鳩山政権の普天間問題に対する「決定延期」などによりアメリカ側の態度が険しくなってきました。

 

 それでもなおオバマ政権自体は内心の不満や怒りをあらわにせず、柔軟であるかのような姿勢を保とうと努めています。

 

 内政でも外交でも苦しい立場にあるオバマ政権は「対日関係もまた失敗した」と非難されることを恐れています。

 

 だからオバマ政権の当局者たちは、鳩山政権に対しても、できるだけ批判の表明を避けようとします。本音を語っていないわけです。

 

 この点、野党の共和党側では、もっと本音に近い見解や心情が述べられます。そんな一例を紹介します。

 

 ワシントンの大手シンクタンクのヘリテージ財団が発表した日米同盟の危機についての政策提言報告書です。同財団は共和党寄りということもあって、オバマ政権よりはずっと率直な認識や意見を打ち出しています。

 

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【朝刊 国際】
日米同盟 危機迫る 「鳩山政権、早急に代案を」 米シンクタンク

 

 【ワシントン=古森義久】米国の大手研究機関「ヘリテージ財団」は16日、沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設に対する鳩山政権の態度が日米関係を深刻に緊迫させ、日米同盟を傷つけているとする報告書を発表した。
 報告書は政策提言としてオバマ政権に普天間移設の従来の合意の履行をあくまで目指すべきだと勧告する一方、日本側には合意を守らない場合、明確な代案を早急に示すことを求めた。

 「米国は沖縄の米軍再配備の履行を確固と進めるべきだ」と題された報告書はまず、現在の日米関係の緊迫は、鳩山政権が日米両国の13年間に及ぶ交渉の成果である普天間移設を含む沖縄の米軍基地に関する合意を守らず、鳩山由紀夫首相の前言変更や、岡田克也外相、北沢俊美防衛相の言明との矛盾によりさらに深まり「米日2国間の軍事同盟を傷つけている」とした。

 

 事態はまだ危機にはなっていないが、日本側がこれまでと同じあいまいさを続けた場合、同盟の危機になるだろうと予測している。

 

 鳩山政権が普天間移設など米軍基地問題を「戦略的にはまったく考えておらず、国内の政治面からだけ考えている」とし、こうした態度が同盟を傷つけ、日本とアジアの安全保障への真剣な取り組みの機会を奪っている、と断じている。

 

 また、「日本の民主党は日本国内での米軍のプレゼンスをとにかく減らすというのならば、その分を日本独自の防衛強化で補うつもりがあるのか」と問い、「鳩山政権が当初に打ち出した『対等な防衛』という言葉の意味を定義づけてほしい」と日本側に迫った。

 

 同報告書は米国政府には

 

 (1)日本政府に普天間飛行場の県内移設などあくまで合意通りの実施を求める

 

 (2)日本政府のあらゆるレベルと接触し日米同盟の重要性を幅広く訴える

 

 (3)鳩山政権に自国の防衛だけでなく、地域的かつグローバルの安全保障の責任を問う

 

 -ことなどを勧告した。

 

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