日本の安全保障がおきざりにされていく観があります。
そんな現状を踏まえて、田久保忠衛氏が鋭い論評をしています。
■【正論】杏林大学名誉教授・田久保忠衛 安保再改定と同時に憲法改正も
産経新聞が日米安全保障条約の「片務性」を「双務性」に改めるべしとの再改定案を世に問うた。国内政治の醜態と外交・防衛への政界の無関心に愛想が尽き ていたときだけに、久しぶりに新鮮な言葉を目にする思いがした。たまたま野田佳彦首相は初の日米首脳会談に臨んだが、その際、再改定案をオバマ大統領に提 示したら、どんな反応が起きただろうか。米民主党内のリベラル派に属していた大統領ではあっても、いまの国際情勢の大局を観(み)ている政治家であれば、 日本の防衛体制強化の意図をくみ取り、固い握手を野田首相に返しただろうに、と思う。
私は大統領の忍耐力に心から同情する。野田首相は日米同盟が日本外交の基軸だとの信念が東日本大震災で支援を受けて揺るぎないものになったと述べ、安全 保障、経済、文化の人的交流の3本柱を中心に同盟関係を「深化」させたいと表明したという。この種の表現は何回繰り返されたか。大統領が米軍普天間飛行場 移設や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加の問題の「できるだけ早い」解決を迫ったのも分かる。
≪60年安保改定は国家の土台≫
1960年の安保改定は国家の土台となった。岸信介首相は、旧安保条約が日本を属国視していると捉え、特に第1条「駐留軍の使用目的」の、「一または二 以上の外部の国による教唆または干渉によって引き起こされた日本国における大規模の内乱および騒じょうを鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて」と いう、いわゆる内乱条項を独立国家の屈辱と感じた。しかも条約に期限も付けられていなければ、政治家でなくても理に合わぬと考えるだろう。
にもかかわらず、日本中が引っくり返るような反安保改定騒ぎは何故(なにゆえ)生じたのか。再改定案特別研究チーム主査、佐瀬昌盛防衛大学校名誉教授は 「当時の反対運動の闘士の多くと知り合ったが、彼らは異口同音に条約なぞは読まなかったと回顧した。反対理由は『巣鴨帰りの岸の仕事だから』だった」と書 いている。同じ世代で、同じ経験と同じ思いを持つ。
生命の危険を感じたほどの大群衆に取り囲まれ、マスコミの一斉批判に遭いながら、岸氏は初志を貫徹した。条約の不合理を考えようとせず、外国から辱めを 受けても国辱と受け取らず、「あくまでも国民の目線で…」と臆面もなく自分に有利な票だけを追い求めるいまの政治家たちは、安保騒動など関心の外なのかも しれない。
≪集団自衛回避封じた再改定案≫
安保改定提言の第一の意義は、アジア・太平洋地域で発生しつつある劇的な国際秩序の変化の中で60年間、手を付けようとしなかった日米安保条約の片務性 を改めて国民の前に明らかにしたことだろう。核心は「米国は日本を守るが、日本は基地提供だけで事実上米国を守る義務を負わない」性格の条約がいまの国際 情勢の中で通用するかどうかの問い掛けだ。第二は、集団的自衛権の行使は憲法解釈上できないと逃げ回ってきた議論を封じた点である。条約第5条に「個別的 又は集団的自衛の固有の権利を行使して、共通の危険に対処する」との文言を盛り込めば疑問の余地は解消する。
アジアでは国際秩序の地殻変動が進行中である。軍事大国、経済大国になった中国が勢力を外に伸ばし、東シナ海、南シナ海、インド洋などで、日本を含む近 隣諸国との摩擦が激しさを増している。経済成長に伴う資源獲得、自ら煽(あお)り立てたナショナリズムの帰結、国内不満の転化など複雑な原因が重なって、 国際的基準に合わない言動を続けているとしか考えられない。これに対し、米国は大統領以下、「米国は太平洋国家だ」と確言し、ヒラリー国務長官は中国の台 頭を前に米軍が撤退したりしないと言明したばかりだ。
≪真の同盟、アジアの安全弁に≫
