野田首相がTPP交渉への日本の対応について、もう一日、待ってくれ、と表明したそうです。

 

ここにきてなにをためらうのでしょうか。

 

反対派におもねって、これほど熟慮したというジェスチュアをみせたいのでしょうか。

 

それとも本当にまだ決められないのか。

 

産経新聞のすっきりした主張を読んでほしいところです。

 

 

 

 

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【主張】TPPと民主党 国益優先し参加まとめよ

 

 民主党の経済連携プロジェクトチームは9日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加の是非に関する提言をまとめる。

 

 求められているのは、目先の利害にとらわれずに国益を最優先する立場を貫き、交渉参加の結論を明示することだ。

 

 参加問題が国論を二分する状況になっている中で、態度を曖昧にする「両論併記」などの妥協案が取り沙汰されているが、党内の融和主義は通用しない。

 

 貿易立国として日本が繁栄していくためには、参加しないという選択肢はあり得ない。

 

 党内では農業、医療などへの悪影響を懸念する慎重論が根強く、8日の閣議後会見でも閣僚から「豊かさを引き継ぐ手段」とする前向きな意見と「急いで結論 を出さない方がいい」といった慎重論が交錯した。国民新党の亀井静香代表は野田佳彦首相と会談し、交渉参加に慎重な考えを伝えた。

 

 個別分野のデメリットが強調されているが、日本を取り巻く状況を認識しているのか。国際競争力の強化が求められている。

 

 日本経済の現状を直視すれば、少子高齢化で国内市場は縮小し、デフレと低成長にあえいでいる。欧州債務危機による超円高で、企業の海外移転など産業空洞化の加速が懸念されている。

 

 自律的な成長軌道に戻すには、TPP参加でアジア・太平洋地域の成長を取り込まねばならない。内閣府の試算では、参加で実質国内総生産(GDP)は、2・7兆円、0・54%押し上げられる。

 

 米国や豪州など9カ国が参加するTPPは、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に向けた有力な核となり得る。アジアではASEANに日中韓を加えた貿 易圏構想も語られているが、レアアース(希土類)の輸出制限など、中国の独善的な行動や一党独裁の政治体制が疑問視されている。中国に共同で対処できる点 で、TPP参加には日米同盟強化の意味合いが込められている。

 

 保険診療と自由診療を組み合わせる「混合診療」をめぐり、「議論の対象外」と説明していた外務省が「議論される可能性は排除されない」と見解を変更したのは耳を疑う。

 

 関係者の懸念を払拭するどころか、かえって混乱を招きかねない。丁寧かつ適切な情報開示を怠ってはならない。