オバマ大統領が唱える「核なき世界」はすばらしい理想であっても、現実の世界ではきわめて支持が少ないことがワシントンで明らかになっています。

 

 アメリカの核抑止力で国の安全を守られながら、他方で核兵器廃絶に賛成するわが日本にとっても看過できない現実です。

 

 その現実を以下の記事で報じました。

 

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「核なき世界」 米政権でも賛同者は少数 共和党は猛反発/同盟国に不安感


 

 【ワシントン=古森義久】オバマ米大統領は「核なき世界」の大目標の下に核安全保障サミットを終え、核拡散防止条約(NPT)の強化へと進む意図を強調しているが、当の米国ではなお同大統領の大構想の実現への熱い賛同が内外でほとんど表明されていないことが指摘されている。

 19日付のワシントン・ポストは「オバマ氏は核廃絶の野心への支援を得ていない」と題する記事で「オバマ氏の『核なき世界』への動きに従う人たちは存在するのか」という疑問を提起した。

 

 同記事はその答えとして「米国議会は分裂しており、国民は経済など他の問題に関心を奪われている」と報じた。

 

 核安保サミット後の同紙の世論調査では、同サミットがまとめた軍事転用可能なプルトニウムの安全管理の任意の措置について「あまり信用できない」と答えた人が56%に達した。

 

 オバマ大統領の核廃絶政策への反応については民主党系の主要研究機関「カーネギー国際平和財団」が最近、発表した報告で同様に米国内外での積極的な支援が少ないことを指摘した。

 

 同報告は

 

 (1)オバマ大統領の核廃絶の呼びかけは、政権内部の閣僚や議会の与党民主党指導層の明確な関心の表明も得ていない

 

 (2)核保有国のロシア、中国、フランス、イスラエル、インド、北朝鮮などは核廃絶への具体的措置には難色を示している

 

 (3)非核諸国の間でもその種の措置に消極的な抵抗を示す国が多い

 

 (4)欧州やアジアの同盟諸国も今後の核関連の脅威への抑止をどうするかに関しての不安を表明している

 

 (5)核廃絶には国際的に諸国間の政治・安保関係の根本的な改善も並行して行わなければならない

 

 ――という諸点を強調した。

 

 実際にオバマ政権内でもロバート・ゲーツ国防長官やマイク・マレン米軍統合参謀本部議長は核安保サミット前後にも米国の核兵器の重要性を力説する言明を続け、核廃絶に直接にはほとんど言及していない。

 

 政権外となると、共和党側の有力者たちはオバマ大統領の「核なき世界」構想を、核抑止を不安定にする危険な政策として正面から反対する。

 

 共和党のニュート・ギングリッチ元下院議長は今回の核安保サミットを「みせかけだけのショーだ」と断じ、大統領の核廃絶などの一連の演説を「1920年代にジュネーブで実施された無意味な軍縮を想起させる」と酷評した。

 

 保守系のコラムニストのチャールズ・クラウトハマー氏も「オバマ大統領の核廃絶に関する実効措置の対象には、いまの世界が核拡散防止では最優先するべき相手のイランとパキスタンの両国が含まれていない」と述べ、民主党主導の核拡散防止への根本的な不信を表明した。

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