米国の軍事力は群を抜いており、中国の軍事力との均衡が簡単に崩れるとは考えられないが、米中枢同時テロを契機に開始したアフガニスタン、イラクへの軍 事介入に、米世論は「内向き」になっている。イラクから年内に米軍は撤退するし、2014年にはアフガニスタンから大部分の米軍は引き揚げる。さらに、財 政悪化の大きな負担が国防費にかかってきている。先のNATO(北大西洋条約機構)軍によるリビアのカダフィ政権攻撃で、米軍が主導権を取らなかったのは 異例であろう。
日米同盟の強化が自国の安全と世界戦略的視点からいかに重要になってきたかは、ここで強調するまでもない。安保再改定と同時に憲法改正が必要だと私は考 える。日米同盟関係を対等にするには、自衛隊を最終的に「国防軍」に改める必要がある。普通の民主主義国が持つ正しい意味のシビリアン・コントロールの下 で自己完結的な「軍隊」を保有しない限り、対等な同盟関係は実現できない。
「強い日本」は米国離れを意味せず、「強い米国」との真の同盟に基づきアジアの安全弁になる。戦後体制から脱却して、価値観を同じくするアジア諸国に信頼される役割を演じる展望が開ける。(たくぼ ただえ)
コメント
コメント一覧 (17)
未だ未だ侮れないものが有ります(^◇^;)
そしてそれは「メディアビッグバン」が背景に有って
産経新聞記者全員の「痛み」と言う危険性を伴うものでも
有ります(^◇^;)
本当に産経新聞が「憲法改正」を唱えるなら自らの犠牲
をも厭わない覚悟が産経新聞社全体に求められる事で
ありましょう。即ち
憲法改正=メディア革命
というのを意味するものですから(^◇^;)
朝日新聞は典型的「抵抗勢力」ですし、某大新聞の御大
も又然りと┐(´д`)┌ヤレヤレ
例えば刑法は当然殺人も傷害も認めていませんが、警察もそれをやってはいけない、というようなものです。
さっさと変えなきゃいけませんよ。こんなの。
>普通の民主主義国が持つ正しい意味のシビリアン・コントロールの下 で自己完結的な「軍隊」・・
そういうきちんと憲法に位置づけた国防軍を持つことは、左翼が言う戦争をするためではなく、戦争をしないためにこそ必要だということです。世の中には善人ばかりではなく、強盗も殺人者も暴力団もいる訳です。まして国家においてをや。国家においても同じくしかりです。
これは逆に言えば昔の旧社会党が夢見た非武装中立こそ戦争を呼び込む元、あるいは国民が他国の奴隷状態になる元と思われます。国家間関係は個人におけるよりもよりもっと独善的であり、自己中心的です。国家とはそもそもエゴの塊ではないですか。
独裁国家はもとより民主国家にしても政治家はその国民に選ばれる訳ですから、その国の国益中心にならざるをえません。むきだしのエゴです。他国のために自国を犠牲にする国はありません。そういう意味で他国にそもそも善意を求めることはよほどお人好しであり危険だということです。
それに、もしある国が中立国であろうとするなら、より強固な軍事力がなければ維持できません。なぜなら中立を守るためには、どんな干渉、脅迫、攻撃があっても他国の軍隊を追い払える実力がなければならないからです。そして保有する武器にしても自前で開発し他国の武器に頼ることもしないのが真の中立国の要件です。自分は中立を宣言するだけは中立国にはなれません。餌食になるだけです。
スイスは国民皆兵で国土至る所が要塞になっています。スウェーデンは武器も自前で調達しています。戦後の日本の平和は憲法9条でもたらされて来たわけでは決してありません。。単純にアメリカと同盟を結んでいたからです。朝鮮戦争は如何にして起こったか。それはアチソンラインというアメリカの防衛線から朝鮮半島を外したからです。軍事的空白のあるところはピラニアの餌食です。それが歴史であり、厳しい国際関係の実態です。
今でもアメリカの力が相対的に弱まり、日本の政治外交がガタガタになれば、すぐに尖閣、北方領土、竹島でも挑発行為を受け、日本領海や領空を勝手に侵犯されます。北朝鮮のように主権者国民を誘拐されたままで犯罪を生業とする独裁集団にも侮られています。
事態を根本的に改善するには真の自立した独立国家になるしかありません。
日本の政治...なんなんだろうね?
