オバマ次期アメリカ大統領についての論文の紹介です。

今回の分でその紹介は終わりです。

 

 

なおオバマ政権下で日米同盟がどうなるか、などについては以下のサイトに書きました。

 

 

 

 

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環境問題に関連してオバマ氏は上院議員としてはアメリカ大陸沿岸海域での石油開発に反対していた。

 

原子力発電所の建設にも難色を示し、従来の禁止令を保つことに賛成するという態度だった。

 

いずれもリベラル派としてのスタンスである。

 

ところが大統領選のスタートで石油の値上がりや全般的なエネルギー不足が問題になると、石油の沿岸開発に対しても、原子力発電所の建設に対しても、態度を軟化させてしまった。

 

 

社会問題でもオバマ氏は妊娠中絶や同性愛結婚には寛容というリベラル派の基本姿勢が明確である。

 

オバマ氏が二〇〇七年九月のアイオワ州での予備選で民主党の他の候補たちと集会の舞台に立ち、アメリカ国旗が掲揚されるのに対し一人だけ右手を胸にあてての敬意の表明をしなかったというエピソードも広範に伝えられた。

 

愛国心というような意識が薄いのだ、という解説がもっぱらだった。

 

これまたリベラル派の特徴だといえよう。

 

安全保障に関してはオバマ上院議員は軍事力増強につながる措置にはいつも反対し、核兵器の廃絶というようなことまで唱えた軌跡がある。

 

大統領候補となってからはイランや北朝鮮の核武装問題に対して、「私自身がアメリカ大統領としてそれぞれの相手国の首脳にいっさいの前提条件をつけずに個別に会談し、問題の解決を図る」と言明して論議を呼んだ。

 

 オバマ大統領がなんの前提条件なしに「無法国家」の北朝鮮の金正日書記らと首脳会談をする、というのである。

 

 これまたリベラル融和外交といえよう。

 

 しかしオバマ氏は全体としては上院議員時代に示してきた超リベラル、左傾斜の政策や主張を大統領選挙では大幅に薄める結果となった。

 

 まだまだ自らをリベラルよりも保守とみなす国民がずっと多いアメリカでは候補者たちは中道からやや保守寄りのスタンスをとらなければ、当選は難しいとされるのだ。

 

 だからオバマ氏も最大限、中道や保守の方向へシフトしたのだといえよう。

 

 ところがそれでもオバマ氏の上院議員時代の明確な左カーブはなお記録に残っている。

 

 ただしその軌跡が大手メディアによって詳しく報じられることがきわめて少ないのだ。

 

 だからその軌跡こそがオバマ氏に関する影となるのである。

 

 本番の大統領選ではそのオバマ氏の超リベラル志向は影のままほとんど光をあびないできたといえる。

 

 だがそれでも本番キャンペーンでは衣の下のヨロイのようにちらつくことはときおりあった。

 

 問題はこんご新大統領としてのオバマ氏がどれだけ本来のリベラル色を打ち出していくか、である。

 

 そうした問題や疑問はオバマ氏の第一の影の生まれや育ちにからむ特性、そして第二の過激派とのつながりが示す特徴についても同様だといえる。

 

 だからこそオバマ大統領の未知の領域はまだまだ広く、その未知が生むアメリカ国民の側の不安もなお根深いといえるのである。

 

          (終わり)

   

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http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/i/90/