米国と中国が二国だけで世界を仕切るというG2論が否定されたことの報告の続きです。

 

 日本ビジネスプレスの私の連載「国際激流と日本」の紹介です。

 今回はその最終部分です。

 

  原文へのリンクは以下です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5281

 

 

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クリントン国務長官は演説の中で次のように語った。

 

 「今日の米中関係は、他のいかなる2国間の関係とも同じように重要である。だが、G2と いうようなものは存在しない。米中両国は、いずれもそうした概念を排除する。米国と共に地域的かつグローバルな出来事を形成していく中国以外の同盟諸国や 途上諸国が存在するのだ。(中略)米国は、日本、韓国、タイ、オーストラリア、フィリピンといった同盟諸国との絆を刷新し、強化した」

 

 この発言は、G2をはっきりと否定していた。それどころか、代わりにまず日本の名を最初に挙げて、アジア太平洋地区での同盟諸国との絆の重要性を強調していた。

 

 米国にとってのアジアの同盟諸国としては、このところ日本よりも韓国の名が先に挙げられるという状態が続いてきたから、「日本の復活」でもあった。中国をやや遠ざけ、伝統的な同盟国の日本をまた復権させる姿勢だとも言える。

ますます反抗的な態度に出る中国

 繰り返すが、この発言はオバマ政権としてのG2論の排除宣言だった。

 

 その背景には、米国が中国へ協調の手をいくら差し伸べても、中国側が応じず、かえって反抗的でネガティブな対応を見せるようになったという現実があった。

 

 中国は東アジア全域で、米軍の抑止力に挑戦するかのように軍拡を続けている。北朝鮮の核兵器開発に対する非難・制裁にしても、米国の協力要請には応じていない。

 

 米国が防衛誓約を保つ日本の尖閣諸島の海域に対しても、強引で不当な侵入をする。南シナ海でも国際合意を無視して自国の主権を主張する。

 

 国内では一党独裁を保ち、国民の人権を抑圧する。チベットやウイグルの少数民族にも苛酷な弾圧を加える。米国の台湾への武器供与に対しては、厳しく非難する。

 

 こうした状況について、ワシントン・ポストの著名コラムニストであるロバート・サムエルソン氏は以下のように論評していた。

 

 「中国は、米国主導の戦後の国際秩序の正統性や優越性を受け入れてはいない。米国主導の秩序は世界の経済的安定と平和継続という現状維持を前提とするが、中国はその前提に協力する意図はないように見える」

 

 「中国が真に求めるのは共産党の正統性の保持であり、自国の西洋化ではない。中国の世界観は、まず自国の権利の優先であり、米国の地政学的かつ経済的な利益に脅威を与える」

 

 中国は米国主導の国際秩序にそもそも従う気がない、という意味である。こうした中国についての考察にのっとれば、オバマ政権にとって「G2論などは論外」となるのはごく自然のことであろう。(終わり)

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