TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に日本が参加すべきだという主張です。
その理由がわかりやすく説かれています。
雑誌WEDGEからの転載です。
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安全保障の観点から、西太平洋における力の実態を眺めてみれば、更にくっきりと、全く異なる絵柄が浮かび上がる。西太平洋地域の力の実体は、大陸 国家であり、旧共産圏であり、国連安保理常任理事国であり、核兵器保有国であり、強大な通常兵力を保有するロシアと中国である。
これに対抗できる勢力は、米国の太平洋同盟網しかない。日米同盟、米韓同盟、米豪同盟である。核戦力、通常戦力で圧倒的な米国が、海軍力で太平洋 を抑え、西太平洋海浜部にある日本、韓国に兵力の一部を前方展開することによって、大陸側の中国、ロシアとの均衡を保っている。
東アジアの安全保障が、アジア太平洋の枠組みで考えざるを得ないことは、日本の防衛だけを考えてもすぐに分かることである。在日米軍の展開は、 「七五三」である。
敵勢力の眼から見れば、自衛隊が怖いのではない。むしろ、自衛隊の傍にいる在日米軍が、太平洋を越えて巨大な米軍本体と連結されていることが怖い のである。日本を攻撃する国は、在日米軍を攻撃せざるを得ない。そうなれば、米軍本体が、太平洋を越えて、即座に大規模な援軍を繰り出してくる。その背後 には、米軍の核抑止力という「切り札」が控えている。だから、日本は安全なのである。
このような軍事的実態を見れば、東アジアが、北米や欧州と切り離されて、米欧に対抗する独自の国際政治の場を構成するという考えが、いかに幻想的 かよく分かるであろう。また、東アジアにおいて、日本が、中国やロシアを押さえて、他のアジアの国々を従えてリーダーシップをとる、或いは、日本が、米国 と中国やロシアの間を仲介するという議論が、どれほど現実離れしているか分かるであろう。
日本の平和と繁栄に必要なTPPの加盟
日本は、第二次世界大戦での敗戦に際して、300万人の同胞の死という日本史上最大の悲劇を経験した。その日本が、わずか半世紀で今日の地位まで 復活したのは、独力による東アジアの覇権という幻想を捨てて、戦後、太平洋地域の二大先進民主主義国家であった日米両国を結び付けることによって、共産圏 にあったロシアや中国という大陸国家との間に、安定的な均衡を実現したからである。そして、米国が主導した自由貿易体制への加盟を果たし、製造業を主力に して対米・対欧市場への輸出を通じて、奇跡の経済復興を果たしたからである。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (13)
*全くその通りだ、と思う。
>むしろ、自衛隊の傍にいる在日米軍が、太平洋を越えて巨大な米軍本体と連結されていることが怖いのである
*僕は北海道在住だが、米軍の艦船が冬に札幌の「雪祭り」に、
友好と休養の為に、小樽に寄港するのだが、そして市側が花束で歓迎するのだが労働組合は岸壁で、「帰れー!」、と「喚き、叫び、おめく」のだ。
労働組合は何故、在日米軍が怖いのか?
これは、中国が、在日米軍が怖いのと一緒、を意味する、ね。
労働組合の背後に中国あり、かな。
おはようございます。
そんな労働組合に支えられた日本の民主党も安保政策や中国政策では奇異な症候を示すのも、自然といえば、自然ということでしょうか。
アメリカの思惑としては、日米間より日中間の貿易額の方が大きく上回ってきたので、アメリカが中国に奪われたパイを取り戻そうというのが実際のところだと思います。
古森さんは「それこそが安全保障の強化だ」とか言いたいのでしょうが、貿易協定によって被るかもしれない経済的デメリットまで享受しなければならない安全保障なんて何か間違ってはいませんか?
いまの日米同盟が共通の安全保障を懸念するのはまず第一に中国の軍事力大増強であって、東西冷戦時代の要因とはまると異なります。
TPPには貿易上のそんなデメリットがもたらさせるのか、きわめて疑問です。日本の輸出は増える。日本の消費者は安くて多様な商品を得られる。どうみても、このへんの最低限は否定できないのでは。
もちろん私は日本国として独立を守りたいのは人一番強いです。
今回のTPPはあまりにも内容が公表されておらず、参加するとかしないとか言う前に内容の公表を行うべきです。
内容の公表がないなら噂やデマは当然出ます。
どれがデマでどれがデマでないと判断できないですよね。
古森さんは何か内容を掴んでおられるのでしょうか?
また「日本の輸出は増える。日本の消費者は安くて多様な商品を得られる。」と書かれておられますが、この円高水準で日本の輸出が増えると言う根拠はおありなのでしょうか?
私には、この円高水準では日本の競争力はゼロで輸入だけが増えるのではないかと思います。
根拠をお示しいただきたいと思います。
早速ですが、
本記事、安保とからめてるのはおかしいと思うのですが・・・。
TPPは「自由貿易」の協定ですよね?
この記事おかしくないですか?
ところで安い輸入品がこれ以上増えると、
ますますデフレが悪化するんじゃないですか?
日本国の自立には私も大賛成です。
でも国の自立は国という認識がないと、できないです。
市民社会では。
その点、いまの与党に重大な欠陥がある点も確かなようです。
TPPには中国のような市場経済だかどうか不明な国、民主主義ではない国は入らないというところに、経済以外の共通の価値観があり、有志連合的な性格を持ってくる。これが安全保障につながる。
そんなところでしょうか。
安い輸入品は消費者としては歓迎しませんか。
いやなら買わなければいいわけだし。
日本政府が公式に発表した内容はデマではないでしょう。
日本の国民皆保険制度がTPPで崩壊する。これはデマです。
当初のTPP反対派の「論客」が書いたことには事実ではない点が多多いです。単純労働者が日本にどっと入ってくるとか。
米韓FTAの毒素条項とかも、もう消えたみたいですね。
どうかデマにだまされないでください。
>本記事、安保とからめてるのはおかしいと思うのですが・・・。
経済だけで考えると、そうなるのですが、安全保障面から経済を考えると、あながちそうともいえません。
ただ・・・TPPに関してのみ言えばおかしいと思います。
GDP総計と兵器の性能という部分でランチェスターの法則を当てはめて安全保障を考えると、やがて中国はアメリカを軍事面で追い抜き世界の最強国になる可能性はあります。これを阻止するのは日米印が同盟関係を結んで2050年以降のアジアの安全保障の中国に対するカウンターパートになる必要があると思います。その為には、日米印は、兵器を製造する為にも、兵器の貿易に対する障害が少ない事が必要な条件になりますが、これらはFTA・EPAでも出来ますし、経済圏が同じだと逆にGDPが同時に落ちる危険性があり、却って離れている事の方がリスク分散の考えからは適当だと思われます。
それに、TPPなどよりは、日本がアメリカの1州になってしまった方が、アメリカのプレゼンス強化に経済面、技術面で役立つので、よっぽど効果的です。
>ますますデフレが悪化するんじゃないですか?
悪化するでしょうね。日米共に・・・従って私もTPPは真逆の選択だと思っていますが。
私は真珠湾攻撃前後の緊張感のない在米大使館の様子と,
マッカーサーが来てからの当事者達の昇進振りを思い
起こします.
官僚としての益を考えて国益を考えない外務省ですね.
ロシア兵の10万におとりますよ・・・
そもそも、韓国国産の兵器って
まともに使えないみたいですしね。
そういえばTPPに関してですが
NAFTAではISD条項があり
カナダが200件ほどアメリカに
訴訟をされてかなりの金額を
支払っているらしいですが
その辺はどうなんですかね?