クリス・ヒル氏といえば、ブッシュ政権の東アジア・太平洋担当の国務次官補として北朝鮮の核兵器開発問題と取り組んだ外交官であることが日本でも広く知られています。

 

日本側の官民の要望を無視する形で北朝鮮のアメリカ国務省の「テロ支援国家」指定リストから外す宥和政策を推進した張本人としても有名です。

 

このヒル氏がオバマ政権では次期のイラク駐在大使に任命されました。

 

この任命を審議する上院外交委員会の公聴会が4月1日に予定されています。

 

ところがこの上院外交委員会のメンバーであるサム・ブラウンバック議員(共和党)が事前にこのヒル人事を阻止する方針を表明しました。

 

ブラウンバック議員といえば、日本の拉致問題に対して、アメリカ議会でも最も熱心に、最も同情と理解を示して、その解決への協力をしてくれている政治家です。

 

ブラウンバック議員はヒル氏の任命に対し「ヒル氏にだまされたことがあるので信頼できない」という理由をあげて、反対しています。

 

昨年7月の上院軍事委員会の公聴会でブラウンバック議員はヒル氏に対し、北朝鮮の核問題での交渉でも北朝鮮の人権弾圧への非難を盛り込むことが欠かせないと主張し、将来のアメリカ政府の北朝鮮に関する交渉には必ずジェイ・レフコウィッツ北朝鮮人権問題担当特使を参加させるべきだと求めました。

 

ヒル氏はこの要請に対し、必ずそうすることを約束しました。

 

しかしその約束は守られなかった、とブラウンバック議員は抗議するのです。

 

ブラウンバック議員は「ヒル氏は私との誓約を破り、信頼を裏切ったため、重要なイラク駐在大使の任に賛成はできない」と述べています。

 

外交委員会でも民主党議員が多数であり、ヒル氏の任命にも賛成票が多いとみられますが、上院にはこの種の人事の承認に関しては個別な議員が事前に拒否権を行使する形の「保留」という意向を述べられる手続きがあるそうです。

 

ブラウンバック議員はその「保留」手続きを行使しても、ヒル氏の大使任命を防ぐという意思を表明しています。

 

さあ、どうなるか。

 

対象がオバマ政権のイラク駐在大使というポストだけに、その任命をめぐる争いの行方が注視されます。