アメリカの現在の政治情勢です。

 11月の中間選挙への現時点での展望です。

 

【緯度経度】ワシントン・古森義久 米共和党に復調の兆し


 

 米国の最近の一連の選挙で反オバマ大統領の旗を掲げる共和党の攻勢をとくに印象づけたのは、ハワイの下院議員特別選挙だった。
 ハワイの連邦議会下院の2選挙区のうち、ホノルル中心の第1区では5月22日に特別選挙が催された。
 民主党現職のニール・アバークロンビー議員が州知事選に出馬するため辞任したことにともなう選挙だった。

 ハワイ州はもともと民主党支持者が多数を占める。

 

 しかもホノルルといえば、オバマ大統領の出身地だ。

 

 この地区でオバマ大統領の「大きな政府」のリベラル施策を真正面から批判する共和党の保守派候補が当選してしまったのだ。

 

 チャールズ・ジュー氏、39歳の弁護士である。この選挙区での20年ぶりの共和党議員となった。

 

 ジュー氏の勝利の原因には民主党側の分裂もあった。

 

 オバマ大統領と民主党全国委員会の両方が推したエド・ケース候補に対し、地元の大物ダニエル・イノウエ上院議員らが支援するコリーン・ハナブサ候補が立ったのだ。

 

 民主党長老のイノウエ氏が大統領の意に反抗するという点にも、オバマ氏の威光のかげりがうかがわれる。 

 

 投票結果はジュー氏39%、ハナブサ氏30%、ケース氏27%となった。

 

 民主党の両候補の得票を合わせれば、57%となるが、それでも民主党支持が圧倒的に多い民主党大統領の出身地でその大統領の政策を非難し続けた共和党候補が勝利するというのは、草の根での反オバマ層の広がりといえるだろう。

 

 ワシントンの政治評論家の間では最長老とされるデービッド・ブローダー氏がこう論評していた。

 

 「米国の今の政治システムでの基本的な対決が明白となった。リベラルのオバマ政権は、共和党側で活動する積極果敢な保守主義運動への共鳴を増す一般有権者にリベラル本来の政策を受け入れさせることに苦闘しているのだ」

 

 「民主党側はオバマ氏らが追求する費用のかかる政策に対する大衆レベルでの反発に直面している。この闘争は、議会での医療保険改革や金融規制の法案審議をめぐって燃え広がり、民主、共和両党のイデオロギー的ギャップを広げた」

 

 政策闘争では世論調査でみる限り、共和党側がより多くの国民の支持を取りつけている。

 

 たとえば医療改革法を破棄することへの賛成が過半数なのだ。

 

 だから今年11月の中間選挙では連邦議会の上下両院で、絶対多数を占める民主党側の大幅な後退がもっぱら予測されている。

 

 現議席は下院が民主党255、共和党177と78もの差があるが、選挙専門家のなかには共和党が40議席ほど増やして逆転を果たすという極端な予測を述べる向きもある。

 

 逆転はできなくても、30ほどの議席増は確実という予測は珍しくない。

 

 民主党57、共和党41(無所属2)の乗員では共和党は逆転に必要な10議席増は無理でも、民主党を後退させることは間違いないとされる。

 

 もちろん選挙はどこでも水ものであり、11月までになにが起きるかわからない。

 

 ところがおもしろいことに、一般企業がこの共和党有利の潮流を見通したかのような政治献金のシフトをみせ始めた。

 

 ワシントン・ポストの最近の報道では、米国の企業数百社が自社の「政治活動委員会」を通じて連邦議員に寄付した資金の合計は今年1月から3月までに共和党側が2500万ドル、民主党側が2200万ドル、つまり53%と47%となった。

 

 ところが1年前の同期は共和党42%、民主党58%だったという。

 

 企業は議会での多数派の議員に寄付を優先する傾向があるが、今回は共和党の進出を予測したような異例の献金パターンだというのだ。

 

 いずれにしても「チェンジ(変革)」を唱えて政権を得たオバマ氏がいまや逆方向へのチェンジを迫られるというのが米国政治の現状のようだ。

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ハワイ一区で共和党の勝利をもたらしたチャールズ・ジュー下院議員とその家族。