菅政権が外交面でまたまた奇妙な自虐行為を進めています。

 

 日韓併合で合法的に取得した韓国側の図書などを大幅に返すというのです。この種のやりとりは日韓基本条約でもうとっくに済んだことになっているのに、なのです。さらに韓国側は返還を求める図書よりも10倍近い点数を菅政権は自発的に韓国に渡すというのです。

 

 しかも韓国側が取得している日本の貴重な文書は菅政権は引渡しの要求など、おくびにも出しません。

 

 この実態を以下の産経新聞社説がうまくまとめ、批判をしています。

 

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【主張】日韓図書協定 片務的な対応は禍根残す

 

 朝鮮半島由来の朝鮮王室儀軌(ぎき)など1205冊の図書を引き渡す日韓図書協定が衆院本会議で、与党と公明党などの賛成多数により可決し、参院に送付された。

 この協定は、昨年8月の日韓併合100年に合わせた菅直人首相談話に基づく措置とされる。しかし、日韓基本条約(昭和40年)で解決済みの問題を蒸し返すことになり、際限のない補償に道を開く危険性をはらむ。

 

 日韓基本条約は、韓国に対する日本の戦後処理の枠組みを決めたものである。付属文書で、日本は無償供与3億ドル、政府借款(有償)2億ドルの計5億ドルの経済協力を約束し、双方の請求権が「完全かつ最終的に解決された」と明記されている。

 

 韓国の請求に応じ、日本にある儀軌などを引き渡すことは、互いの請求権を放棄したこの基本条約の趣旨に反するといえる。

 

 朝鮮王室儀軌は、李氏朝鮮時代の祭礼や行事を絵画や文章で記録した古文書類だ。日本統治時代に朝鮮総督府経由で旧宮内省(現宮内庁)に163冊が移管され、民間から購入した4冊を加えた167冊を宮内庁が所蔵している。

 

 当初、韓国の要求はこの167冊だけだったが、日本側で広範に調査した結果、1205冊に増えたという。その1205冊を引き渡す協定はすでに昨年11月、日韓両国の外相が署名している。

 

 同じころ、フランスは朝鮮王朝末期の19世紀に持ち去った図書を韓国に貸与することで合意した。「貸与」と「引き渡し」は意味が全く違う。菅政権の対応は、フランスの対応と比べても著しくバランスを失している。

 

 衆院本会議で自民党は、一部が韓国に渡っている対馬藩主・宗家(そうけ)の文書などの引き渡しを求めない菅政権の方針に反発し、反対した。日本にある宗 家文書は国の重文に指定されている貴重な文化財で、自民党からは「片務的に過ぎる」と、疑問の声が上がっている。当然の指摘だ。

 

 菅政権は5月中旬にも図書協定を参院本会議で可決、成立させ、5月21日の李明博大統領の訪日に間に合わせたい意向のようだ。しかし、過度の贖罪(しょ くざい)意識にとらわれた結果としか思われない一方的、片務的な図書協定は、日韓両国関係の将来に禍根を残しかねない。無理に外交日程に合わせて、成立を 急ぐ必要があるだろうか。