「米国を排除するつもりはない。私の頭の中にどの国が入って、どの国が入らないとは考えていない」

 

なんですか!

この言葉は!!

 

鳩山首相がタイで開かれた東南アジア諸国連合・日中韓(ASEANプラス3)首脳会議、東アジア首脳会議などで述べた言葉です。

 

なにがなんだかわからないというのが最適の評でしょう。

 

鳩山首相は最初は東アジア共同体というのを中国の首脳に伝え、続いて日中韓の三国首脳会談で提起して、いかにも中国と韓国とともに共同体をつくるという構えをみせました。

 

その時点ではアメリカは当然、入らないという感じでした。

現に岡田外相が東アジア共同体にはアメリカは入らないと言明していました。ところが鳩山首相はアメリカも関与するという趣旨を述べるにいたりました。

 

上記の東アジア首脳会議は東南アジア諸国にインド、オーストラリア、ニュージーランドまで合計16カ国が加わっています。その会議の議長声明で「東アジア共同体構想に向けた努力を活性化させる日本の提案を評価する」という歓迎の構えをみせました。

 

ということは、インドもオーストラリアもニュージランドも、東アジア共同体に加わる意向だということでしょう。そうなるとアメリカも入って、太平洋の向こう側からインド洋、太平洋の南側までの「共同体」となります。これだけの広大な国家群の広がりはちょうど既存のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の広がりと同じになります。

 

「東アジア」にアメリカもインドも入らないのは当然です。だから鳩山首相の「東アジア」という部分はこれで瓦解となります。さらにはEUと同じような「共同体」という概念ももう実現は無理でしょう。

主権国家が主権を一部、譲り合い、人、物、カネが国境を自由に移動するという「共同体」が本来の鳩山構想だったはずです。

 

しかし中国の人たちが日本だけでなく、アメリカにまで自由に入っていくのか。常識で考えただけでも答えは明快です。となると、「東アジア共同体」という構想はもう空中分解ですね。

 

もうこの時点で鳩山首相の唱えた東アジア共同体構想は終わりだ、と述べておきましょう。

 

まさに東アジア幻想体、東アジア妄想体でした。

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なお古田博司氏もアジア研究では優れた実績のある学者ですが、東アジア共同体構想が幻想であることをこの書でも説いています。