産経新聞の最近の報道に対し、日ごろ産経を支援してくれている方々からの批判がありました。

 

 長年、産経新聞の記者で、現在は政治評論家として活躍する花岡信昭氏のメールマガジンから転載させていただきました。

 

 産経新聞の記者の一人として、この種の建設的な批判には謙虚に耳を傾けたいと私自身は思っています。

 

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<<「やばいぞ」と言われてしまった>>

  これはまずいなあ、と紙面を見た時から思っていたのだが、やはり、痛烈な批判が出た。産経の福地NHK会長へのインタビュー記事だ。

 政治記者の大先輩、渡部亮次郎氏(NHK出身)のメルマガ「頂門の一針」から、許諾を得て転載する。この筆者の大谷氏もNHK出身だ。

http://www.melma.com/backnumber_108241/


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「やばいぞ産経」
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     大谷 英彦

「産経新聞」は2月9日から3日間、福地茂雄NHK会長のインタビュー
を掲載した。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100209/plc1002090358002-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100210/biz1002100254004-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100211/biz1002110301001-n1.htm


福地氏はつい先日も雑誌「プレジデント」にも登場していたが、さほどの内容は無かった。

今度は、NHKの「シリーズJAPAN」の「台湾・捏造問題」「1万
人訴訟」などを全く無視している全国紙のあるなかで、最も積極的に取上げてきた「産経新聞」だから、と大いに期待した。

聞き手の佐久間修志さんという名前、私には初見の方だが、業界内輪では「産経新聞文化部」のNHK担当記者は他社に比べ相当弱いと耳にしていたので、新しいエースの登場かなという期待感もあって、この3日間は朝の配達が待ち遠しかった。

しかし3日間、今日出るか、明日出るかの期待は裏切られた。

福地氏が「番組は3回見たが、問題はない」とNHKのホームページで表明していることは周知の事実だ。「台湾は所詮、日本の植民地だった」という意味の発言も表明している。

この見解に対して、歴史的事実に反する偏向と反駁している人は「産経新聞」の読者の中にでも少なくない。むしろ「産経愛読者」なるが故に多いはずだ。

純正保守の立場からペンとカメラを駆使して毎日「世界は腹黒い」というブログを精力的に連打している「花うさぎ」さんは「日本が普通の国になるように、産経新聞を応援しています」という「サブタイトル」までつけている。

「産経新聞」社内にも、コレに応える自負は強いとはずだ。

佐久間なる記者は、読者のそんな期待に気づかなかったのか。思惑か、事情あって「的」をわざとはずしたのか。デスクは何のダメ出しも無く出稿をOKしたのか。

かつての「産経新聞」を思い出す。当時の斉藤勉編集局長は、日本の現状をえぐる記事に「やばいぞ日本」という総合見出しを冠した。

私は思わず口にした。「やばいぞ産経」。


 以上、転載。

 この指摘の通りだ。この時期にNHK会長にインタビューするのなら、問題化した「JAPANデビュー」についてまったく触れないというのは、取材報道記事とはいえなくなる。

 いわば「おうかがい記事」になってしまう。同じ産経の15日配信記事。


<「JAPANデビュー」偏向番組訴訟 台湾統治でNHK側は争う姿勢
2010.2.15 18:40
 
 NHKスペシャル「シリーズ・JAPANデビュー アジアの“一等国”」の出演者などから番組内容に偏向があったと批判が相次いだ問題で、出演者の台湾少数民族・パイワン人や視聴者ら計約1万300人がNHKに計約1億1千万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、東京地裁(岡健太郎裁判長)であった。NHK側は争う姿勢を示した。

 また、原告側が意見陳述を行い、「台湾の日本語世代の人たちは、教育への貢献など日本による統治時代を高く評価している。(証言をねじまげた今回の番組は)公共放送として許されない」などとNHKの姿勢を批判した。

 問題の番組は昨年4月5日に放送されたが、「日本の台湾統治を批判するため、出演者の証言をねじ曲げている」などと批判が集まった。>


 福地会長は番組に問題なしと判断しているとのことだが、NHKトップがいまになって「問題だ」とは口が裂けてもいえない。問題だと思っているのなら、もっと早い段階で担当者の処分などに踏み切っているはずだ。

 いずれにしろ、1万人訴訟に発展した重大事なのである。これについて聞かないのであれば、むしろ、インタビューなどしないほうがよかった。

 肝心のことを聞かないインタビューになったから、なにやらNHK側と産経が「手打ち」したかのような印象すら受ける。それは産経にとって、きわめてまずいマイナスになるはずである。産経読者にはそういうことを鋭く見抜ける人が多いはずだ。

 福地会長はアサヒビールの出身だ。中国で販路開拓に躍起となっているビール会社である。中国の意向に反するような言動はできない。そういう福地会長の立場をまず知るべきだ。

 この「JAPANデビュー」問題は、インタビューに応じた台湾の人たちがこぞって「発言の一部を歪曲されて使われた」と断じていることがポイントである。

 NHK幹部にとって悩ましいのは、この番組の制作者の「水準」があからさまにされてしまったことだ。おそらくは制作スタッフは、後藤新平や新渡戸稲造らが台湾でどういうことをやって、台湾側からいかに感謝されているかなどまったく知らないまま取材に着手したのではないか。

 はなから「日本は悪いことをした」という感覚で番組づくりを進めたものだから、こういう結果を招いた。取材相手から「自分の意図が伝わっていない」と一斉に抗議されるなど、NHKのみならず、メディアにかかわっている者であれば、最も恥ずかしいことなのだ。

 つまりは、反日だとか親中だとかといった次元とはまったく別の「制作サイドの知的レベル」という問題が浮かんでしまう。これがNHKにとって、最も痛いところだ。

 産経のインタビュー記事はどういうねらいで行われたのか。そうしたもろもろの事情を担当記者や出稿責任者は承知していたのかどうか。

 承知していなかったとなると、これはさらに恥ずかしいことになる。

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