片っ端からドブに叩き込んでやるから肩まで漬かって通りでも眺めてろといいたいね、この役立たずのゴミ連中だけには。
国会議員の定数を三分の一にして、ちょっとやそっとの票をまとめただけじゃ議員になれないようにすりゃいんだよね。
人口比でアメリカの三倍も議員がいる理由がワカランよ。
それも、この役立たずどもが。
国会議員の仕事を理解せず、役立にも立たず、モンキービジネスにばかり夢中で、国益を考えない。ムダ金ばっか食っちゃカネないから増税だ、なんてきた日にゃ、いい加減にしろよこの野郎と叫び出したくなるよね。
どうでもいいから一分でも一秒でも早く憲法改正をやれといいたい。
格差が縮小していた小泉政権時代に格差デマを垂れ流した犯罪集団NHKが、実際に格差が拡大している民主党政権ではすっかりダンマリ決め込んで、今度は読売と一緒に増税翼賛やってやがる。
こんな昆虫並みのクズが大手を振って歩いてるのが日本って国なんだよね。
本当に許しがたいよ。ご先祖に申し訳なくて胸が張り裂けそうだ。
憲法改正に関しての産経新聞記者の痛みとか危険性とは具体的になにを指すのでしょうか。
ちょっと見当がつかないので、素朴な質問です。
国や国民を守ることよりも、憲法を守る方が重要であるかのごとき発言をしていた政治指導者たちがいたのですから、なにをか言わんや、ですね。
日本の非武装中立論はとっくに破綻しました。しかしそんな主張をしていた人たちが破綻を認めず、自分たちの非を認めず、知らんふり、というのが現状ですね。この人たちに破綻を認めさせることが必要かもしれません。
小泉政権が弱肉強食で、格差を広げたというのは、確かにデマ部分が多いですね。
これは理性的ではない、「共産主義に洗脳された学生の集団ヒステリー」に日本中が只、かき回されたのだ。
>「あくまでも国民の目線で…」と臆面もなく自分に有利な票だけを追い求めるいまの政治家たちは、
巧妙なレトリックだ。
>自衛隊を最終的に「国防軍」に改める必要がある。
「自衛隊と云う事」がレトリックなのだ、「国防軍」というのが妥当な正しい表現の「日本の言葉」なのだ。
今時の日本人は、「国防軍」という、「正しい美しい日本語」を取り戻さなければならない。
>憲法改正に関しての産経新聞記者の痛みとか危険性とは具体的になにを指すのでしょうか。
所謂「フジテレビ不信」が広がっているのは古森さんも
ご存じでしょう。私はフジテレビ内にも「抵抗勢力」が
少なからず存在すると見ていますので。憲法改正は
韓国に都合の良い話では有りませんので。
余りここではカドが立つので言いたくは無かったのですが。
(古森さんも「利害当事者」の一人というのも現実です。)
産経新聞は信用するが、フジテレビは信用しない
そういう読者が増えていると私は考えて居ります。
(フジテレビが憲法改正に熱心かどうかは甚だ疑問ですね。)
産経新聞記者の痛みを伴うと表現したのはフジテレビ
との資本関係故です。憲法改正ばかりは最早「読者サービス」
の問題では無い事も指摘しましょう。
これは極端な例ですが小学館のサイトより
http://www.news-postseven.com/archives/20110926_32114.html
週刊金曜日でお馴染みの北原みのりの発言(というか妄言)
ですが、フジテレビの韓流喧伝は余程北原にとって都合が
良いらしく、必死に擁護している様です。
これだけでもフジテレビ不信が産経新聞読者の間で
広まっていると言う皮肉な現象を示すものですな。
ちなみに北原みのりは靖国神社で乳出しアホーマンス
をやるほどの反日女(在日説も存在)ですので。
産経新聞記者にとって憲法改正がどれだけ覚悟が
居るかをも示します。極左に擁護されるフジテレビって(^_^メ)
蛇足2
北原みのりが小学館のサイト(女性セブン記事?)で
何をホザいたかと言うと
—そこで起きたフジテレビに起きた抗議デモ。どう思われました?
