中国が宇宙で無人実験機と無人宇宙船とのドッキングに成功しました。中国が着々と進める宇宙開発の大躍進です。
ちょうどその時期、アメリカ議会では民主、共和両党の議員たちがオバマ政権が宇宙開発で中国と協力するのはおかしい、と厳しい反対を述べていました。
米中関係のいまの特殊性を象徴する動きだといえます。
より正確にはいまの中国の危険性を象徴する、というべきでしょうか。
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米国議会下院の2日の公聴会でオバマ政権の中国との宇宙計画交流の是非が論じられ、共和党側からは同政権が議会の規定に違反して中国側との協力を進め、軍事転用の可能な高度技術流出の危険を冒しているという非難が続出した。
下院外交委員会の監視調査小委員会(デーナ・ローラバッカー小委員長)は同日、開いた「米国の先端技術の対中移転」と題する公聴会では、外交委員会の共和党側有力メンバーのフランク・ウルフ議員が証人として立ち、「オバマ政権が中国当局との間で宇宙開発計画の交流をしているのは議会がすでに可決して今年4月に大統領が署名した2011年度の歳出権限法や不足金請求禁止条項の違反だ」と述べた。
同議員の証言によれば、中国の宇宙開発計画は一貫して人民解放軍の管轄下で進められ、米国から高度技術が流れた場合、宇宙の軍事利用や長距離ミサイル誘導という軍事目的に使われる公算が高いため、米議会は米中両国の宇宙開発に関する交流への支出を禁じる条項を歳出権限法に盛り込んだという。
しかしウルフ議員はオバマ政権の航空宇宙局のチャールズ・ボルデン局長や大統領府科学技術政策局のジョン・ホルドレン局長が今年4月以後に訪中して中国当局との宇宙計画の交流を進めた、と証言した。同証言について議会会計検査局のトーマス・アームストロング顧問も証言し、ボルデン局長らが連邦政府予算を使って、その対中交流を実行したことは歳出権限法などに違反するとの見解を示した。
ところがボルデン、ホルドレン両局長は「米国政府は外国政府との交流や協議は行政府独自の権限で着手してよいことが憲法で認められている」という解釈を述べ、中国との宇宙計画交流は意義があるとの意見を述べた。
ローラバッカー議員も「自国民の人権を弾圧し、米国の軍事機密を盗み、軍事拡張を続ける中国は宇宙開発も軍事目的であり、非常に危険だ」と述べて、オバマ政権への批判を表明した。
コメント
コメント一覧 (8)
なるほど、僕はその「人民解放軍の管轄」に、非常な懸念と心痛を覚える、それは
「中国は、軍事目的のために宇宙開発がある」という「戦略」だから。
>宇宙の軍事利用や長距離ミサイル誘導という軍事目的に使われる公算が高いため
可能性どころではなく、もう、ズバリ、その為ですよ、心痛を覚える。
>中国当局との宇宙計画の交流を進めた、と証言した。
中国が、「平和国家」になってからの事ですよ、それまでは危険ですよ、心痛を覚える。
中国の宇宙利用はすべて軍事にからんでおり、日本にとっても危険きわまりない、ということですね。
中国がそれを実行して地球周回軌道上に宇宙デブリを大量発生させて、
国際的に非難された事件を忘れてるんですかね。>オバマ
中国に宇宙開発技術を渡すとは正気の沙汰じゃない。
中国の宇宙開発で民生用に利用したという話は聞いたことがありませんね。人工衛星を破壊する技術とかミサイル技術、サイバー攻撃技術などなどですからどう考えてもまともではありません。すべて対アメリカの軍事技術だけです。
GPS技術とか、日本のはやぶさのような宇宙のロマンをかきたてる研究とか少しでも人類に貢献すればまだ評価できる部分があるのですが、まったく聞きませんね。
共産党独裁が軍事独裁が加わっていくような恐怖があります。人民解放軍は共産党の軍隊ですが、共産党の国家主席といっても、人民の支持を背景にしていないため、その権力基盤は以外と弱いと想像されます。実際共産党幹部は単に権力闘争で出てきただけとも言えますから、軍部の扱いは持て余し気味ではないでしょうか。ある意味予算付けなどで媚びているのでは。
正当性とカリスマなき独裁体制の別の一面の怖さです。
レーガンが推進したのはミサイル迎撃策です。
衛星攻撃とは異なりますね。
日本でも中国の宇宙戦略にもっと関心を向けてほしいところです。
米国には軍事目的に使われる可能性のある政府の交流事業を禁止する法律があるのですね。
ボルデン、ホルドレン両局長の主張する「中国との宇宙計画交流は意義がある」の「意義」とは何なのか、お伺いしたいものです。
オバマ政権代表の彼らはこの種の対中協力をすれば、中国が国際社会にそれだけ深く関与してきて、行動規範も正常に近くなるだろう、という「意義」を説きます。しかし現実はまったくそのようには動いていません。この公聴会は意外とおもしろく、私も3時間ほど聴き入りました。