本日は日本の総選挙ですね

 

 民主党の優位が伝えられます。

 

 その民主党を動かす小沢一郎氏。

 

 その小沢氏の「政策」はアメリカでどうみられるのか。

 

 もう一度、総括しておきましょう。

 

 

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 しかし小沢氏はかつては日本の政治家でも親米派の筆頭として米側で知られていた。

 

 一九八〇年代末の日米経済摩擦では難問の電気通信機器の日本市場開放問題で官房副長官として米側も満足する開放策をまとめあげた。

 

 その結果、米側の政府、議会ともに対米協調の実行力ある政治家という評判を生んだ。

 

一九九〇年の湾岸戦争でも小沢氏は自民党幹事長としてアメリカに対する支援体制の強化を一貫して主張した。

 

難色を示す外務省を抑えて、国連平和協力法をまとめ、米側から歓迎された。

 

そして著書の「日本改造計画」で大胆な規制緩和を説き、これまたアメリカ側から共鳴を表された。

 

この書は日本に対しアメリカとも歩調を一とする「普通の国」への生まれ変わりを説いていた。

 

私も一九九四年七月、新生党代表幹事となった小沢氏とワシントンで対談し、氏が「日米同盟の堅持」とか「成熟した日米関係の維持」を熱をこめて語るのを聞いたことがある。

 

小沢氏のそのアメリカ支持の姿勢は自民党の野中広務氏からは「売国」のレッテルを貼られたほどだった。

 

ところが小沢氏の近年のアメリカへの批判の姿勢はまるで転向のようである。

 

同氏は日本政府が自衛隊のインド洋派遣を可能にするテロ対策特別措置法案を推進した二〇〇七年には、この法案に反対し、アメリカ側の意向に正面から挑戦するようになった。

 

この小沢氏の変身についてワシントンの大手研究機関「AEI」の日本政治研究専門の研究員マイケル・オースリン氏は論文を発表して述べていた。

 

「小沢氏のテロ特措法反対は政治的なもてあそびであり、アメリカ政府当局者たちは激怒している。同氏がこうした態度を取り続ければ、日米両国はやがてはパートナーとしては離反していくだろう」

 

「小沢氏のそんな政策は日本にとって最重要な日米同盟に不必要な損害を与え、同盟を変質させて、アメリカのアジア全体への対応を変えて、中国へとより接近させるだろう」

 

同じ時期、ヘリテージ財団の中国専門研究員で、日米安保問題をも追っているジョン・タシック氏も以下のように語っていた。

 

「日本側で本来は超党派で支持すべき日米同盟がらみの活動を野党の一指導者である小沢氏が政局事情に合わせて勝手気ままにもてあそぶことに私は強い憤慨を覚えます。日本が小沢氏の主張どおりにもしインド洋から自衛隊を引けあげれば、日本はやはり自国の安全保障だけしか考えない自己中心の国だという認識が米側で広まるでしょう」

 

小沢氏のこの反米傾向への変身の動機については日米関係を三十年以上、報道してきたアメリカ人ジャーナリストが次のように論評していた。

 

「民主党内にはなお日本が防衛問題で行動をとることにはすべて反対という旧社会党系勢力が存在しますが、小沢氏はこの勢力を離反させないために、インド洋への自衛隊派遣に反対するのでしょう」

 

小沢氏がシーファー前駐日大使との会談をすべて報道陣にさらした動機については、前述のアワー氏が語った。

 

「やはり自分がアメリカに対し批判的かつ自主的だということを印象づけたかったのでしょう。しかしあの小沢氏の態度は外交儀礼に反するアメリカへの非礼です。彼は政権奪取という目前の政治的動機によって国家の基本政策までを変えてしまうようです」

 

日本国民幅広くに対し、いまの小沢氏は「反米」ふうを演出することがアピールすると計算したのだろう、という。

 

だからこそ、アメリカ大使をいかにも軽く、冷たくあしらう光景を日本のテレビその他に報じさせ、自分の人気を高めようとしたという解釈なわけだ。

 

日本の民主党は周知のように、安全保障政策となると、党全体としてのまとまった方針がなかなか打ち出せない体質を持つ政党である。

 

なにしろ同じ党内でも過激な旧左翼の非武装中立派系から自民党の田中角栄元首相の指導を受けた守旧派まで、党員の「質」はきわめて多様に映る。

 

だから党全体として緊急事態にはどうするかを含めて、その安全保障政策は「わからない」ということになる。

 

この点、小沢氏の最近の言動は有力な指針になるどころが、逆に混迷を増しているという印象が強い。

  

この点、アワー氏が鋭い論評をした。

 

「二国間の同盟では当然ながら危機や有事にその相手パートナーがどう動くかが最重要となります。どう動くかわからない、という状況が最も危険です。いざというときの計画が立てられないからです。日米同盟の場合、日本側の現在の安保政策の不確実性や不安定性のために、実際の危機や有事への対応がどうなるのか、不明のままです。同盟の相手はこちらの要望に応じ、早めに意思を表明してほしい。ノーならノーと答えてほしいです。わからないのが一番、困るのです」

 

      (終わり・古森義久)

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