日本やアメリカへのサイバー攻撃の最大発信源についての報告を続けます。

 

日本ビジネスプレスの連載コラム「国際激流と日本」からの転載です。

 

原文へのリンクは以下です。

 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/30816

 

 http://jp.reuters.com/resources/r/?m=02&d=20110712&t=2&i=457066543&w=450&fh=&fw=&ll=&pl=&r=img-2011-07-12T132224Z_01_NOOTR_RTRMDNC_0_JAPAN-221509-1

                  中国軍の陳炳徳総参謀長

 

 中国軍の動向についての情報がなぜ米国から出てくるのかといぶかる向きもあるだろうが、秘密のベールに覆われた人民解放軍の動きは、日ごろ米国が 超大国ならではの政府や軍の情報収集能力を駆使して驚くほど詳細に把握しているのである。ストークス氏の報告も同氏自身が中国部長を務めた国防総省の中国 情報にももちろん立脚しているわけだ。

 

 この報告は、まず米国や日本などの政府、議会、軍関連機関へのサイバー攻撃は、大部分が中国からだという見解を踏まえて、その中国のサイバー作戦の最大の推進役は、人民解放軍総参謀部のうち「技術偵察」を任務とする「第3部」だと明記している。

 

 この第3部の従来の任務は「SIGINT」(通信諜報活動)と呼ばれる外国機関の通信傍受や暗号解読、自国側の通信防御だが、近年はその枠を大幅 に広げ、サイバー偵察、サイバー利用、サイバー攻撃なども活発に実行するようになった、と記している。現在では中国の対外的なサイバー作戦の統括はこの第 3部によるのだという。

 

 報告はこの総参謀部第3部全体については以下のように伝えていた。

 

 「第3部は年来、SIGINTを主要任務とし、北京市海淀区の西側丘陵地帯、厢紅旗地区に本部を置き、傘下には合計12の作戦局と3つの研究所を抱えている。第3部の司令官は孟学政少将、総要員は13万と推定される」

 

 同報告によると、中国軍総参謀部は、これからの戦争やそのための態勢構築にはコンピューターネットワークでの攻防が不可欠だとの基本認識を確立 し、そのためのサイバー作戦は第3部に統括させて、潜在敵の軍や行政に限らず、政治や経済の関連機関のコンピューターネットワークから特定個人の電子メー ルまでに侵入したり、妨害の攻撃をかける作戦を強化しているという。このため、第3部は中国全土でもコンピューター処理能力の高い人材が最も多数、最も集 中的に集まる組織となったとされる。

人民解放軍のサイバー攻撃に官民一体で対抗せよ

 では、この総参謀部第3部という巨大な組織の中で、米国や日本へのサイバー作戦を担当するのは、どこなのだろう。

(つづく)