北原:
なんて醜いんだろう。彼らの中には「日本の女がなんで
俺たちより下の韓国人に行くんだ」というやっかみが
あるんですよ。日本文化を貶めるなとか、フジテレビの
偏向とか、バカ言えよ、素直に整形しろよって(笑)。
筋肉鍛えろよ(笑)。
俺はモテない、俺より下の韓国人がなんでもてるんだろう。
悔しくてたまらなかったんでしょうね。最近、デモの首謀者が
彼女が出来たからデモ辞めますというニュースがネットに
流れましたが、まさにそれを表しているじゃないですか。
(引用終了)
ま、極左女らしい言い方と言えばそれまでですが、余りにも
朝鮮半島的と言うか金正日的な侮りに吐き気を覚えますね。
勿論、北原に対して何らかの反目ないし怒りを持つのは
私だけでは無く、読者の殆どだと思いますが(^_^メ)
北原が憲法第9条に対して何を考えて居るかは
敢えて言及するまでもありますまい。
私は地政学から考えて、イギリスと日本は大陸への橋頭堡として考えます。
また大陸からは逆に海への出口なのです。
したがって、この重要地点を押さえた方が影響力が大きくなるのです。
ところが、イギリスと違い日本人はそのような火種の上で生活している事に気がついていないのです。
日本もアメリカに対してイギリスと同じ立場をとれるようにするためにも憲法改正を行い自衛隊の海兵隊に近い形へのレベルアップが必要と思います。
実態は外部で想像されるほど複雑ではなく、深刻でもない、という気がします。
>実態は外部で想像されるほど複雑ではなく、深刻でもない、という気がします。
だと良いのですがね(^◇^;)
マスコミ業界のナベツネ爺支配説と創価学会他特定スポンサー
の影響力とか世論の間での悪いイメージがマスコミ業界に
対して有りますから、産経新聞ですら「メディアビックバン」
にキチンと対応出来ているか心配なんですよ(^◇^;)
産経新聞はこれからの「情報ビジネス」にキチンと
対応できているのか?読者の殆どが心配しているのが
実情で有ります。
未だに在野の知識人や文化人すら舐めている風潮が
マスコミ業界に有りますからね(^_^メ)
勿論、産経新聞はそこんところはキチンとされてると
思いますが(^_^;)
とりあえず朝日新聞的なものであるとか反日朝鮮人的
特に金正日的なものは論外です!!
ここで創価学会を名指しで「特定スポンサー」としたのは
石原東京都知事が産経新聞側の人間である所為でも有ります。
尤もここまでくれぱ「我が仏」と言う神学論争の世界に
なりますが(^_^;)(^_^;)(^◇^;)
(石原慎太郎知事は反創価学会の人間として見られている!)
実際、創価学会は朝鮮半島に対して甘い所が有りますし
そこんところがサヨク迎合と見られる場面もあり、
様々な他宗教団体の「攻撃材料」に成っているのも
創価学会周辺の現実でも有ります(^◇^;)
右翼の間では創価学会を露骨に敵視する向きも
ありますしね(ま、日本共産党も創価学会に
対して露骨に敵意を示した歴史も過去には
有りましたが(^◇^;))
これ以上は週刊新潮や週刊現代と言った週刊誌ネタ
の世界になりますのでこれぐらいにします(^_^;)
日本の憲法改正はなにか新しいことをして突出とか前進をするのではなく、大きく開いている穴を埋めるということでしょう。主権国家としての日本が憲法によりハンディキャップを課されているのに対し、そのハンデを外すという、いわば国家解放の作業だといえます。