北朝鮮の対外的な脅威、国内的な弾圧を抑え、弱めるには、
金正日総書記に直結する外貨依存の「宮廷経済」に圧力をかけることこそ、最も強力が効果があるーーー北朝鮮のその独裁体制内部の金融部門にいた人物が語りました。
 

なおこの北朝鮮問題で重要な役割を演じる中国の対米スパイ活動について別のサイトに報告を書きました。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090526/155380/

 

 
北の経済「宮廷」と「人民」に分離 元外貨管理部幹部が証言 
2009年05月22日 産経新聞 東京朝刊 国際面


 

 ■外貨依存 圧力こそ効果

 【ワシントン=古森義久】北朝鮮中枢の外貨管理部門で長年、働いていた金光進氏はこのほど産経新聞と会見し、北朝鮮の特異な経済構造などについて語った。
 
 金氏は、北朝鮮経済が金正日総書記に直結する外貨依存の「宮廷経済」と国民一般の「人民経済」に分離され、日本の朝鮮総連が長年、この宮廷経済を支える主柱の1つだったことを明らかにした。
 
 そのうえで、宮廷経済への圧力こそが急速に進む金正日体制の弱体化を早める上で最も効果があると強調した。

 ≪朝鮮総連が主柱≫

 金光進氏は朝鮮労働党組織指導部の国家保険機構で主要諸国の大手保険会社から外貨で高額保険金を獲得して総書記に供する任務にあたっていたが、2003年に国外に亡命し、韓国などを経て今年春からワシントンの「北朝鮮人権委員会」の研究員となった。

 金氏はまず北朝鮮の近年の経済構造について「内閣が統括する一般の『人民経済』と、外貨を得る企業、産業のほぼすべてと兵器産業を統括する『宮廷経済』が存在し、外貨に依存する後者は労働党中央委員会から金総書記に直結し、その政治・軍事独裁体制を支えている」と解説した。

 金氏によると、日本の朝鮮総連による送金などの財政貢献はすべてこの宮廷経済を支える財源となっており、外貨全体の実に20~30%が日本からの送金、寄金でまかなわれてきた。

 同氏はさらに日本に関連して、
 
(1)北朝鮮の外貨送金受け入れの朝鮮合営銀行は事実上、朝鮮総連の財政支援で運営されてきた
 
(2)朝鮮総連系の保険会社「金剛保険」は北朝鮮の国家保険機構と連携し、不正手段をも含めて金正日体制への外貨稼ぎに協力してきた
 
(3)金総書記の拉致自認後、日本からの資金流入や貿易収入は減り、金総書記個人への大きな打撃ともなったが、韓国からの外貨流入の増加でなんとか危機を乗り越えてきた
 
(4)北朝鮮の兵器産業は核やミサイルを含めて関連の技術、部品、資金を1990年代末まで日本から広範に得ていたが、現在では中国からがほとんどとなった
 
                    ――などと述べた。

 ≪中国にシフト≫

 また、現在の北朝鮮については「金正日総書記の健康は昨年来、明らかに悪化しており、政権の終わりが近づいたという印象だ」と述べ、軍や党など最高指導部の最近の人事には、金総書記が不安に駆られ、ごく少数の古い仲間や親類に依存しようとしている様子がうかがえると指摘した。

 このため、「日本が金政権から拉致問題などで譲歩を得るには、宮廷経済の外貨獲得の領域で圧力をさらにかけ、できれば韓国や米国と金融制裁などで連携していくことが最も効果があるだろう」と強調した。