日本ビジネスプレスの「国際激流と日本」という連載コラムで私が書いた中国の航空母艦の開発・配備計画についてのレポートです。

 

  

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米国防総省の研究機関INSSは中国が近く航空母艦を開発し、配備するという見通しについて明言していた。

 

その要旨は以下のようなものである。

 

 「中国当局は、『中国は航空母艦戦闘群とその関連航空戦力を開発することを意図している』という外部の観測を長年、繰り返し否定してきた。だが、ここ数年間で中国の国営メディアは中国人民解放軍の航空母艦保有の可能性を大々的に報じるようになった」

 

 「今では、米側の海軍研究者たちは中国首脳の空母保有への信念を確実なこととして論じるようになった。現実に米国の中国ウォッチャーたちの間では、中国海軍が航空母艦保有へと前進するということを近く発表するという予測のコンセンサスが存在する」

 

 繰り返しになるが、この報告は国防総省の付属とも言える研究機関から公表されたのだ。INSSは米国の国防長官や米軍統合参謀本部議長の意志決定のために、国家安全保障にかかわる戦略研究を恒常的に進める機関であり、国防総省への政策勧告の役割を果たしている。

 

 その研究機関の報告の記述に「米国の中国ウォッチャー」とあるのは、当然、米国の軍事専門家たちと考えてよいだろう。そういう専門家たちがすでに「中国の空母登場」を確実視しているのである。

尖閣諸島への威圧も念頭において開発?

 同報告はさらに注目すべき認識を明示していた。

 

 「(中国にとって)航空母艦能力の保有は、戦略上、かつ作戦上、必要となる明確な根拠がある。中国が遠洋で自国の任務を遂行する際に空軍力の防御を供するためには、航空母艦が必要なのだ。その任務とは、南シナ海での海洋領有権の防衛や、インド洋での海上輸送路の防衛である」

 

 南シナ海での「領有権防衛」は、当然、東シナ海での領有権紛争にもつながっている。つまり、中国の空母が尖閣諸島への威圧や攻撃をも念頭において開発されていることは明白だと言える。(つづく)

 

このレポート全体は以下のリンクで読めます。

 

 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5107?page=2