鳩山政権の当事者能力喪失のような迷走によって日米安全保障関係がきしんでいます。日米同盟の危機といっても、そう誇張ではないでしょう。

 

控えめにみても、日米同盟に暗い影が広がっているといえましょう。そんな状況を懸念して鳩山政権への批判を表明する識者が増えています。

 

識者の範疇にはいるのかどうかはわかりませんが、日本経済新聞のもそういう批判をかなり強く打ち出しました。日ごろ経済問題以外では燃えることの少ない日本経済新聞の諸氏が安保や政治で熱を込めて批判を述べるというのは珍しいといえます。

 

日本経済新聞10月22日の社説です。

「日米同盟の危機招く『安保摩擦』を憂う」という見出しでした。

 

その重要部分を以下に紹介します。

なかなか説得力があると、私は思いました。

 

「何のために太平洋を越えてきたのか。ゲーツ米国防長官は、そんな思いではないか。

 

 会談した鳩山由紀夫首相、岡田克也外相、北沢俊美防衛相のだれも、聞きたい話をしてくれなかった。インド洋の給油中止の見返るとなる支持の具体策であり、沖縄・普天間基地の移設をめぐる日米合意の確認である。

 

 立場を入れ替えて考えれば、わかりやすい。米側で政権交代があり、日本の防衛相が訪米したとする。米前政権との合意を再確認したいと考える防衛相に対し、米側は具体的な言質を与えない。何のための訪米だったのかと彼は首をかしげるだろう」

 

「安全保障をめぐる不一致が長く続くようなことになれば、同盟関係は緩み始める。

 

 オバマ政権は、同盟国日本よりも中国を信頼に足るパートナー

と考えるようになる。北朝鮮問題をめぐる外交でも、現在以上に中国ペースになり、日本には不満が蓄積する。ガス田をはじめとする日中間の懸案をめぐる交渉でも、米国の後ろ盾を失った日本の立場は弱くなる」

 

 「鳩山政権が繰り返す『日米基軸』が外交辞令でないとすれば、給油の実質的継続と、いち早い普天間基地移設の実現に向かい、具体的行動を示す必要がある。できなければ、日米同盟は名存実亡となり、緊急事態に機能しなくなる。

 

 首相、外相、防衛相に危機感が足りない。それが同盟の危機だ」

 

このへんのところがいまの日本の平均層の考えだといえましょうか。