2月24日、ワシントンでは麻生太郎首相がホワイトハウスを訪れ、バラク・オバマ大統領と会談しました。

 

麻生首相はオバマ大統領がホワイトハウスに迎える初の外国首脳となりました。

 

これはオバマ政権が日本を重視しているからなのか。

 

現実はそれほど単純なことでもないようです。

 

そのへんの解説を書きました。

なお冒頭は石橋、有元両記者による日米首脳会談に関するニュース記事、事実関係を追った、いわゆる「本記」です。

その下に私が解説を書きました。

 

 

日米首脳会談 「実利」最優先の米政権


 

 【ワシントン=石橋文登、有元隆志】麻生太郎首相は24日午前(日本時間25日未明)、ホワイトハウスでオバマ米大統領と初の首脳会談を行った。両首脳は北朝鮮の長距離弾道ミサイルとみられる「人工衛星」発射準備について「緊張を高める行動を取るべきではない」と牽制(けんせい)した。また、世界的な経済危機に対処するため、基軸通貨ドルの信認維持が重要との認識でも一致した。

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 □ワシントン駐在編集特別委員・古森義久

 

 24日の日米首脳会談は近年でも最も簡素で略式の両首脳の話し合いだった。

 

 麻生首相とオバマ大統領とがそれぞれに実利と実務を最優先させ、熱気も華やぎもない会談だったが、双方がそれなりに至近の目的は最小限(ミニマム)、達したといえよう。

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 会談は両首脳の会食も共同の記者会見も声明もない点で異例だった。

 

 両首脳だけ一対一の「差し」の話し合いもなく、公式の首脳会談の要件を満たさない略式でもあった。

 

 オバマ大統領は会談直前に「日米友好の重要性」や「東アジア安全保障の礎石である日米同盟の強化」という言葉を述べたが、その日米友好の光景を米国民に広く知らせる措置はとらなかった。

 

 そもそもこの日、同大統領は夜に議会での初演説を控え、米側の政府、国民、マスコミの関心はすべてその演説に集中したため、日本の首相の来訪はさらに希薄となった。

 

 会談は略式のミニマムという点では1995年1月の村山富市首相の訪米をも思わせた。

 

 だが村山氏でも迎賓館のブレア・ハウスの滞在を認められたのに対し、麻生氏は中心街から離れたホテルの滞在、ワシントン滞在時間も村山氏の半分以下だった。

 

 しかし日本国内の苦境を考えれば、麻生首相が米国の新大統領と会う最初の外国首脳となり、日米同盟の強化や経済不況への対応協力を合意したことは貴重な外交得点だといえよう。

                  

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 一方、オバマ大統領が日本の首相をホワイトハウスへの初の外国首脳として招いたのは、日本側からの懇請に加えて、日本側に広がった「オバマ政権の日本軽視」懸念のせいだろう。

 

 会談直前に記者が大統領に「なぜ日本なのか」と質問したように、それまでオバマ政権の外交スクリーンにはクリントン国務長官の訪日を除いては日本が大きな対象として浮かんではいなかった。

 

 ホワイトハウスは会談後の発表で「日本の首相との綿密な協議」の筆頭課題として「グローバルな経済危機」をあげた。

 

 この会談も経済不況への対処という切迫した国内課題への枠内に位置づけようと努めたわけだ。

 

そのためなら日本の首相との会談も必要という理由づけである。

 

 そのうえに米国には東アジアでなお予想される激動やアフガニスタンでの対テロ闘争に必要な米軍の前方拠点を確実にする日米同盟のミニマム保持が欠かせない。

 

 その保持を危険にさらす日本側の政治的ほころびは放置できないということだろう。

 

 この点では今回の会談は米側にも明らかに実利をもたらしたといえる。

                  

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 しかしオバマ政権が実際に日米同盟を従来の基盤のミニマム保持を超えて、ブッシュ政権のように強化に熱を注ぐという形跡はない。

 

 米側が首脳会談でもクリントン長官訪日でも日米安保協力では当然、主題の一つとなるべき中国の軍拡を話題とせず、北朝鮮のミサイルの脅威を語りながらも、日米同盟強化の最近のシンボルである日米ミサイル防衛に一言も触れなかったことがその例証だろう。

 

 だから今回の首脳会談は米国新政権が同盟の実利の根幹だけを保とうとする新時代の幕開けを告げたのかもしれない。

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