鳩山政権の夢想「東アジア共同体」はわが同盟相手のアメリカからどうみられるのか。

 

「もう時代遅れだ」という意見がアメリカでのベテラン中国専門家から述べられました。

 

この人物はアメリカ議会の米中関係についての政策諮問機関の中核にある識者です。

 

やはり東アジア共同体は東アジア妄想体なのかーーー

                    

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東アジア共同体構想 中国が発案、時代遅れ 米専門家


 

 【ワシントン=古森義久】

米国議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」のラリー・ウォーツェル副委員長は28日の産経新聞との会見で日本の鳩山政権が中国に提唱した「東アジア共同体」構想について「本来、中国が米国を東アジアから後退させる意図で開始した外交作戦で、すでにアジアの多くの国から排され、日本の提案は遅すぎる」という見解を語った。

 

 中国の外交や対外戦略に詳しいウォーツェル氏は日本がこのほど提案した東アジア共同体構想について「まだ日本の新提案の具体的な内容は不明だが、基本的に中国が2005年ごろからASEAN(東南アジア諸国連合)の会議などで打ち上げた外交作戦としての『東亜共同体』と同様の構想だろう。その時の中国の意図は東アジアから米国を後退させることだった」と述べた。

 

 同氏はさらに日本の東アジア共同体提案について「アジアの多数の国からも米国からも広くは受け入れられず、あまり先には進展しないだろう」との予測を明確にし

 

 ①中国は東アジア共同体構想を自国の外交攻勢の『平和的台頭』や安保戦略の『上海協力機構』と合わせてプッシュしたが、アジア諸国の多くからすでに排され、構想自体がすでにほぼ死んでいたため、この時期に日本が同様の構想を再提案すること自体が遅すぎた観がある

 

②日本の構想を単に地域協力案としてみても、アジアにはすでにAPEC(アジア太平洋経済協力会議)、ASEANプラス3(東南アジア諸国連合と日中韓の三国)、ASEAN地域フォーラムなど各種の対話や協議の機関が多数、存在するため、あまり意味がない

 

③日本の提案をEU(欧州連合)のように人や物の国境を越えての移動が自由な共同体案としてみれば、シンガポール、マレーシア、ベトナムなどただちに拒むことが確実な諸国が多いだろう

 

 ―などと説明した。

 

 ウォーツェル氏は米国の反応について「オバマ政権自体が即時に公式の反対を表明することもないだろうが、議会などからは強い反対も起きるだろう。米国として広く一般に受け入れることはないと明言できる」と語った。

 

 ウォーツェル氏は1970年代から米陸軍でアジアの軍事分析にあたり、国防総省勤務から陸軍大学教官、ハワイ大学で博士号取得、80年代後半から計2回7年間にわたり北京の米国大使館駐在武官、2000年からヘリテージ財団のアジア部長、副所長を歴任、翌年から米中経済安保調査委員会の委員となり、委員長を務めた後に現職に就く。

 

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