新刊書の紹介です。

 

 「評伝 笹川良一」(中央公論新社) 著者は伊藤隆氏です。

 

 タイトルから明白なように昭和の異色の大物、笹川良一氏の伝記です。

 

 本の帯の記述は以下のようです。

 

 「国粋大衆党の党首、衆議院議員、A級戦犯の容疑者、『戦犯者』の援護、モーターボート競走の創立者、日本最大の社会貢献団体のトップ・・・・・」

 「毀誉褒貶をものともせず我が道を貫いた『大きな男』」

 

 とあるように基本的には笹川良一氏の軌跡をポジティブに描いた評伝です。

 

 さらりと読んで、まず印象に残ったのは、笹川良一氏のマスコミ批判についての部分でした。

 

「笹川が出演する日本船舶振興会のCMをご記憶の読者は多いことだろう。笹川のCMは、船舶振興会を浸透させる大きな役割を果たしたが、マスコミの絶好の標的になったことも否めない。笹川はこれに対して批判・反論を強めていく。

 『彼等は、口を開けば公正中立、報道の自由、知る権利だとか知らせる義務だとかいっているが、その本家本元が正しいことにいいがかりをつけて、他人の言論抑圧をやるというのだから不届千万だ。彼等のいい分は「笹川はけしからん」の一点ばりだが、笹川だろうがなんだろうが、良いことは良く、悪いことは悪いのであって、笹川良一だから「国旗を掲げよう」「父母を大切に」「物を大事に」「他人には親切に」「戸締まり用心、火の用心」などという社会への呼びかけがいけないというのは倫理的ではない』

 と笹川は述べるのだった」