いま世界の軍事情勢で最も注視されるのは新興軍事大国の中国と旧来の超大国のアメリカとの関係でしょう。

 

米中軍事関係の特徴の一つは、両国が対立や摩擦を重ねながらも、軍部同士の交流や対話が細々とにせよ、長年、続けられてきたことです。

 

しかしいまここにきてその米中軍事交流の功罪がアメリカ側で論議されるようになりました。いまのような交流は単に中国軍に有利な材料となるだけだから、構造を変えよ、という意見が出てきたのです。

 

その動きを記事にしました。本日の産経新聞に掲載されています。

 

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〔ワシントン=古森義久〕

 オバマ政権が重視の構えをみせる米中軍事交流の是非をめぐる論争が米国側で激しく展開された。米軍統合参謀本部議長がその擁護を述べたのに対し国防総省の元高官がいまの交流は中国軍を利するだけだとする批判を表明した。

 

 マイク・マレン統合参謀本部議長はすでに退任が決まっているが、在任中の主要課題を総括する形で米中両国軍部の交流や対話について「中国への信頼の一歩」と題する論文をニューヨーク・タイムズ26日付に発表した。

 

 同議長は同論文で「米中軍事関係は世界でも最重要な関係だが、疑惑や誤解につきまとわれ、戦略的信頼を求める必要がある」として現在の米中軍事対話を続け、深めることを提唱した。同論文は米中両国が大量破壊兵器の拡散防止やテロ対策、朝鮮半島の安定など利害を共有する分野に焦点を合わせてとくに軍事交流を進めるべきだ、と説いた。

 

 同論文はまだ中国軍が透明性に欠けることや、台湾への武力行使を示唆すること、「防衛のみ」と称しながら攻撃的能力を高めていること、南シナ海での強硬な態度を変えようとしないこと、などを指摘しながらも、米中が対話を深めることが必要だと総括した。

 

 こうした米中対話促進論には米国側ではかねてから批判があったが、たまたま同じ26日、ブッシュ前政権で東アジア担当の国防次官補代理などを務めたランディ・シュライバー氏が「米中軍事交流は失敗する」と題した論文をワシントン・タイムズに発表した。

 

 同論文は「現在の米中軍事交流は中国軍にのみ利益をもたらし、米側の目標の中国軍の透明性向上などは交流の開始から30年が過ぎても、まったく実現していない」として、まずいまの交流の不毛を強調した。

 

 同論文は同交流の一環として5月に訪米した中国軍の陳炳徳総参謀長が米側の台湾への武器供与や中国への偵察行動を非難し、その中止をこんごの米中軍事交流継続の条件のようにしたことを指摘して「中国側は米側の行動が不満だと対話をボイコットして対米圧力をかけるが、米側は対話自体の継続を重視するため台湾への武器輸出などの実施を自粛し、自国本来の政策まで変えてしまう」と述べ、「中国軍は対米交流を自国の主張の機会として利用し、米側の政策に影響を与えようとする」とも主張した。

 

 シュライバー氏はさらに過去の対話が中国への抑止にはならず、中国は南シナ海での軍事威嚇やサイバー攻撃、新型のミサイルや戦闘機の開発など米国の意向を無視して進めてきた、と述べ、米中軍事交流の再構築を訴えた。同氏は具体的には中国に台湾への武力不行使や南シナ海での航行の自由の保証などの誓約を求め、それが実現しなければ、米国側が逆に米中軍事交流を中断すべきだと提案した。