新刊書の紹介です。
「評伝 笹川良一」(中央公論新社) 著者は伊藤隆氏です。
タイトルから明白なように昭和の異色の大物、笹川良一氏の伝記です。
本の帯の記述は以下のようです。
「国粋大衆党の党首、衆議院議員、A級戦犯の容疑者、『戦犯者』の援護、モーターボート競走の創立者、日本最大の社会貢献団体のトップ・・・・・」
「毀誉褒貶をものともせず我が道を貫いた『大きな男』」
とあるように基本的には笹川良一氏の軌跡をポジティブに描いた評伝です。
さらりと読んで、まず印象に残ったのは、笹川良一氏のマスコミ批判についての部分でした。
「笹川が出演する日本船舶振興会のCMをご記憶の読者は多いことだろう。笹川のCMは、船舶振興会を浸透させる大きな役割を果たしたが、マスコミの絶好の標的になったことも否めない。笹川はこれに対して批判・反論を強めていく。
『彼等は、口を開けば公正中立、報道の自由、知る権利だとか知らせる義務だとかいっているが、その本家本元が正しいことにいいがかりをつけて、他人の言論抑圧をやるというのだから不届千万だ。彼等のいい分は「笹川はけしからん」の一点ばりだが、笹川だろうがなんだろうが、良いことは良く、悪いことは悪いのであって、笹川良一だから「国旗を掲げよう」「父母を大切に」「物を大事に」「他人には親切に」「戸締まり用心、火の用心」などという社会への呼びかけがいけないというのは倫理的ではない』
と笹川は述べるのだった」
コメント
コメント一覧 (13)
思えば、僕も何となく、何となく、この戦術に引っかかって、
「笹川はけしからん」、と洗脳されて、マスコミの側に立っていた感じだったな~~。
>良いことは良く、悪いことは悪いのであって、
いや、全く。
>「国旗を掲げよう」「父母を大切に」「物を大事に」「他人には親切に」「戸締まり用心、火の用心」などという社会への呼びかけがいけないというのは倫理的ではない』
全く、正論です。
しかし、ここまで強烈な人はそうはいないでしょうが。
そういえば「フジテレビはけしからん!」と言ってた
某若手俳優がネットで話題になってましたね。
笹川氏の評伝もフジテレビにとっては皮肉かと思われます。
尤も笹川良一氏存命の頃は朝日新聞が大手をふって「大朝日」
とばかり闊歩していた時代で有りましたから「右翼」つまり
旧体制派のレッテルを張られた笹川氏が反発したのは必然
だったって事でしょう。
昨今のテレビ衰退振りを見ますと笹川氏見直しは
時代の要請であると私は見ます。業界の世論操作で
どれだけ国益が損なわれたことかと。
みたいなことを考えていました。
自身が保守系になってからはその不当性に気付きました。
ご紹介の本は一度読んでみたいと思います。
「自身が保守系になって」というのは、失礼ながら、社会の仕組みは世界の現実をよりよく知るようになって、というだけのことではないですか。
私自身はとくに保守だとは思っていません。
国際的基準では自国への帰属意識を抱くことにはイデオロギー的にあまり右も左もないようです。
私も若手記者だったころは笹川氏にはきわめてネガティブな印象を持ってました。そのころのジャーナリズムの流行に影響されていたということのようです
これは古森さんの昨年10月23日のブログ「昭和の黒幕の生涯を追った決定版」への私の投稿ですが、伊藤隆教授のような碩学が「黒幕」の伝記を書き、それを中央公論社が出版するということはようやくコミンテルン史観の呪縛がほぐれて、普通の民主主義社会になったと言うことでしょうか。
学生時代は何と自己顕示欲の強い奴だと思った.
振興協会でアポロの月の石の展示があった時には,
笹川良一の名前の入ったの皿が売られていたので,
やはり自己顕示欲の強い奴だと思った.
友人の息子の糸山英太郎が悪そうな奴だったので
やはり悪い奴だと思った.
しかし, 日本財団が良い活動をしているのを聞いて
最近は考えを変えた.
競艇だって競輪だって競馬だって多くの日本人に
夢と職業を与えているのだし, 濡れ手に粟で脱税常習,
北朝鮮への違法送金の疑いのあるパチンコよりはまし.
大体にして, 東京裁判の容疑者となった経歴から
まともな愛国者であることを悟るべきであった.
良い人は後から分かる.
デマばかりを流すマスメディアは困ったものだ.
地権者は笹川氏でしたが、「所有者は自分だ」と地面師が提訴し、長年、争われていたことが思い出されます。
地面師(土地ブローカー)は「路線の図面をほんの一部だが、お裾分けされた。しかし自分では買収資金(5000万だったか)を手当てできず、補償金を半分差しあげることで先生に一時 立て替え願った。なのに、口利き料400万とはあまりの仕打ちだ」と弁じたように記憶しますが、証拠がなく、長期裁判は笹川氏の勝訴に終わりました。朝日新聞滋賀版に大きな記事が載っていました。ほかでは報じられていませんでしたが、表に出ないだけで似たようなことがあちこちにあるんだろうなと興味深く読みました。
戦後、笹川さんの世評は確かに芳しいものとは言えなかったと思いますが、(A級戦犯として過ごした)巣鴨では、若くして堂々たるその押し出しに、同囚の重光葵らは一様に好感を寄せていますよね。
また、夫人孝行とはいかなかったようですが、親思い・子思い、だれ憚るところのない家父長で、児玉誉士夫氏と同型に思えます。同じ偉丈夫でも、赤尾敏氏などは全身これ国事、「子孫に美田を残さず」タイプで、印象が異なります。
佐藤誠三郎教授、工藤美代子さんに続く、伊藤隆教授の第三弾ですか。お子たちがそろって親思いなのは笹川さんの徳ですね。
旅の前に笹川良一氏が挨拶を行ったのですが、悪い印象はなく目がキラキラしたお爺ちゃんだなぁって印象でした。
そして、この人はマスコミが言うような悪い人では決して無く、押し出しが強いから誤解されているんだろうな~と思いました。
そして船での旅も決して思想を押し付けるわけでもなく快適な旅だったことを思い出します。
でも・・・記念にもらった例の名前入りのお皿だけは扱いに困りました(苦笑)
ここからはジョークですが・・・
新潟に笹川流れって綺麗な海岸線があるんですが、知らない人に「ここは笹川良一氏のもっている土地だよ」って騙して喜んでいます。
ずいぶん詳しいですね。
こうした本が出ることを「親思い」とコメントされる点など、とくにいろいろなことをご存知だなと感じます。
コミンテルン史観の呪縛が解けたと思いたいですね。
日本船舶振興会TVCM
http://www.youtube.com/watch?v=BI98Kot1E10
世界は一家、人類みな兄弟。
この標語も、左翼が言うとODA出しほうだいのおまじないですが、
しかし、この人の場合は違う意味でしょう。