膨張し、無法ぶりを発揮する中国にどう対応すべきか。

 

 日本はアメリカと連携すべしと、米側の識者が説いています。

 

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【正論】ヴァンダービルト大学 日米研究協力センター ジェームス・E・アワー
2011年01月26日 産経新聞 東京朝刊 オピニオン面

 ■日米で南シナ航行の自由監視を

最近、台湾の戦略専門家が以下のようなことを私に言った。

一、歴史的に見て、日本は強大な中国を常に案じているが、米国はもっと中立的である。

一、中国が台湾を占領するとなると、日本の戦略態勢は直接的な影響を受けるであろうが、米国にとってはそれほど劇的な影響はないであろう。

一、日米両国とも中国の最大の貿易相手国のうちに入るが、根本的な違いが一つあり、それは日本が中国からカネを稼いでいるのに対し、米国は中国からカネを借りている点である。

一、2009年時点で、日本の対中貿易黒字は米国の対中貿易赤字の約3分の1で、米国の対中貿易赤字は、対日貿易赤字の約6倍である。

一、これらの数字ゆえに、米国は中国を怒らせることを日本よりもしたがらなくなってきており、日本は財政金融面での対中依存度が米国よりも低い。そして、 最近の尖閣事件やそれに伴うレアアース(希土類)原料の禁輸措置が、台頭する中国は一体、何をやってくるのかという日本の不安を強めている。

だから日本はじっとして中国のいじめを受けるわけにはいかないのだ、と台湾の友人は論じた。

≪日本は米国に比べ中国に甘い≫

彼が言っていることは論理的に聞こえるが、行動は言葉よりも雄弁という。米国は中国の不透明な軍備増強を非常に懸念し、最近の中国による攻撃的な振る舞いに対処する措置を取った。一方の日本は依然、はるかに慎重であり、厳しい政策決定を避けている。

例えば、中国が南シナ海を自らの「核心的利益」であると宣言して、それが日本経済に破滅的影響を与えかねないにもかかわらず、日本は強く抗議するでも、そうした中国の動きには反対することを行動で示そうとするでもない。

だが、ヒラリー・クリントン米国務長官は2010年7月、ハノイで、南シナ海海域における主権の主張者が誰であれ武力で脅したりそれを行使したりすることを強く非難した。加えて米国は南シナ海、そして台湾海峡にも海軍艦船や航空機を派遣し続けている。

2010年9月、中国漁船が尖閣諸島沖の日本領海を哨戒中の海上保安庁巡視船に故意に衝突してきたとき、日本政府は漁船船長を裁く前に釈放するよう命じ た。対照的に米国は、尖閣諸島に対する中国の軍事侵攻は日本と共同の米国の対応を要するだろうと、紛れもなく明確に表明している。

≪日米共同で中国に断固対処を≫

国際法とは相反する中国の声明や、尖閣諸島やその他での中国の攻撃的な行動を考えると、中国とはまるで異なる価値体系を持つ2つの民主主義国、日本と米国 は、中国を相手にするに当たって断固たる態度で臨み、私見ながら最も効果あるものにするためには、共同で行動しなければならない。

中国 漁船の船長が釈放されたときに、3期目の長島昭久衆院議員(民主党)は、日本にとって、日清戦争の後の三国干渉により遼東半島の返還を余儀なくされて以来 の最大の屈辱だと主張し、国会で菅直人首相に質問した。長島議員は、菅首相に対し、日本の国益を考えてほしいと懇請した。

菅首相は答弁 できなかったが、後に、長島議員が勇敢にも口にした真意を理解したことを示唆するような行動も全く取っていない。それどころか、菅首相は、武器輸出三原則 を堅持すること、という社民党の福島瑞穂党首の要求に屈してしまった。三原則の見直しなくしては、ミサイル防衛に関する米国との協力は難しくなる。

≪東南アジアとも協調行動せよ≫

日本が、米国とともに、そして南シナ海や、その中で領有権が争われている島々に対する中国の意図を同じように危惧している、東南アジアの諸国と協力し合って取り得る行動は、ほかにもある。

それらは、国際法に照らして合法で、集団的自衛権の行使に対する日本の非現実的な制約の範囲内にも収まっている行動である。そして、南シナ海が、地域の、 そして地球規模の通商に開かれている国際的な水路にして空域であるということを、世界に向けて鮮明にするであろう行動である。

日本の海 上自衛隊は今日、米海軍と交代で、頻繁に(私としては毎日、と勧めたいのだが)、南シナ海上空を航行の自由のために偵察飛行する能力を有している。インド ネシアとベトナムは、自国領海の境界付近の安全を保障しようと2国間協力を話し合っている。ブルネイは、厳しい天候下でも南シナ海の全域で作戦可能な日本 製US-2水陸両用救難機といった、長距離飛行艇の拠点とするには格好の位置にあるだろう。

セオドア・ルーズベルト米大統領が、「言葉 は穏やかに、手には棍棒(こんぼう)を持て」と言ったことはよく知られている。中国は大声で語り、無法に行動している。今や日本と米国が行動するときであ る。両国が確固たる政治的決意をもって志を同じくする東南アジア諸国の行動と協調しつつ実施すれば、中国はその行動を好まないかもしれないが、尊重はする だろう。