日本の放射能汚染の危険がかなり誇大にされた形で海外に広まるなかで、アメリカでは少なくともいまのところ、日本から輸入される食品には汚染はない、という調査の結果が公表されました。

 

 しかし中期、長期には日本の食品の外国への輸出には大きなトラブルも予測される、とのことです。

 

 産経新聞の4月28日の朝刊に出た私の記事の拡大版が以下です。

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【ワシントン=古森義久】 

 米国政府の諸機関による日本からの食品輸入の検査の現状が26日、明らかにされ、現時点では放射能汚染が公衆衛生上の懸念を生む状態とはなっていないとの判断が示された。しかしこんご日本の食品の輸出入には大きな変化が起きるという見通しも明らかにされた。

 

 この現状は米国議会調査局が上下両院議員の審議資料として作成した「日本の2011年地震と津波=食品と農業への意味」と題する報告で明らかにされた。

 

 同報告は日本の放射能汚染の危険のある食品の米国への輸入については連邦政府の食品医薬局(FDA)と農務省が主体となり、福島、茨城、栃木、群馬各県で生産あるいは製造された牛乳製品と野菜に対し「輸入警報」を発して、特定の検査措置を取ってきたことを伝えている。日本の水産物はこの「警報」の対象に含まれていない。

 

 同報告によると、日本からの食品輸入では全体としても4月下旬までに米側の公衆衛生上の懸念となるような異常は発見されていない。ただし日本から米国への食品輸出は年間7億㌦程度で米国の食品輸入全体の1%以下とされる。

 

 米国政府の「警報」は日本産のホウレンソウ、レタス、セロリなど葉状野菜や花類に及ぶが、どの種目でも放射能の危険は探知されていないという。

 

同報告では米国環境保護庁も日本の放射能による影響について米側の大気、飲料水、牛乳や放射能自体を常時、検査しているが、公衆衛生上の懸念の水準以下の放射能しか検出されていないという。原子力規制委員会も日本の放射能は米国の西太平洋諸島を含めてどの地域でも悪影響をもたらしてはいないと発表している。

 

 しかし同報告は、「日本の現在の食料の生産や供給の不足が食料の安全への懸念の増加と食料生産自体への長期の放射能の脅威とともにこんご日本の食料輸出を制限し、食料輸入の必要性を増大していく」という見通しを強調した。

 

同報告は日本自身の食品汚染の危険の発表を受けて、米国に加えて欧州連合、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、インド、中国、インドネシア、シンガポール、韓国、タイなどの諸国が特別の輸入監視措置をとったことを記している。そのうえで同報告は世界保健機構(WHO)などが「日本で産出される食料の一部は人間による消費に不適切な水準まで放射能の汚染される見通しが強い」との予測を打ち出したことを指摘して、こんご日本の食品の輸出が大幅に減る展望を強調した。

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