合いによって様々な資本主義の形態が存在します。アングロサクソン型、西欧型、北欧型、日本型などなど。この中でアングロサクソン型の資本主義は極力政府の介入を排除しようとしてきました。私のコメントはこのアングロサクソン型の限界がこの金融危機で露呈しているのではないかというものです。
今後は政府の市場への関与の度合いが増えて、西欧型に近づく可能性が出てきたのではないでしょうか。
それにしても今回の金融危機は以前読んだ故ガルブレイス教授の「大恐慌」並びに「バブルの物語」を思い出させてくれました。
>本日のダウは大荒れながら、上がりましたね。
最近のダウは連日少なくとも500ポイント近く変動するので、ちょっとのことでは驚かなくなりました。(苦笑)401Kなどの所謂一般の素人投資家のお金が市場に大量に入り込んでいるために変動が大きくなっていますね。今後も変動は激しくなることはあっても、小さくなることはないでしょうね。
金融に勤める友人の話では次は年末の決算時が危ないとのことです。
NYもすっかり朝夕肌寒くなってきました。
>To 古森義久さん
古森様
お名前をミススペルしてしまいました。失礼いたしました。
お返事ありがとうございます
KYにならないように心得ておりますのでm(_ _)m
では、最後に
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/b1b431def224a4643ad510f612d714d9
元NHKの池田さんのプログですが、Economist誌を紹介しています
またまた手前味噌だとの誹りを受けるかも知れませんが、
1年少し前にこちらと阿比留さんのところにこの内容と重複する事も
書かせて頂きました
また他の個人プログでは米国の移民向けの住宅政策を当時書きました
米国を非難している人たちは、そもそも移民に対する寛容な政策から
始まっていることをもっと世界に報道すべきだと思います
このEconomist誌に書いている内容はほぼその通りで、ただ単に博打にあけくれて
いたわけではなく、結果的に引き起こされたものですよね
米国に在住している人たちは知っているはずだと思います
特にウォール街にいる人たちは、CDSの問題より個人カードの多重債務、
債務超過に関心があって、デフォルトの懸念をしていたはずです
それが実体経済に与える影響を常に警戒していたと思います
また米国の金融界は資産が吹き飛びましたが、原油業者と穀物業者は
莫大な利益を得ていますよね
マスコミはいつも米国を叩けるネタだけ報道します
世界最大の穀物輸出国で、穀物相場のバブルの超高値で穀物を売り撒くって
いたのは米国ですね
何が入りで何が出で、政府と民間とお金がどう動いて、どう損したのかを
きちんと見ないととんでもない間違いをすると思います
換金しているヘッジファンド、投機筋、金融機関はこぞってドルを買い、
結局は烏合の衆のユーロは相手にされません
対ドルで高くなったのは円だけですね
金融に詳しいと自称している人たちほど意味不明の事を書いていますよね
CDSをどうこういっている人たちは、これから数年後にそれも違っていたと
理解して、恥知らずにもまたおかど違いの批判をすると思います
Dowの中の30銘柄の中の不良会社、日経225の中の不良会社
これらは指数商品として売買されています(笑
本質がわからない人たちほど経済専門家なんですね(笑
古森様、ありがとうございましたm(_ _)m
ご説明の趣旨、よくわかったつもりです。
カギはまさに政府の関与の度合いですよね。
ワシントンもすっかり秋の気配です。
顔文字、絵文字(?)の使用とは、翔んでますね。
サブプライム問題で始まったような今回の騒ぎも、背景にはご指摘のように移民、少数民族、低所得層の権利が経済面で拡大された要素が大きいですね。
ファニーメイなど民主党リベラルの年来の牙城で、そこから政治献金を受けていた筆頭は民主党のクリス・ドッド上院議員、第二位がわがバラク・オバマ上院議員でした。
いま全米各州で有権者登録の不正を暴かれているACORNという団体も、少数民族や低所得層に住宅融資を出させる活動を長年、続けてきました。
返せるはずのない層に公的要素の強いカネをどんどん貸せという政治的な恫喝をも含むキャンペーンでした。
そのツケを非低所得層が払わされるわけです。
金融危機の引き金となったサブプライム問題は、政府系機関が返せる能力があるとは思えない層にACORNのようなリベラル派過激組織から圧力をかけられて貸してしまった、という部分が多いようです。
その種の組織はみなオバマ陣営と表裏一体です。
FOXテレビがいまものすごい勢いでオバマ陣営につながる一連の「黒い霧」を詳細に報じ始めました。
どうなるか、見ものです。
2ポイントに接近してると某ブログ記事にあり普通に成ってきたなとちょっぴり安堵です。あと10日余り、追い込んでひっくり返して欲しいです!
米大統領選に関する記事は産経記事と謂えども 古森さん他一名の署名記事以外単なるCNN、ニューヨークポスト等民主党偏向マスコミのダイレクト配信に過ぎず 今や米国在住者ブログ者の生情報を物色し真実がどこら辺にあるのやらを検索する日々が続いてます。
レスを有難うございます。
古森さんの多岐にわたるエントリーに対し、しゅんさんの直球、変化球を交えた秀逸なコメントを読むのも当ブログを訪れる楽しみの一つになってます
>記事が偏向しているのは先刻承知なんですが、それだけではない何かを今回の選挙では特に感じます。
2004年大統領選も大メディアはケリー支持一色でしたが 今回忌諱し続けるACORN問題等その犯罪性とオバマ氏の関係が立証された暁には如何対処するんでしょうね。
>パウエルショックなんてはしゃいでいる人が新聞記者にも居ますが・・、
二週間位前だったかCNNで歴代(民主党系?)の国務長官数人との討論会があったのをチラッと視ましたが、その時は「人種、過去の経験に捉われず、国益に叶う人」みたいな発言で明確なオバマ支持はしませんでしたが 共和党員なら普通はマケイン氏でしょうに言わずもがなの人でバレバレでした。
>そんな彼がオバマを支持したところで、ショックを受ける有権者居るものかどうか甚だ疑問です。
同意です。却って先に書いた事と通じるのですが オバマ氏の理論的支柱であり強力な支援者が過去テロを実践した学者であり、且つACORNから莫大な寄付を貰ってたり、出自に関する胡散臭さも含め本当にダーティな話題が尽きないオバマ氏の所業が全米一般国民に知れ渡ってしまった時パウエル氏の考える「国益」とは何ぞや?と問われるでしょう。肌の色には勝てないのかと。極力人種を消し去りあの地位まで上り詰めた軍人ですからダメージも相当なものだと思います。
いろいろなご指摘、有益な点ばかりで、ありがとうございます。
この段階でのパウエルのオバマ支持声明は保守派から総すかんを食っています。
ラッシュ・リムボウが「理由はただ一つ、R A C Eだ」と断言しました。
他の穏健派もパウエルを日和見主義者扱いし、これまでも風見鶏の要素が強かったと非難しています。
すっかり株を落とした感じです。