日本がTPP論議で騒いでいるときに、アメリカが中国の軍拡に対し、ついに強固な対抗策をとるという方針が浮上してきました。
この動きは「米中関係の重大な転換点」「新しい時代」あるいは「米中両国間の冷戦の開始」などとも評されています。
アメリカ国防総省の発表を基に以下の記事を書きました。
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〔ワシントン=古森義久〕
米国防総省が中国の軍拡に対応して「空・海戦闘」と呼ばれる新対中戦略の構築を決めたことが9日、明らかとなった。
この戦略は中国軍が米軍を標的に新しい兵器や戦術を開発していることへの抑止として中国側の主要拠点への空と海からの攻撃能力の大幅な増強などを主体としている。
この新戦略により米中両国間の安全保障関係は新時代に入るともいえる。
米国防総省の複数の高官は9日、対中「空・海戦闘」の新戦略の構築の開始とそのための特別部局の新設を背景説明の形で一部報道陣に明らかにした。
同説明によると、米軍は中国人民解放軍の最近の米空母を主目標とする対艦弾道ミサイル開発や米側軍事衛星を標的とする衛星破壊兵器実験、一連のサイバー攻撃などに対応し、とくにアジアでの有事に米軍部隊の介入を阻む「接近阻止」作戦を重視して、アジアでの米側の空海の戦力を強化し、積極的な攻撃能力を高める方針を決めた。
「空・海戦闘」戦略の具体的内容としては
(1)中国側の新型の対艦ミサイル破壊のための空海軍共同作戦
(2)米軍用衛星の機動性の向上
(3)中国側「接近阻止」部隊への空海両軍共同のサイバー攻撃
(4)有人無人の新鋭長距離爆撃機の開発
(5)潜水艦とステルス機の合同作戦
(6)海空軍と海兵隊合同の中国領内の拠点攻撃
(7)空軍による米海軍基地や艦艇の防御の強化
―などの準備や推進が提示された。
オバマ政権のパネッタ国防長官やクリントン国務長官はすでにイラクやアフガニスタンへの米軍が減った後はアジア・太平洋に戦力の新たな力点をおく方針を公表していたが、今回の説明はその具体的な目的や内容を明らかにしたことになる。
米軍の対中「空海戦闘」という新概念はすでに今年夏ごろから固まっていたが、オバマ政権全体としての中国への配慮から発表が延期されてきたという。
今回の国防総省高官の説明でもその種の配慮から当初は「中国」という国名をあげないままの解説となったが、報道陣からの「この戦略の対象となる国は中国以外にあるのか」という質問に高官の一人はないことを認めた。
他の高官は「この新戦略は中国の新鋭攻撃用兵器が南シナ海や黄海での航行の自由を脅かすことへの懸念から生まれ、米側が単に中国のそうした動きを座視はしないという意思表示だ」と述べた。
さらに別の米側高官は「この新戦略は米国の対中軍事態勢を東西冷戦スタイルへと変える重大な転換点となる」とも強調した。
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コメント
コメント一覧 (9)
これってX47Bの事ですか?
攻撃機は損害をこうむる可能性が大きいので初撃は出来れば無人機が良いと個人的には思うのですが、空軍はどの世界でもパイロットの技能が優先されて考えられる傾向があります。
アメリカ軍でも同じ傾向があるのではないかと思うんですが、どうなんでしょ。
(飛行機と考えずにミサイルだと思えばいいんですが、割り切れるかどうか心配)
日本の防衛はなぜか陸上戦力が主なんですが島嶼防衛を考えると海兵隊のような部隊が絶対に必要と思います。
日本の自衛隊も組織改編が必要ですね。
日本の左翼にとっては、大悪魔米帝を憎む理由が増えたことになるんでしょうか。
今日はキッシンジャーが官邸に行ったそうです。すれ違いで首相との会談は無かったみたいですが。
中国の動向よか、日本の政治が取り乱すことの方が怖いよ。
米軍での無人機の役割は飛躍的に拡大しています。
前にも報告したけれども、今年初めて米軍の有人機パイロットよりも無人機パイロット(明らかに地上から無人機を操作する人ですね)の訓練コース卒業の人数が多くなったそうです。
アメリカの冷戦回帰は時代錯誤、アジアに平和を!
なんていう声が出てくるかもしれませんね。
中国の言いなりになる「平和」ですけども。
いえいえ、「ロックフェラーやキッシンジャーが親中」という要素ではいまのアメリカの対中政策は形成されないようです。一つの要素ではあるでしょうが。
てっきりプレデターや偵察機かと思っていました。
確かに有効な機体ではありますが、偵察兵や狙撃兵にあたり、大規模な戦力とは違います。
今回の記事からは、無人機の大部隊や大火力が前提になりますので、開発中のX47Bしかないと考えます。
無人機パイロットは精神的な負担が大きいらしいですが、命を失わないのですから機体を作る能力さえあれば戦力ダウンが有り得ない訳で未来の明るい戦闘の形として開発競争が盛んになるでしょうね。
日本のゲーマーさんも出番は近いかも(笑)
中国が衛星撃ち落とし実験成功させてますからね。stradfor創業者の方が書いたベストセラー「100年予測」でも、衛星の機動性を指摘していますから、それを読んだら当然対応すると思います。