菅首相は日米同盟の重視をスローガンとしては口にしながら、実際の行動ではその同盟に背を向けています。同盟を強化する措置、そのために実行すると約した措置をいずれも先延ばしにしているからです。

 

産経新聞の社説がそのへんを解説しています。

 

【主張】日米首脳会談 同盟の懸案解決に全力を

 

 菅直人首相は仏ドービルで行われたオバマ米大統領との首脳会談で、日米同盟の深化をめざして「今年前半」に予定していた首相の公式訪米を9月前半に先送りすることなどで合意した。

 訪米延期は東日本大震災や原発事故で忙殺される日本の事情に配慮した形だが、実態は同盟深化の柱となる米軍普天間飛行場移設のメドが立たず、菅政権の先行きも不透明なためだろう。

 

 21世紀の同盟像を描く共通戦略目標の策定や、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加問題も決着していない。首相は9月訪米を最後の機会とする覚悟で同盟充実強化のための懸案解決に全力を投入してもらいたい。

 

 震災発生後初の首脳会談でオバマ氏が「時間がいくらかかっても復旧を支援する」と語り、首相が「米軍トモダチ作戦で惜しみない支援を受け、同盟の絆の深さを感じた」と国を代表して感謝したことを評価したい。

 

 米軍と自衛隊の共同救援活動の多大な成果は、同盟の意義と大切さを両国民と世界に示した。にもかかわらず、こうした関係をさらに強めるための両国の約束が民主党政権下で果たされないことに重大な問題がある。

 

 両首脳が普天間を沖縄県名護市に移設する日米合意の堅持を確認したのは当然だ。米議会では合意と異なる嘉手納基地併合案や県外分散案も浮上した。日本の遅延に対するいらだちと受け止め、現行合意を着実に進めることで議会を説得すべきだ。そのためにも首相の決断と行動が欠かせない。

 日米共通戦略目標と同盟ビジョンを描くための外務・防衛閣僚級の日米安全保障協議委員会(2プラス2)を6月下旬に開く方向となったことは是としたいが、作業は必ずしも順調といえない。「同盟深化」をうたう首相訪米に必須の準備作業だ。両国間の調整を一層加速させる必要がある。

 

 日本が同盟の約束を果たせない間に、米中間ではアジア太平洋の安全保障などを協議する新たな枠組みが動きつつある。日本の安全にも関わる問題だ。

 

 中国が軍事、政治、経済で海洋権益などの拡大路線にひた走り、北朝鮮の動向も不透明な中で、米国は「頼れる同盟国」としての日本をとりわけ必要としている。首相は国家の安全と同盟の問題にしっかりと目を向けてほしい。