中国の新疆ウイグル自治区で中国政府が長年、実施した核兵器爆発の結果、放射能が大量かつ長期に放出され、ウイグル人主体の住民の命を奪ったという調査結果がついにアメリカの大手科学雑誌に掲載されました。

 

同地区を通るシルクロードの核汚染が国際的に広く認められ、報じられたともいえます。

 

こうした核汚染について一切、「認識がない」と言明してきたNHKにとっても、新たな事態の展開だといえましょう。

 

 

 

中国核実験 「ウイグル死者、数十万」 米有名科学誌が可能性指摘


 

 米国で最も人気の高い科学雑誌「サイエンティフィック・アメリカン」7月号が、中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区で中国当局が実施した四十数回の核爆発実験の放射能により、数十万ものウイグル住民が死亡した可能性があるとする記事を掲載した。(ワシントン 古森義久)

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 記事は、ウイグル人医師のアニワル・トヒティ氏と札幌医科大教授で物理学者の高田純氏の合同調査結果を基礎に書かれた。

 

 高田教授は同自治区のシルクロード紀行番組を長年、放映したNHKの核実験無視の姿勢を非難している。

 

 「サイエンティフィック・アメリカン」7月号は、「中国の核実験は多数の人を殺し、次世代を運命づけたのか」「中国が40年にわたり核爆弾を爆発させたことで、放射能の雲は住民の上を覆った」という見出しの記事を掲載した。

 

 同記事はまず、トヒティ医師が新疆ウイグル自治区で1973年の子供時代、3日間、空が黒くなり、土砂のような雨が降ったのを目撃し、後年、それが核爆発の結果だったことを認識したと指摘している。

 

 その上で、同記事は「シルクロード上のロプノル実験場における、1964年から96年までの四十数回の核爆発による放射能の結果、数十万の住民が死んだ可能性がある」と報じた。

 

 記事はさらに、現在、英国やトルコを拠点にウイグル人の放射能被害を研究するトヒティ医師が、高田教授と「ロプノル・プロジェクト」という共同研究を進めているとし、高田教授の「新疆ウイグル自治区で放射能汚染のために19万4千人が死亡し、120万人が白血病などを病んだ」という算定を伝えた。

 

 「サイエンティフィック・アメリカン」は米国だけでなく国際的な評価も高く、同誌が今回、事実として正面から伝えた「シルクロードの核汚染」は、それを否定してきた中国政府にも厳しい詰問となる。

 

 また、高田教授はNHKが長年、シルクロードの番組を放映し、多数の日本人観光客に核汚染が明白な地域を訪問させながら、核爆発についてはいっさい、沈黙してきたとして今年4月、公開質問状の形で抗議した。

 

 NHK側は「(放射能汚染についての)認識は放送当時も現在も持っていない」と回答したというが、今回の米国の科学雑誌の記事は、高田教授側の研究の成果や意見に国際的認知を与えたこととなる。

 

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