アメリカのオバマ政権下は経済や金融での国家や政府の役割をどんどん拡大して、民間部門の公的管理を強めています。

 

金融危機や経済不況への緊急の対策とはいえ、どうもそれだけではない節も多いようです。

 

このままではアメリカがついに社会主義の国家になってしまう?!という指摘もアメリカ国内でしきりと聞かれるようになりました。

 

そのへんの虚実について以下の記事を書きました。

 

米国は社会主義に向かうのか 銀行国有化案で現実味


 

 【ワシントン=古森義久】オバマ政権下の米国では政府により民間企業が大幅に救済、管理され、主要銀行の国有化案までが語られるにいたって、「米国は社会主義に向かっているのか」という議論が現実味を帯びるようになった。

 昨年の大統領選挙中からちらついていた「オバマ氏は米国を社会主義化するのか」という論議は、同氏を一貫して支持してきた大手週刊誌ニューズウィークが2月16日号に「私たちは今やみな社会主義者だ」という巻頭評論を載せたことでこれまでとは異なった様相となった。

 

 評論は米国の政府が破綻(はたん)した大企業を次々に公費で救済し、総額1兆ドルに近い景気対策費を出して民間に介入し、救済企業の幹部の給料まで管理する現状は社会主義的な色彩が濃く、「2009年の米国はすでに社会主義的な欧州諸国へと近づいていることを認めざるをえない」と断言した。

 

 10年前の米国は政府支出の対GDP比が34%で、欧州連合(EU)諸国の48%より14ポイントも低かったが、来年は差が8ポイントに縮まることがその例証だという。

 

 共和党側ではこれに対し「欧州型の社会主義が経済を成長させないことは立証されており、民間の活力を伸ばすべきだ」(マイク・ペンス下院議員)という反論が強い。

 

 メリーランド大学のピーター・モリシ経営学教授も「政府支出への全面依存はジェファーソン的米国民主主義に反する」として、政府の役割は個人や企業の自助努力を助長するインフラ枠組み作りに留まるべきだと主張する。

 

 この点、ニューズウィークも米国民の多数派はなお「大きな政府への依存」には反対であることを認め、目前の危機が去ればまた従来の米国式の「資本主義の自由市場スタイルの経済」に戻るとしながらも、現状では消費者も企業も景気回復の能力に欠けているため、政府に期待する以外にない-としている。

 

 もっとも社会主義に対し賛同に近い立場の左派系シンクタンク「米国進歩センター」のヘザー・ボウシー研究員は「社会主義では厳密には国家がほぼすべての生産手段を所有するが、米国ではまだそんな状態は起きていない」と解説する。

 

 オバマ氏に対する「社会主義化論」を最初に打ち上げたのは大統領選中の共和党マケイン候補だった。

 

 オバマ氏の高所得層への大増税による「所得の再配分」策を社会主義的発想と批判したのだが、オバマ陣営はこれを明確に否定した。

 

 それなのに今、オバマ陣営側のニューズウィークが堂々と「社会主義化」を認めたことに、保守派からは「つい4カ月ほど前までオバマ陣営は社会主義批判をあざけってしりぞけたのに、今はその実践にあたっている」(FOXテレビのコメンテーター、グレン・ベック氏)と反発も激しい。

 

 その一方、ニューズウィーク評論は「今の社会主義化を始めたのは実は昨年9月なかば以降のブッシュ政権なのだ」として同政権による大手金融機関や保険会社の救済を指摘しており、社会主義をめぐる議論はなお熱を帯びそうである。