アメリカと中国との関係はついに経済の領域でも険悪となっていますが、アメリカ側からこんどは「中国がアメリカのハイテク産業の雇用を奪っている」という非難が出ました。

 

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米のハイテク産業 中国が63万人分の雇用奪う 団体報告 人民元や補助金理由
2010年03月25日 産経新聞 東京朝刊 総合・内政面


 

 【ワシントン=古森義久】米国のハイテク産業で約63万人分の雇用が2001年からの8年間に失われたとする報告が23日、米国の主要製造業団体から発表された。
 
 雇用喪失を「対中貿易赤字の結果」と位置づけた同報告はその理由として中国側の通貨レートの不公正操作や政府補助金を挙げている。

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 米国の多くの製造業企業を代表する民主党系団体「アメリカ製造業同盟(AAM)」は報告で、「中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した01年からの8年間で米国内の雇用240万人分が中国への生産拠点移転や中国からの輸入増大によって失われた」と指摘した。

 特に、コンピューター、電子機器とその部品などを製造するハイテク産業について「他の産業部門よりも対中赤字を急速に増大し、その結果としての雇用の喪失や縮小も激しくなった」と述べ、「合計62万8千人分の米国の雇用が中国を原因として失われた。この数字は全体の雇用喪失の26%に相当する」と強調した。

 米側の雇用縮小の背景として報告は「中国はWTO加盟以来、対米貿易黒字を急速に拡大し、01年には840億ドルだったのが、08年には2700億ドルへ増加した。米側のその対中貿易赤字の40%はハイテク製品だった」と指摘した。

 報告は中国の巨額な対米貿易黒字の原因として
 
 (1)中国当局は人民元の通貨レートを不当な操作で実勢の40%以下に抑え、米国市場での中国製品を不当に安くしている
 
 (2)中国政府の自国企業への巨額の産業補助金の供与が中国製品を廉価にしている
 
 (3)中国側の労働法や環境保護法の履行が緩やか過ぎて、中国企業への負担が少ない
 
 (4)中国市場での知的所有権の盗用が中国企業を有利にしている
 
――などを挙げた。

 特にハイテク産業では中国製品が米国市場に安く輸入され、廉価で大量に売られていることが米業界の規模を縮めているとの見方を示した。この結果、カリフォルニア州、テキサス州などで特に失業が増えたという。

 AAMの報告は同じ民主党系の研究所「経済政策研究所(EPI)」の調査研究の成果に基づいているという。だが、この種の報告が米国産業界から直接に発表され、中国への非難となるのは現在の米中経済関係が対立や衝突の構図を明確にしてきたからだといえる。
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